第196号   愛命園だより「あゆみ」   令和4年7月

課題と新体制について
サービス管理責任者 伊藤 章
 2022年も上半期が過ぎ、日本各地では40度を超える、またはそれに近い記録的な暑さが連日続いている今日この頃、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 ご承知の通り、愛命園では利用者の方の重度化高齢化がますます加速しており、食事・入浴・排泄の3大介護に時間と人手を必要とするなど従来の支援施設から少しずつ介護施設化しているのを感じています。具体的な数字では、実員55名中、ベッドを使われている方は37名、常時車椅子を使われている方は15名ほどおられます。また、平成17年時、たったお一人だった特殊浴槽利用者は現在、男女合わせて13名に上ります。
 先輩方から受け継ぎ、踏襲すべきものと、新しい知識や技術などアップデートが必要なものとを整理していくことが今求められています。知識や技術を一定基準に揃える為の資格取得も大切にしつつ、急変する利用者の方の体調、気分の浮き沈みに気付き、様々なニーズに応えうる上で求められるもの、本当に大切なものはやはり資質を研くことなのだと感じています。
 愛命園の良さであり、強みの一つとして”同性介助”があります。文字通り、男女に分かれて同性で支援(介助)を行うものです。利用者個人の想いを大切にする為、同性介助に取り組んできましたが、弊害として直接的な関わりや携わる場面が部分的になることが多く、異性の利用者に対する支援への躊躇や戸惑いなど、手を出し辛くなるというデメリットが生じていました。
 4月、意識の改革から異性でも携わりやすい食事場面において、一つのテーブルに男女利用者と男女職員が就き介助を行う体制をスタートさせています。
 まだまだ改善の余地はあり、利用者の皆様には大変ご迷惑をおかけしていますが、”今更”と思うか、”今から”と思えるかで大きく支援の方向性が分かれると感じています。”これでいい”ではなく、違和感を察知できるように広い視野と十分な議論を重ね、利用者の皆様に安心して暮らしていただける支援に努めて参りたいと思います。



愛命園開園記念式
 事務員 林 洋輔
6月1日、愛命園の開園記念式を開催いたしました。愛命園の開園から、今年で49周年となります。
 永年勤続表彰を行い、豪華なお弁当と紅白饅頭で愛命園の開園記念日をお祝いしました。今年勤続表彰を受けたのは、30年の荒木美恵子さんと、10年の下前美佐江さんです。では、その2人からの言葉です。

勤続30年を迎え
生活支援員 荒木 美恵子
 この度、開園記念49周年式典にて勤続30年の永年勤続表彰を頂きました。これも利用者・ご家族、園長をはじめ諸先輩方・職員の皆様のご指導ご支援のおかげだと思っております。心より感謝申し上げます。
 行事や活動などを通じた利用者さんとの様々な経験が、人とのつながりや自身の心の豊かさをはぐくんでくれたのだと考えています。これまで利用者さんとご一緒させて頂いた沢山の楽しい思い出が私の宝です。ありがとうございました。

10年を振り返って
生活支援員 下前 美佐江
 10年間もここ愛命園で勤めることができたのは、利用者の皆さんや職員の皆さんのおかげだと思っています。
 最初は皆さんの顔と名前を覚えるところから。女子浴の着脱では、手をかけすぎないようにと注意を受けながらでした。利用者の誘導では、居室まで迎えに行ってからの誘導になるので、週の内2~3日は歩数が2万歩を超えていました。これもあって、今も元気に動き回れるのだと思っています。
 大変楽しく仕事をさせてもらっています。これからもよろしくお願いします。



食中毒対策
富士産業株式会社 
 課長 奥上 美代子
 6月21日、広島県に食中毒警報が発令されました。
 食中毒は「食品に起因する胃腸炎・神経障害等の中毒症の総称」と定義されています。つまり、食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。腐敗とは異なり、食中毒菌やウイルスが食品に付着しても、食品の「味」「色」「ニオイ」は変わらないこと、また菌が目に見えないくらい小さいため、気付かずに食べてしまうことになります。今年は梅雨明け後も蒸し暑い日が続いており、細菌性の食中毒の発生に注意が必要です。
 食中毒予防の3原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」です。それぞれ気を付ける点は、
① 細菌を食べ物に「つけない」ために「手洗い」が重要です。手に付いた菌や汚れを洗い流し、清潔な器具の使用がポイントです。使い捨て手袋を付ける際も、手が汚れていると、手袋も汚染されてしまいます。
② 食べ物についてしまった菌は、「増やさない」ように冷蔵庫や温蔵庫で保管し、早く食べること。
③ 食べ物や食器に付いた菌を「やっつける」には、十分な加熱(75℃以上)すること。愛命園での食事は、加熱しない生食の野菜や果物は、洗浄後殺菌しています。
 愛命園の食事提供は、家庭とは異なり大量調理です。HACCPに沿った衛生管理を行うことで、毎日安全・安心な食事提供に努めています。



