第205号 愛命園だより「あゆみ」 令和6年10月
さくらホール(避難棟)の
ありがたみ
園長 髙橋 義彰
近年、自然災害のニュースを耳にすることが多くなっています。日本だけでなく世界各地での出来事に胸が痛くなるばかりです。愛命園でも過去、大雨や台風シーズンには隣接する水内川の水位に毎回不安を募らせていました。特に大雨が降るたびに「今回は大丈夫だろうか」と避難準備のため備品の確認、車両や経路、人員配置等、また利用者の体調や不安などへの対応も意識していました。慣れない避難先では利用者の皆さん、混乱したり興奮したり、付添いの職員も精神的に張り詰めた状態が続き疲労困憊になります。
高齢者や障害者など、自力での避難が難しく避難時に支援を必要とする方々を「災害弱者」と呼ぶそうです。「高齢者等避難」の警報がでれば早めの避難、対応を呼びかけます。ですが災害弱者だからこそ避難が難しいということを理解しなければならないと思っています。テレビなどで「わしゃ避難しとうない」と言われている高齢の方の姿を観たことがあると思います。「これまで大丈夫だったんだから今回も大丈夫だ」と、いわゆる正常性バイアスなどで語られたりしますが、本当にそれだけでしょうか。私たちにとっては大したことでなくても、「身体が飛ばされそうな強い風」や「足を取られるほどの道路に溢れた排水」など不安は尽きません。また、避難先では「床が硬くて座れない」「膝が痛くて一度座ると立ち上がれない」「トイレまでが遠い」など、避難を躊躇させる理由があるのだと思います。緊急時なのだから仕方ないと思われるかもしれませんが、その立場であったらと想像してみてください。
もちろん避難しなくていいという話ではなく、生命が第一であることは何より優先されるべきことです。だからこそ通常と異なる環境下にある時には、いつも以上の配慮が必要になるのだと思います。ちょっとしたやさしい言葉や差し伸べられた手に救われることがあるかもしれません。
おかげさまで、私たちはさくらホール(避難棟)があるので本当に安心して過ごせています。皆様に深く感謝いたしますとともに、被災された方々が一日も早く安心して暮らせる日が訪れることを心から願っています。
令和6年度旅行
生活支援員 沼座 洋
まだまだマスクが手放せない状況ではありますが、コロナの流行も落ち着き、待ちに待った楽しい旅行となりました。
1班の行き先は加計町のたい焼き「よしお」です。1班は午前と午後に分かれての外出となりました。「よしお」でたい焼きを購入し、その場で食していただきました。そのままでは食べにくいという方には、一口サイズにして提供しました。合わせてコーヒーやジュース、アイスクリームなども購入し楽しまれました。日差しが強く暑い日でしたが、隣接する建物で休憩させていただきました。
2班は、当初予定していた「来夢とごうち」が数店舗お休みである事が直前に判明し、急遽たい焼き「よしお」に目的地を変更しまいました。アイスクリームやたい焼きなどをそれぞれ堪能されました。帰りにはコンビニに立ち寄り、買物も楽しんでいただきました。
3班と4班は広島プリンスホテルのランチビュッフェとゆめタウンでの買い物です。到着後、まずホテルのエントランスで集合写真を撮りました。それから高速エレベーターで23階まで上がり、レストランでランチビュッフェをそれぞれ楽しまれました。チキンカレーやラーメン、海鮮丼、パスタ、一口サイズのケーキにアイスクリーム等、お腹一杯大満足でした。ゆったりした雰囲気で、高層階から見える一面の海も良かったとの感想もありました。
5班は東広島でのリンゴ狩りとピザ作り体験を計画しました。しかし、あいにくの雨模様。雨天時にピザ作りは難しいとの事で、泣く泣くキャンセルになりました。雨への対策で、タオルやカッパ、傘等を持って出発、リンゴ園では足元に注意しながらリンゴの収穫を体験しました。収穫した3種類のリンゴはその場でカットして、味比べをしながら堪能されました。その後ゆめタウン東広島で買物し、昼食はフードコートで食べたい物を選んでいただきました。楽しく話をしておられ、お腹も一杯になりました。
今年度の旅行はもう少し続きます。続きは、次回のあゆみでご報告できればと思います。
ご長寿お祝い会!
