第198号 愛命園だより「あゆみ」 令和5年1月
新年のごあいさつ
広島県視覚障害者団体連合会
会長 橘髙 則行
愛命園をこよなくご支援して頂いている皆様、新年あけましておめでとうございます。皆様にはお健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
コロナウイルス感染症の流行も4年目を迎え、第8波を受け身近で感染者を感じるようになりました。それでも行動制限は緩和され、コロナ禍の中社会生活は平常に戻りつつあります。引き続き感染防止対策に心がけ日常生活を過ごして行きましょう。
今年の干支は卯。うさぎは穏やかで温厚な性質であることから『家内安全』、そして『飛躍・向上』を象徴するという意味もあり、新しい事に挑戦するのに最適な年と言われています。また、『うさぎの上り坂』ということわざもあり、物事がとんとん拍子に運ぶようです。皆さん、2023年、何か目標を立て飛躍する年にしてみませんか。
愛命園も、今年の4月には念願していた避難棟が完成します。避難することが無いに越したことはありませんが、いざと言う時、隣接する避難棟が有ることで利用者、職員の皆さんも精神的に安心ではないでしょうか。
私の正月の楽しみは、孫と会える事もですが、第99回東京箱根間往復大学駅伝競走の応援です。地元出身の原監督率いる青山学院、視覚障害者ランナーの居る創価大学を気に留め応援、今年も色々なドラマが展開されました。
初詣に出かけたお寺の山門にこんな言葉が掲げてありました。昨年のワールドカップからでしょうか。「PKを外すことが出来るのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」昨年カタールで開催のワールドカップ、カタールと言えばドーハの悲劇を思い出しますが、今回は違いました。予選リーグで奇跡的逆転、決勝トーナメントに進み、そこでは惜しくもクロアチアにPK戦で敗れましたが、日本中をドーハの歓喜で埋め尽くし多くの人に夢と希望と勇気を与えてくれました。人生、何が起こるか分かりません。皆が目的に向かい、心を一つにした強い想いは、夢を叶えてくれる事を教えてくれたのではないでしょうか。
今回の箱根駅伝に関わった選手やそれを支える部員たちは、正月の箱根を走りたいとの夢を持ち大学を選び入部。そのうち箱根を走れるのは選ばれた10人。ランナーに選ばれるかは未知数。それでも、夢を叶えるために日々練習をして来た人達です。サッカーでPKを外す者もいる。駅伝で順位を落とす者もいるが、選手に選ばれたから経験が出来るのです。
夢の叶う要素は何かを考えてみました。想いの強さ・行動の継続・正しい生活・徳の積み重ねかなと!
終わりに、皆様にとりまして今年が素晴らしい年となりますことを心より祈念申し上げますと共に、愛命園へのご支援ご協力を宜しくお願いします。
新しい年を迎え
園長 前 和枝
謹んで新春のお喜び申し上げます。
日頃より、愛命園へご支援、ご協力を頂きまして誠にありがとうございます。
今年は兎年。『飛躍の年』または『向上の年』とも言われます。何事にも向上心を持ち、飛躍できる年となりますように願っております。
今年の4月末には、避難棟『さくらホール』が完成します。何年も夢見てきた避難棟の着工が決まり、少しずつできていく建物を見ると感慨深く思います。気持ちを汲んでいただいた方々へ心よりお礼申し上げます。
そして、6月には愛命園創立50周年を迎えるという節目の年であります。先人の方々の気持ちを引き継ぎ、今後もより一層『一つ屋根の下、家族の気持ちになって』利用者・職員とともに歩んでまいります。念願かなったさくらホールで皆さんと共にお祝いができれば幸いに思っております。
昨年のことになりますが、新型コロナ感染症のクラスターとなり、約2週間利用者・職員ともに、見えない相手との闘いを強いられました。幸いにも誰一人重症化することなく収束することが出来ました。皆さんの協力があってのことと感謝いたします。
新型コロナについては今なお第8波の渦中にあり、体調管理と検査の日々が続いております。第何波まで続くのか?いつになれば制限なく家族との行き来ができるのか?考えても仕方のないことですが、切実に利用者は日々の生活に制約を受けており、ため息ばかり聞こえてくるようです。今春には感染症法上の位置付けの見直しがあるようです。期待はしつつ、それでも利用者の安心安全を第一に、職員一丸となって対応してまいります。
家族会より
会長 畑後 克二
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
新型コロナで3年が過ぎて今年は4年目になります。昨年末の冬季懇談会、クリスマス会には、家族が参加できず残念でした。
また、新年早々からコロナの感染者が広島県内でも増えており、これからも油断できませんね。特に規制もないので、個々がしっかり予防していくしかないですね。少しでも早く収まってほしいと願います。そうなれば、園の行事への参加も可能になると思います。
園長はじめスタッフの方々、利用者の皆様が、コロナ感染しないように願います。今年もよろしくお願い申し上げます。
田島治子さん
ありがとう
生活支援員 高橋 未歩
昨年の11月19日、愛命園に49年間入所されていた田島治子さんが永眠されました。
園では創作棟での新聞折りにいつも熱心に取り組まれ、他の利用者や職員とも良好な関係を築いておられる方でした。
食べることが大好きで「大きいパンがええ、寿司が食いてえ」とよく言われており、お寿司食べたさに入院を拒否し園へ戻ってこられたことを思い出しました。