七夕
生活支援員 沖田 美穂
 コロナウイルスが続く状況下ですが、園では今年も願い事を書いた短冊や飾りを笹の枝に吊るしてお祈りしました。
 七夕が近づいてくると、職員で短冊に書く内容を聞き取りします。七夕という行事の背景は理解できていなくても、おぼろげに願いが叶うと信じて「短冊は!願いを聞いてくれんのんか!」とスタッフルームを訪れる方もおられます。形はそれぞれですが、楽しみにされているようです。
 願い事を一部ご紹介します。『美味しい物を沢山食べたい』『おいしいお肉をたくさん食べたいです』『元気で過ごせますように』『足がちゃんとなれば嬉しい』
 圧倒的に食べることと健康に関することが多くありました。中には、何はなくてもお金が欲しいという、わかるわかるという願いもあり、7月7日の七夕に向けて心地よい雰囲気で短冊を吊るしていきました。お一人お一人の願いに出来るだけ近づけるよう、精一杯向き合って過ごしていきましょう。



田中裕子さんとのお別れ
生活支援員 吉本 結子
 令和4年7月4日深夜、田中裕子さん66歳との突然のお別れとなってしまいました。2日前から発熱があり、食べることの大好きだった田中さんが食事を一切口にされなくなり、病院で診察をしてもらったのですが、夜中に体調が急変し永眠されました。
 私が支援員となって初めての担当利用者さんでした。歌が大好きで、十八番の氷川きよしの「きよしのズンドコ節」をいつもカラオケで歌っておられました。毎日の日課として、おやつの後にテーブル拭きをして頂いたり、園内のゴミ集めをして頂いたりと、頑張って下さっていました。歩行時間の後にコーヒーやゼリーを食べることを楽しみにされていました。私自身、愛命園はまだ3年目であり、昔からの田中さんを知りませんが、この3年という時間で一緒に歌ったり、体操したり、散歩したりと思い出が沢山できました。あまりにも急な訃報の連絡だったので、電話を切ったあと、信じられない思いでしばらく放心状態となっていました。
 田中裕子さん。2年と10か月、私に沢山思い出を作ってくれてありがとう。もっともっと田中さんと関わっていたかったよ。 安らかにお眠りください…。
沢山 ありがとう…。



グループ外出
 5月12日から7月28日の期間でグループ外出を実施しました。

5月26日 『空口ママのみるく工房』
生活支援員 竹本 美由紀
 朝から雨が降ったり止んだりでしたが、出発予定時間に降っていなかったので出発!!
 到着後、利用者1名職員1名で順番に店内に入り、それぞれが食べたいものを注文、みんなで外のベンチに座って味わいました。「おいしい」と笑顔で食べられるのを見ていると職員も笑顔になりました。
 全員が食べ終わる頃に雨が降り始めたため、急いで車内に移動して帰園する形になりました。
 最後少しバタバタしましたが、外出できてよかったですね!!!


6月23日 『空口ママのミルク工房』
 生活支援員 山根 一洋
良く晴れていて暑い日でしたが、皆さんソフトクリームやジュースでのどを潤し喜んでおられました。みなさん「美味しい」と言われていました。気温が高く予定より早く帰園しました。


6月16日 『BBQ』
生活支援員 益成 純也
 利用者の要望を得てバーベキューをすることになりました。晴天に恵まれ絶好のバーベキュー日和です。まずは買い出しに行き、美味しそうなお肉とウインナー、野菜を各種購入し園に戻ってバーベキューの開始です。
 バーベキューのコンロに炭を並べ火を入れ網をセットして、後はお肉と野菜を焼くだけ。火力が強すぎて最初は焦げてしまいましたが、徐々にちょうど良い火加減がわかってきて、中までしっかり火が通った美味しいお肉に仕上げることができるようになりました。参加された皆さんは次々に食べておられ、喜んでいただけたのではないかと思います。


6月2日 『サンリブ』
生活支援員 白石 聡
 グループ外出として、サンリブ五日市店に行きました。目的は買物、昼食も各々で調達します。
 コロナ禍の割には皆さんいつもの調子で変わらない雰囲気。ひょっとしたらそれくらいの方が楽しい買い物が出来るのかもしれませんね。
 お寿司、お好み焼き、焼き肉等普段はなかなか食べることのない食材を買物カゴの中に入れていかれる姿を見ると企画した側も嬉しいものです。
 帰りには湯来交流センターに寄り、テラスにて食事を行いました。川沿いの涼しい風に吹かれながら楽しいひと時を過ごされたようです。