生活支援員 益成 純也
今年も愛命園では8名の利用者が賀寿を迎えられました。古希(70歳)が4名。喜寿(77歳)が4名でした。元気に長生きされていることに感謝したいと思います。
ご長寿お祝い会では、節目を迎えられた方ひとりひとりにご挨拶をしていただきました。元気に明るく話をして下さっていました。普段あまり会話をされない方も、この日は一味違って、大きな声を出して会場を驚かせてくれていたのがとても印象に残っています。
今年は記念品として手作り写真立てとお菓子の詰め合わせをプレゼントしました。喜んで頂けたように思います。また、レクリエーションとして新聞を使ったひっぱり相撲をして、他の利用者の皆さんも含めて楽しんでいただけたようでした。昼食には紅白饅頭とお祝いのいなり寿司を提供し召し上がっていただきました。
今後も皆さんの長寿を祈って、また来年も行事が出来る事を祈っています。
活動報告
生活支援員 髙畠 瑞枝
日々活動を頑張っている様子を報告いたします。先ず、リトミック体操・合唱・器楽合奏・散歩等を行っている生活班は午前中のみの活動ですが、ピアノに合わせて歌を歌ったり鈴や太鼓で演奏したり、体操で身体を動かしたりと毎日楽しく活動をしています。
作業棟は貝通しをしています。長い針金を小さな穴の開いた貝に通す作業を皆さん集中して行っています。手先を使う作業なので休憩を挟みながら行いたいけど、ほとんどの方が作業に没頭しています(笑)。
創作棟はペーパー折りと新聞折り、飾り 蓋をしています。折ったペーパーと新聞はみんなの生活に必要な物でとても役にたっています。飾り蓋は小さな蓋を小さな袋に入れるという細かな作業を、たった2名で行っています。
どの活動も誰かの為だったり、自分自身の為になっています。これからも無理のない範囲で頑張って活動をしていきたいと思います。
感染症との戦いはづづく
看護師 松永 千和
夏の恒例行事「愛命園 夏まつり」を目前に控えた7月末、新型コロナウィルス感染症が園内に蔓延してしまいました。昨年も同時期にコロナが発生したため夏まつりは急遽中止に。今年こそは!と皆さん楽しみにしておられたのに残念です。
2022年夏、初めて園内がコロナ感染症でクラスターになった時には、感染に対する恐怖と物品不足などもあって対応が後手後手となり、まさに手探り状態の中とても大変だったことを思い出します。その後何度かの感染を経験して行く中で次第に慣れていき、職員の動きもスムーズになってきました。(良いのか悪いのか…?)
この度は同日に4名の陽性者が出たためすぐに日中活動の中止を決め、利用者全員終日居室にて過ごしていただくことにしました。食堂を閉鎖、食事を各居室に配膳し、入浴は少人数ずつ実施していきます。早い段階でこのような対策を行うことで早期収束が期待できると分かりました。しかし、その間利用者には多大なる不便を強いることになりますし、職員も日常と異なる動きに大変疲労します。
収束、そして再び何らかの感染症に脅かされる日々…。感染症と人との戦いは終わりなき永遠のテーマと言えるでしょう。でも私たちは負けない。これらの経験を次に生かし、より良い対応策に改善すべく只今模索中です。
アスファルト舗装
事務長 林 洋輔
この秋、愛命園の3か所でアスファルト舗装工事を行いました。玄関前は元々アスファルトで舗装されていましたが、マンホールの周りが大きく欠けていたり、点字ブロックにぐらつきがあるなどしたため、そういった劣化の目立つ部分を中心に改めての舗装を行いました。続いて職員駐車場。こちらは砂地で、車の出入りによって大きなへこみができてしまうことが長年の悩みとなっておりました。砂や砂利を追加してならしたこともありましたが、しばらく経つと再びへこみができてしまうという状況を繰り返していました。舗装と共に駐車枠のラインと車止めを設置したことで、使い勝手もよくなったのではないかと思います。もう1か所はグランドです。春に完成した避難棟の周辺をアスファルトで舗装しました。以前は運動会も行われていたグランドですが、長年行事等で使われることもなくなっており、避難棟の整備に続く形で舗装を行うこととしました。
3か所ともキリッとした見た目になりました。いかがでしょう。
家族会より