また、イタズラをすることも好きだった治子さん。職員の制服を引っ張り「これをの、こーすりゃええんじゃ」と、くくくっと笑いながらお茶目な姿もよく見せてくれていました。
時には言い合いになり、ぶつかることもしばしばでしたが、そのたびに互いの理解が深められていたように思います。
そんな治子さんでしたが、5月頃から腎機能の悪化により食事もほとんど食べられなくなり、嘔吐を繰り返すようになりました。そこからの半年はほとんどを病院で過ごすこととなり、寂しい日々が続きました。入退院を繰り返した後、「看取り」として園に帰って来られることを聞き、担当として私に何ができるのか、日々不安がありました。皆さんの支えもあり、徐々に笑顔も出てきて「カップラーメンが食べてえ、ソーセージ買うてきてくれ」と以前のように少しずつ食欲も戻ってきていた矢先に、突然の訃報でした。
「いつ何があってもおかしくない状況」ということは頭で理解しているつもりでしたが、あまりにも早すぎてただ茫然としてしまいました。辛く苦しい時もあったと思います。ですが安らかに眠った治子さんの顔を見ると、最期を園で迎えられたことを喜んでくれたのかな?とも思いました。
これからはまたお姉さんたちと一緒に過ごせますね。
避難棟建設の状況
事務員 林 洋輔
昨年8月の着工から約6か月が経過した避難棟建設ですが、コンクリート工事が終わり、2階建ての建物部分が出来上がったところです。足場や防音シートで覆われ、なかなかその内部を確認することはできませんが、順調に工事が進んでいるようです。
建設工事を進めるにあたり、月2回総合定例会議が開催されています。発注者である愛命園に、設計監理者の大旗連合建築設計株式会社と施工者の株式会社プランニング三誠、電気工事や設備工事の担当業者が集まって、意見交換を行います。
外観に関わる大きな部分から、コンセントや照明スイッチ、手すりや鍵などの利便性に関わる部分、内装の様々な箇所の色についても、この会議のなかで細かく詰めていきます。完成した『さくらホール』が、災害に強いのはもちろん、使い勝手の良い空間となるよう、実際に使う場面をイメージしながら意見を伝えています。
現状は、コンクリートの躯体が出来上がったばかりなので、これらの意見が実際の建物に反映されていくのはこれからになります。完成の日を楽しみに、日々見守っていきたいと思います。
園まつり代替イベント!
生活支援員 益成 純也
今年も相変わらず新型コロナの勢いは収まることなく続いています。本来であれば11月23日は園まつり開催となるところですが、残念ながら今年も中止とせざるを得ない状況になってしまいました。
しかし、ただ中止にするにはあまりにも寂しい。なので今年は内容を短縮した代替イベントを行うことになりました。
園まつり恒例のお神輿の練り歩きからイベントがスタート。法被を着た利用者が、太鼓の音に合わせて「わっしょいわっしょい」と大きな声を出しながら、神輿を引いて園内を回りました。
続いて食事です。園まつりで恒例だったおでんが食べ放題、焼きそばやたこ焼きといったまつりを感じられるメニューに、デザートでチョコバナナが付きました。
食事を楽しんだ後は、アトラクションです。感染対策の為、来客やボランティアは呼ばず、そのうえで利用者の皆さんに楽しんでもらえるものをと考え、ゲームをすることに決まりました。箱の中身を当てる『箱の中身なんだろゲーム』と、音を聞いて何の音か当てる『音当てゲーム』です。
いざゲームを始めると、皆さん積極的に手を上げて答えを言って下さり、素晴らしい盛り上がりになりました。音当てゲームは動物の鳴き声や乗り物の音を流しそれが何か考えてもらったのですが、意外と難しく、よい刺激になったのではないかと思います。
コロナで本来の園まつり行事は出来ませんでしたが、無事に代替イベントを行えたのは何よりです。来年こそはコロナが落ち着いて、ご家族の皆さんにも来園していただき、楽しい時間を一緒に過ごせるよう切に願っています。
クリスマス会
生活支援員 梅田 大作
12月25日、今年度のクリスマス会を行いました。
新型コロナの流行を受け、規模を縮小し、利用者のご家族もお呼びしないかたちでの実施となりました。
乾杯の後、クリスマスメニューのお弁当をいただきました。食事が落ち着くと、朗読グループ『どんぐり会』の皆様に、園長、事務長、栄養士、そして林前園長も参加しての朗読劇が上演されました。次に湯来町の『あんみつ姫』様による紙芝居で更に盛り上げていただき、その後、2係の器楽合奏がありました。そして最後は毎年恒例となっている『愛命園と世の中の十大ニュース』の発表です。今回は様々なニュースと共に『愛命園の流行語』を発表し、いつもとは一味違うものでした。コメンテーターを務めた利用者の山本悦司さん・高野明恵さんの協力もあり、笑い声のあふれるコーナーになりました。
最後に美味しいケーキを頂いている中、サンタクロースによるプレゼント配布がありました。短い時間でしたが内容が濃く、楽しい時間を過ごすことができました。
最後になりますが、多くの皆様にご協力いただき、盛大に行うことができました。ありがとうございました。
愛命園のお正月
生活支援員 髙畠 瑞枝
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!」
元旦を迎えると職員同士で、あるいは職員から利用者へ、利用者から職員へと新年のあいさつが飛び交います。三が日を過ぎるあたりで園内のそこかしこから「誰に挨拶して、誰にまだ挨拶していないか分からない…」と悩む声が聞こえるのも毎年恒例、どこの施設でも「あるある!」でしょうか?
