愛命園
開園30周年
おめでとう
ございます

竹原 幹

今年は愛命園が開園して30年目を迎える記念すべき年です。去る6月3日、愛命園において、開園30周年式典が行われました。
 この期に、私なりの、愛命園に対する思いを書いてみたいと思います。
 振り返ってみますと、昭和40年代は景気も良くなって、あんま・はり・きゅうを業とする視覚障害者の生活も安定してきました。しかし視覚障害だけでなく知的障害など、他の障害が合わさった重複障害者は学校を卒業しても行き場がなく、家庭に帰るしかないのが実情でした。このような重複障害者の状況を憂い、安心して生活できる施設の建設に立ち上がったのが視覚に障害のある先人であったことに、私は大きな喜びと誇りを持っています。
 とかく障害者は援助を受けるのが当たり前、行政から保護されるのが当たり前という人も多い中で、視覚障害者自身が中心となって重複障害者の福祉の向上に取り組まれたことに敬意を表したいと思います。私財をなげうって土地を取得され、映画を作って県内くまなく上映して資金作りをされるなど、新米教員の一人として先人の施設建設への並々ならぬ情熱を感じていました。そして昭和48年に、ついに佐伯郡湯来町の現在地に定員30名の重度身体障害者更生援護施設愛命園が開設されました。



 障害者だからこそ障害者の苦しみや痛みが理解できるのではなかろうか。同じ障害者同士が互いに思いやり、助け会うことの大切さや使命感を私に教えてもらったような気がしています。
 以来、愛命園は定員も増え、一昨年の3月には念願の全面改築をすることができ、定員60名のまさに日本一のすばらしい施設が完成しました。この喜びを味わう間もなく障害者福祉の形態が措置費制度から支援費制度になって、経営の存亡にもかかわるような大きな課題に直面しています。これまでもいくつかの大きな課題はありましたが、その都度法人本部や職員の方々の必死の努力によって解決してこられました。このことを思う時、障害者福祉制度の変更に伴う課題もクリアーされるものと確信しています。
 愛命園の自慢すべきことの一つに職員のすばらしさがあります。入所者の気持ちになって献身的に仕事をしておられる様子は、単に仕事というより心の通う家族のように接していただいていると聞いております。入所者にとってどれだけ喜ばしいことでしょうか。また、私どもにとっても本当に嬉しいことです。
 すばらしい施設にすばらしい職員。入所者が注目の的。入所者中心の施設として発展することを心から願っております。



【寄せられた善意】
[平成15年4月26日〜平成15年7月25日]
清水 和行   広島市
村本 実盛   広島市
藤正 坂二   加計町
村本三千世   広島市
石井 邦夫   福山市
どんぐり会   広島市
若菜 愛子   広島市
愛命園家族会
竹原 幹    広島市
田尾 秀春   広島市
土井 京子   広島市
村井 一文   広島市
伊藤 則恵   広島市



【編集後記】
長い梅雨はあちこちに災害を引き起こしておりますが、皆様の所はいかがでしょうか。愛命園でも、雨の度に、川の水位が気になるところですが、今回は改築をしていただいたおかげで、あまり気にせず川を眺めながら「よく降るなー、災害が起こらねばいいが」と思った位でした。
 新しい制度となって3ケ月が過ぎました。当初は押し流されるかも知れないと言う大きな不安がありましたが、何とか落ち着きました。職員の顔にも明るい表情がようやく見られるようにになったこの頃です。
 その一方では利用者の重度化が急速におし寄せて来ています。この方々に対するケアはどうあるべきか、ただいま正念場に立たされていると思います。 (Y)