愛命園育成会だより 第48号


田 尾 秀 春

 この夏はこれまでにない記録的な猛暑が9月になっても続いています。皆さまにはお変わりございませんか。どのような涼を求めて過ごされましたか。
 この猛暑による熱中症で多くの方が救急車で搬送されました。また、数年前に既になくなられていた高齢者の方が発見され、一人暮らしの高齢者の実態把握と生活支援が問題となり、あらためて家族の絆について考えさせられました。
 新聞に「洪水の前には日照りがあった」という記事がありました。古代遺跡で知られるモヘンジョダロでは摂氏54°を記録したそうです。農民たちが口々に「水よこせ」とデモが行われています。これまでは洪水の被害が最も多かった所で、ヒマラヤ山脈から氷河が溶け洪水を起こし、その後に大地が干からびて、今は水や食糧の確保が困難な状況になっています。ヒマラヤからの水流はインダス、黄河、揚子江へと注がれ、現在インドとパキスタンとの間では水をめぐる紛争が絶えないそうです。20世紀が石油をめぐる国々の興亡だったとすれば、21世紀は水をめぐる国々の興亡となるかもしれないとも言われています。
 この夏の猛暑を契機に、異常気象がもたらす私たちの生活、地球や世界の人々のことを考えてみることも大切なことではないかと感じました。人々が共生共存する知恵とは何でしょうか。人のエゴや傲慢さを捨て、人と人が助け合い、本当に困った人々が救済される社会にならなければなりません。
 原爆復興のシンボルとして市民に愛されてきた旧広島市民球場が、8月31日53年間の歴史に幕を下ろしました。人々の善意と熱意によって支えられ「おらが広島の球団」として広島の活力となってきた球場がなくなることはただ寂しいだけではないものがあります。これまで弱いチームを花開かせるまで根気よく声援してきたファンと、意気に感じ努力してきた選手との共感が新球場に引き継がれ、結果を恐れないハツラツとした野球を観せてもらいたいものです。
 愛命園の活動の様子を、「あゆみ」を通して楽しく読ませてもらっています。これまであったプレハブに代わって創作活動棟が完成し、押し花やタイルアート、手芸などの活動が新たに始まったとのこと。陶芸棟、作業棟と合わせて日々の活動ができやすい環境が整備されうれしく感じました。また、今回は利用者の皆さんが普段の生活についてどのように感じておられるか話を聞かれていました。
大変に大切なことだと思います。なかなか人の話に素直に耳を傾けることは簡単なようで出来ないものです。私も歳と関係あるか分かりませんが、以前より自分がという思いより、関わり合い支えられ生活している周囲の人々の思いに心が向くように多少なってきました。
 これからも利用者の皆さんとの語らいにより、楽しい行事が企画され、家族・地域との絆が深まっていくことを願います。
今後、ますます愛命園と育成会の皆様とのつながりを深め、多くの方々のご理解とご支援が得られるよう、会員の皆さまのご協力をよろしくお願い致します。



【寄せられた善意】
[平成22年5月26日〜平成22年8月25日]
(順不同敬称略)
広島市佐伯区   どんぐり会
  〃      長峯 公明
  〃      来モータース
広島市安佐北区  竹原 幹
  〃      伊藤 則恵
  〃      田尾 秀春
東広島市     林出 ミヨ子
大分県佐伯市   田島 定

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。
 諸般の事情により、一部掲載を控えさせていただきました。



【編集後記】
 暑い暑いと言い続ける毎日が続いています。残暑ではなく、猛暑・酷暑・激暑・烈暑、今年は本当に暑いです!9月になっても熱帯夜が続き、記録更新中なのだそうです。そんななか、秋の気配を少しでも感じていただければと、愛命園では恒例のススキの採取・配布が行われました。

おりとりて
はらりとおもき
すすきかな
飯田蛇笏(いいだだこつ)

 ススキの穂を手にとってみると思いがけない命の重さに感動した、という俳句です。こんな感性、素敵ですよね。猛暑の中、そんな感動が見つからない私ですが… (U)