第194号   愛命園だより「あゆみ」   令和4年1月

新年のごあいさつ
社会福祉法人
広島県視覚障害者団体連合会
      会長 橘高 則行
 皆様、新年あけましておめでとうございます。
 年末の寒波で、年明けも厳しい寒さで幕開けかと思いましたが、お正月は穏やかな天候に恵まれ、初日の出に夢を念じました。
 私の正月の楽しみと言えば、人間ドラマが繰り広げられる箱根路を疾走する大学駅伝です。多くの人の思いを背負い、自分との闘いで過酷な場面も見受けられ心打たれますが、達成感もひとしおなんだろうなと思い見ました。結果は、原監督の率いる青山学院大学がパワフル大作戦で、記録更新をもって優勝しました。原監督の褒めて伸ばす指導法が実を結んだのでしょうか。創価大学の視覚障害者ランナー嶋津雄大選手も注目でした。
 今年は、寅年でも最も力の強い「五黄の寅」です。皆さんは、どんな年を夢見ておられますか。「トラは千里行って千里帰る」と言うことわざがあります。これは、子供を思う親心を表す言葉です。
 愛命園も以前から課題となっていました、災害時の避難施設への移動、避難所生活に対する避難棟建設ですが、昨年末の理事会、評議員会において避難棟整備変更計画の承認を頂き建設に向けてスタートしました。近年は毎年各地で豪雨災害が発生し尊い命が失われています。愛命園も前後が河川で台風や豪雨による浸水の不安を抱え、梅雨の時期や台風接近時には常に心配がたえません。また、避難をするにも、利用者の高齢化と重度化で移動の困難さがあり、いざと言う時職員のみでの避難誘導は困難です。命に関わり緊急性の要請もあり、早急な対応が求められることを受け、令和4年度末の完成で進めていきます。皆様のご理解とご支援を宜しくお願いします。
 更に、コロナ関係では、昨年末には収束の兆しが見えていましたが、変異株のオミクロン株が急速に感染拡大し全国に広がりの兆しを見せています。引き続き感染拡大には充分気を配り利用者へのご支援をして頂きますよう、職員の皆様には宜しくお願いします。
 今年が皆様にとりまして素敵な年となりますことを心よりお祈り申し上げます。福祉とは、普段の、暮らしを、支援することです。人と人とが支え合う暮らしを送っていきましょう。



新しい年を迎え
園長 前 和枝
 皆様、新しい年を迎え穏やかな日々をお過ごしのことと存じます。日頃より愛命園にご支援ご協力を頂きまして誠にありがとうございます。
 昨年もwithコロナの年で、利用者・ご家族の皆様には大変寂しい思いをさせてしまい申し訳なく思っております。コロナによる生活様式の変化は仕方ないのかもしれませんが、やはり会いたい人と会えない状況はとても辛いことと思います。その中でも、年末の感染が収まっていた時期にクリスマス会を開催でき安堵しております。感染対策をしながらの会でいつものように盛大にとはいきませんでしたが、利用者・ご家族の笑顔があちこちにあり、とても嬉しい気持ちになりました。『楽しいほっこりとした会でよかった』とのお言葉を頂き、ありがたく感謝しております。
 さて、今年度もコロナ禍ではありますが、いよいよ避難棟建設に向けて進んでまいります。ここ数年、豪雨による洪水・浸水・土砂災害や地震等、何が起こるかわからない状況です。命を守ることが最優先ですが、現状の建物では対応しきれず、避難をするのにも利用者の重度化・高齢化で時間と人手がかかり、また避難先でもパニックになったり、不安で眠れなかったり、ベッドの確保が困難であったりといった課題があるのが現状です。避難棟建設の話が出まして足掛け3年、やっと始動です。今まで支えていただいた皆様方に感謝しながら、今後も利用者にとって何が一番必要かを、一つ一つ丁寧に考えていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
 今年が皆様にとって良い年でありますようにお祈り申し上げます。