挽き立てコーヒー
生活支援員 森本 拓斗
 愛命園では、毎週木曜日午後から挽き立てコーヒーを開催しています。
 コーヒーの香りにはリラックス効果がありコーヒーの甘く香ばしい香りを嗅ぐことで緊張が解け気分が良くなったりもします。その他にも、脳卒中のリスク軽減、脂肪肝の発生を抑制、血液サラサラ効果もあると言われています。
 手動式のコーヒーミルを利用者の方に持ってもらい、時計回りに回して豆を挽きます。挽いた豆に職員が愛情を持ってお湯を注ぎ提供します。利用者の方には缶コーヒーより、味、香りがよく大変好評です。
 このように、利用者と職員がコミュニケ―ションをとれる場であり、いつも以上に体や心をリラックスして至福のひと時を満喫していただける空間を、毎週木曜日の午後にコーヒーと一緒に提供しております。



避難訓練
事務員 林 洋輔
 6月、水害を想定した避難訓練を行いました。訓練は、避難計画とマニュアルに沿ったかたちで進めました。まずは、防災対策委員会を招集し避難に向けた確認と準備を行います。避難を決定した後、避難用物品を車に積み込み、利用者にはまずホールに集まっていただき、そこから順次点呼を取りながら車両に乗り込んで避難所へ向かうという流れになります。実際に体を動かすことで、職員、利用者共に避難時の流れをイメージできるようにするというのが、訓練の大きな目的であると考えています。
 愛命園は、ハザードマップにおいて浸水が想定される区域の中にあります。園のすぐそばを流れる水内川の氾濫が想定されており、その水位を基準に避難指示等の避難情報が出されます。この十数年で実際に氾濫が発生したことはありませんが、危険を感じて避難を行ったことは何度かあります。平成30年の西日本豪雨の時も避難先で一夜を過ごしました。
 最近の大雨は季節を問わない印象です。常に備えはしておきたいと思います。



家族会より
愛命園家族会 高野 正明
 昨年、愛命園の職員の方の訪問を受け、両親ともに心が大きく動揺しました。
 私が83歳、妻が78歳、我が子と共に50余年過ごしてきました。私たちの子育ての限界を知り、今年中の入所を決断しました。二人が入院等となった際にお世話をお願いする所との契約を考えていたところ、子供は側で聞いていました。愛命園のことはよく知っていて、入所すると貝通しの仕事ができると楽しそうでした。
 11月に入所させていただき、自分の部屋があると喜んでいる様子。クリスマス会の発表での明恵の活躍に喜びが溢れます。我が家ではできない楽しい行動に感謝し、常に側で見守って下さる安心感に、両親と別れての生活に何も心配することなく成長している姿への驚き、自分の部屋に帰室しても「ただいま」と挨拶できる姿に安堵しました。感謝あるのみです。ありがとうございます。



~木漏れ日~
リレー随想
生活支援員 清政 幸惠
 断捨離という言葉をテレビや本でよく見かけます。私も本を購入して読んでいます。断捨離とは、『断つ』と『捨てる』を繰り返すことで物への執着から離れ、身軽ですっきりした暮らしを手に入れ、人生が変わるなどと言われています。やろうとする思いはありますが、行動できていないです。
 もう一つの課題は、自分の体の断捨離です。不要なものがたくさんある状況です。これからの人生、物もストレスもためない、身も心も軽やかに過ごしていく為に、断捨離、実行していきます。



寄せられた善意
       令和4年4月23日~
          令和4年7月22日
           (順不同・敬称略)
《現  金》
則末 伸夫    林 弘子
大成 敏正    中本 アイ子
森井旅館     橋本 全十郎

《現  物》
甘夏柑       藤原 光男
マスク       岩田 光史
菓子、飲料     谷川 隆子
花         中山 州満子
野菜ジュース   古林 多美恵
花         向井 八月
きゅうり      坂口クリーニング店
マスク       広島西南ロータリークラブ

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《入  所》
7月1日付  大倉 千代江

7月1日付  栗栖 光子



編集後記
 新型コロナウイルスの感染の再拡大が本格的に始まってしまいました。感染に注意しながら少しずつ行事を再開してきましたが、このところの急激な感染者数の増加で、方針の見直しもあるかもしれません。
 短すぎる梅雨が明けすぐに夏本番かと思いきや、そのあとの方が雨が続くという、なんとも不思議な状況でしたが、そのおかげで猛烈な暑さは先延ばしといった感じになっていました。
 ここから熱中症が怖い季節に入ります。コロナと合わせて、しっかりと対策をしていきましょう。(HY)