愛命園育成会だより 第85号

育成会副会長 大成 敏正

 育成会会員の皆様いかがお過ごしでしょうか。
 暑い夏も終わり一息つけるかと思えばさにあらず、巨大な台風19号の襲来により関東甲信越および東北地方に甚大な被害がもたらされました。報道される老人施設利用者の避難の様子を観ていると、ついつい愛命園のことを考えてしまいます。愛命園もかつて同じような洪水の被害を経験しています。当時の話は5代目藤原園長や6代目林園長から聞かされています。人的な被害はなかったものの利用者を再び受け入れるまでの苦労話です。他施設からのボランティアや当時の家族会の皆様の協力について、感謝の気持ちのこもった話しぶりに私も胸を熱くしたものです。どうぞ被災された皆様に平穏な生活が一日も早く戻りますようにと祈らずにはいられません。
 このような挨拶文の後では不謹慎と叱られるかもしれませんが、台風19号が上陸した日は、毎年10月の第2日曜日とその前日ですが、私の住む福山周辺では秋の収穫を祝うお祭りがおこなわれています。私の地元では、土曜日の前夜祭で神社のご神体をお神輿に移す神事がおこなわれ(お神輿を外国語に訳すと「移動式神社」となるそうです。)お祭り当日にはお神輿をかついで3町内会を一軒一軒回って、夕方元の神社にご神体を戻してお祭り終了となります。祭りは間違いなく私の住む地域の最大の行事です。町内に住む住人は誰でも参加できますし、祭り2週間前から町内の神社、墓地、集会所の清掃や参道への御神燈の設営、はね踊りや鐘、太鼓の練習、巡行経路の作成、休憩所、昼食の場所の手配や、交通整理や、軽トラでのお神酒やおつまみの搬送、お供えのお神酒や子供たちへのお菓子や飲み物の搬送、ごみの回収などいろいろな役割が割り振られ、お祭り参加者は何らかの役を担うことになります。お神輿に従い巡行する人数は、今年は今までになく多くて200人を少し切る程度とのことでした。お祭りが終わってもかたづけ作業や、各種支払いがすんで、農業をやられている方々は残った稲刈りにかかられます。また、子供会や青年層の慰労の会が、お祭りが終わってもしばらくの間つづきます。
 私も65歳まではお神輿を担いだりしました。お神輿は担ぎ棒を含め約170Kgを12人で担ぎますので、計算上一人当たり14Kgを担ぐわけです。何故か時々30〜50Kgくらい肩にのしかかってくることがあります。この時私は、ぐっと体に力を入れ「俺が神輿(地域)を落とさぬよう支えるのだ」と、よくわからない覚悟のようなものを感じたものでした。
 ともあれ多くの担ぎ手が、肩の高さを合わせ、ケガを防ぐため担ぎ棒の内側に頭が来るようにかつぎます。お神輿巡行の歌と称する少しエッチな歌に合いの手を入れながら、皆酔っぱらってフラフラと一軒一軒廻っていくのです。この時各家の住人が玄関に立ちお神輿を迎え、お神輿を12人が頭上に差し上げる様子に、頭を下げ感謝の気持ちをしめされるのです。お神輿を頭上に差し上げるのは、豊かに実った稲を表すのだと聞いたことがあります。前年のお祭りから今年のお祭りまでに弔い事があった家にはお神輿は訪れません。このようなお祭りですので、一年に一回、家と住人、そしてそのお家の飼い犬を確認できる良い機会になります。散歩の途中に犬を観てあのお家の方だなと気づくこともあります。弔い事のあったお宅は訪れませんので自然に家族構成の変化を知ることになります。
 お祭りは地域を挙げての共同作業ですし、お互いの顔を見ながらの共同作業です。地球温暖化に伴う大災害が増え、防災訓練が各地で行われています。災害の際、自助、共助、の重要性が言われています。お祭りを防災訓練だととらえて、楽しい防災訓練と見るのはいかがでしょうか。
 さて会員の皆様、愛命園最大の行事、令和最初の「園まつり」が近づいてまいりました。園まつりは地域の方々にも開放され、多くのボランティアに支えられ職員、利用者の総力を結集し開催されます。会員の皆様も万障お繰り合わせの上、愛命園を訪れまつりを盛り上げていただければと思います。また、育成会の支えるべき利用者の様子、変化を感じていただき、ご意見をお寄せいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。



編集後記
 11月23日(土)に、恒例の「園まつり」を開催いたします。当日は、JR五日市駅北口を8時30分に出発する送迎バスを用意しております。利用を希望される場合は、11月11日(月)までに、愛命園(0829-83-1111)まで連絡していただきますようお願いいたします。
 最近では、日中でも風の冷たさを感じるようになってきました。園まつりが近付くなかで、かぜをひかないよう十分に気を付けていきたいところです。皆さんも体調には十分に注意してお過ごしください。引き続き愛命園育成会をよろしくお願いします。