家族会会長 畑後 克二
今年もやっと暑さが収まりつつも、10月に入ってもまだ秋らしい感じはしませんね。とにかく、夏が5ヶ月近く続くのでたまりませんね。日本の四季がなくなりつつあります。
話題は変わりますが、携帯電話が年々進化して便利になっています。色々な情報が早くわかりもう欠かせません。ただ、悪用されては困ります。
来月園まつりがあるとのことですので、楽しみにしております。
~木漏れ日~リレー随想
看護師 高岡 明美
ピアノが弾けるようになりたいと思い続け、子供と一緒に近所のピアノ教室に行き始めたのが数十年前。でも、話9割、レッスン1割状態。時間にもゆとりがなくなってしまい、辞めてしまいました。
でも、大好きなYの曲がどうしても弾けるようになりたくて、この年になってピアノ教室に再チャレンジ。子供より若い先生にお世話になっています。レッスンに行くと、違う部屋からもれる音色が素晴らしく、私は落ち込むばかり。センスもなく、練習もちゃんとせず、うまく弾けるわけないことはわかっていながら…。言い訳で始まって、「今度はがんばって来ます」それがルーティーンになってしまいました。先生も「大丈夫、ピアニストになるわけではないから楽しくしましょう」と、言葉を選びながら毎回励ましてくださっています。帰りの道中は、毎日10分でもいいから頑張ろうと思うのですが、実行できずに次のレッスン日となってしまいます。
継続は苦なり…、いやいや力なり。時間はかかりそうですが、弾けるようになるまではがんばりたいと思っています。
愛命園での活動について
広島工業大学大学院 工学系研究科
環境学専攻 博士課程前期2年 山口 翔大
まず初めに、愛命園を紹介してくださった広島市視覚障害者福祉協会 中神 誠会長、私の活動を承諾してくださった愛命園の方々及び関係者の方々、この度は私の活動にご協力いただき、誠にありがとうございます。
私は、5月7日から「視覚以外の視点から建築を見つめ直す」というテーマのもと、午前中は支援員、午後からは建築学を専攻する学生として主に視覚障害者の方を対象に活動させていただきました。活動は大きく分けて3つ行っており、1つ目が『各場所の利用者数の記録と統計』、2つ目が『移動経路と移動の際の手がかりの調査』、3つ目が『中庭をユニバーサルデザインのガーデニングとして活用する』です。
愛命園での活動は10月の末日までとなっていますが、引き続き中庭活用等で関わらせていただきますのでよろしくお願いいたします。
寄せられた善意
令和6年7月26日~令和6年10月25日
(順不同・敬称略)
《現 金》
山下 和義 前田 秀昭
付添看護共済事業愛命園支部
《現 物》
米 和田 靖幸
ぶどう ムカイ理容室
米 坂口クリーニング店
米 前田 秀昭
りんご 谷川 隆子
《朗読奉仕》
どんぐり会
《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子
※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。
人の動き
《入 所》
8月22日付 齋藤 仁
9月1日付 伊木 明子
《就 職》
7月21日付
非常勤生活支援員 眞野 真樹
(8月1日付で常勤生活支援員に)
着任挨拶
生活支援員 眞野 真樹
7月に就職しました眞野真樹です。この度、愛命園に入職のご縁がありましたこと大変嬉しく思っています。
学生時代、20年前ですが愛命園に実習に来させていただき、学んだ思い出があります。当時と少し建物の様子が変わったことも、懐かしい思い出と感じております。実習後、約20年高齢者施設で働き、様々なことを学びました。この経験を愛命園で活かし、皆様の生活がより良いものとなるよう頑張ります。まだまだ不慣れなところが多々ありますので、ご指導ご鞭撻の程、お願いいたします。
私事ですが、今年で48歳になります。体調に気を付け励みますので皆様どうぞよろしくお願いいたします。
編集後記
残暑がいつまでも残っているような、そんな10月です。彼岸花がなかなか咲かないという話も耳にしましたが、咲き始めるとあっという間でした。今は風に揺れるコスモスがあちらこちらで見られます。季節はしっかりと進んでいるようです。 (HY)