コロナ禍での生活も早4年目、お家には帰省されず、園でお正月を迎えられる利用者がほとんどとなりました。
そんな愛命園の、クリスマス会以降からお正月にかけての様子をお伝えしてみようと思います。
12月も下旬になって来ると「クリスマス会、もうすぐだね」とか「お正月が来る、一年があっという間だね」との会話が多くなるのですが、それと並行して「年賀状、誰に出そうかな?なんて書こうかな?」と言われる方がおられます。
各担当職員とどなたに送るか、どのようなメッセージを添えるか、話し合って決めて年賀状を作成します。「元気かな?会いたいなあ」の思いと共に今年もお友達やご家族の方々の下へ届けられたことと思います。また、元旦以降に届けられるご家族やお友達からの年賀状も、利用者の方々にとって喜びや励みになります。
12月25日のクリスマス会が終わると、世間も園内もすっかりと年末の雰囲気が漂います。
大晦日の紅白歌合戦を楽しみにされる方、年末年始の飲酒を楽しみにされる方(今年は30日~1月3日まで飲酒を希望される方へお酒の提供がありました)それぞれの年末を楽しんでおられました。
初詣は、麦谷八幡神社へ元旦の午前と午後、そして3日の午前の計3回、数人ずつに分かれて行きました。皆さん早い時間から暖かい格好をして待っておられました。ニュースでは年始寒波が来ると言われていましたが、道路に雪も無く天候に恵まれ晴天でした。「何を願おうか?」「願い聞いてくれるかね?」等言われながら参拝されておられました。
お正月なので、お神酒と御節やお雑煮、巻きずしやいなりずしと豪華なお正月料理に皆さん喜ばれておられました。お神酒を飲まれて、「これは酒か!」と喜ばれる方もいれば、苦い顔をする方もおられました。
三が日も過ぎようとすると、「仕事はいつから?」「みんな(職員)何日から来るん?」等、いつもの日常が待ち遠しくなる方もおられたり、「もう正月は終わりか?」「あっという間じゃね」ともう少しお正月を楽しみたいという方もおられました。
愛命園で過ごす年末年始を、充実したものと感じていただければ幸いです。
寄せられた善意
令和4年10月25日~
令和5年1月24日
(順不同・敬称略)
《現 金》
谷川 隆子 大成 敏正
森井旅館 林 弘子
蔵田ファイリング株式会社
《現 物》
冬瓜 坂口クリーニング店
そうめん 御堂 輝昭
花 堀田 秀子
みかん、じゃがいも 藤原 光男
葉牡丹 有限会社YUKI
花 中山 州満子
みかん 石井 巌
もち米 湯来東小学校
テーブルクロス 岡本 悦子
みかん 亀井 里之
クリスマスリース
広島ワイズメンズクラブ
しめ飾り 梅田 義文
《門 松》
葉牡丹 谷川 和江
作成、材料(松、竹、梅、南天)
今津 光春
《朗読奉仕》
どんぐり会
《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子
《芋ほり体験》
和田 靖幸
※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。
《表 彰》
広島市長表彰 伊藤 章
広島市社会福祉協議会会長表彰
森井 康子
編集後記
この量の雪は記憶にないですね。昨年末も近年では珍しいくらいの積雪になりましたが、1月25日の雪はそれ以上でした。幸い園の周りで目に見える被害などは出ていないようです。皆様のところは大丈夫だったでしょうか。 (HY)