家族会より
家族会会長 畑後 克二
 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 昨年は引き続き新型コロナで大変でしたね。昨年の12月25日、クリスマス会と合わせて冬季懇談会と家族会を久し振りに行うことができまして、良かったと思います。
 しかし、新年早々コロナのオミクロン株が一気に増えて、感染が広島県で蔓延しています。これからの感染拡大が心配です。ワクチン、飲み薬で少しでも早く収まってほしいところです。園の行事にも影響がありますから、利用者、スタッフ共々、感染しないように願います。
 今年も、何卒よろしく頼みます。



藤田進さんとの思いで
生活支援員 山根 一洋
 令和4年1月14日、藤田進さんは永眠されました。
 愛命園に入所される前はパン職人として働かれており、『時間』と『手洗い』に強いこだわりを持っておられました。
 令和2年度より担当支援員として藤田さんに携わり、当初は作業や活動に参加するのを嫌い、部屋でテレビをずっと見ておられる印象でした。
 少しでも日々の生活に刺激を持ってもらおうと何度も二人で話し合って、朝の歩行と生活班の活動に参加して頂けるようになりました。本人もやる気になっていた矢先に、昨今の新型コロナウイルスの影響と度重なる緊急事態宣言で、自粛生活をお願いすることが多くなりました。「旅行に行きたい」「家族に会いたい」「福山の友達に会いたい」当たり前の希望ですが、どれも実現が難しい状況でした。昨年のクリスマス会には、世間の状況が落ち着いていたこともあってご家族を招待することができ、とても喜ばれていました。
 「コロナが落ち着いたら北海道に旅行に行きたい」藤田さんが入院前に何度も言われていました。コロナがなければもっと希望に沿った支援ができた、いろんなところに行けた。いろんなことを考えてしまいます。後悔はありますが、藤田さんと二人で話したことや散歩したことがとても印象に残っています。



野崎賀世さん・・・ありがとう
生活支援員 髙畠 瑞枝
 野崎賀世さん、食欲不振・高熱等が続き、昨年の10月9日から生協さえき病院に入院されていましたが、令和4年1月17日老衰にて永眠されました。83歳でした。
 野崎さんは昭和48年11月1日に入所され、みんなから「賀世ちゃん、賀世ちゃん」と呼ばれていました。京都出身なので、「何処住んでんの?」や「ええなぁ~」「何してはるの?」等、京都弁でみんなを癒してくれました。48年間広島に染まることなくずっと京都弁で、「京都行きたいなぁ~」と京都愛に溢れていました。
 音楽を聴くことが好きで、居室では自分で音楽をかけて聴いておられました。特に演歌歌手の牧村三枝子さんの歌をよく聴いたり歌ったりされていました。
 野崎さんといえば何といっても缶コーヒーです。とにかくお好きで毎日飲まれていました。「ええにおいやなぁ~」と香りを嗅いでは飲むを繰り返しながら缶コーヒーを堪能されていました。買い物や誕生日で何か欲しいものがないか尋ねるも、「缶のコーヒー」と言われるほど大好きでした。入院してからは飲めていなかったのですが、亡くなるひと月ほど前に、お見舞いに行った園長が病院の許可をもらい、ようやく口にして頂くことができました。きっと喜ばれたと思います。
 いつも優しい笑顔でみんなを和やかにしてくれましたね…。その笑顔に癒されました。素敵な時間を一緒に過ごせてよかったです。ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。



不在者投票所開設
生活支援員 三枡 満
 愛命園では10月29日に衆議院議員選挙、11月11日に広島県知事選挙の不在者投票を実施しました。不在者投票は、都道府県の選挙管理委員会が指定した病院や老人ホーム等に入院入所中の人が、事前に、今いる施設で投票することができる制度です。
 衆議院選挙は10月19日公示後、県知事選挙は10月28日告示後に、それぞれ事前に投票の希望を利用者に確認し、選挙管理委員会へ投票用紙等の請求を行いました。各投票日の数日前には、選挙管理委員会から送付された選挙公報や、広島県立視覚障害者情報センターからのデイジー版「選挙のお知らせ」を活用して、各政党や候補者に関する事前説明会を行いました。
 10月29日の第46回衆議院議員総選挙(小選挙区選出、比例代表選出)と第22回最高裁判所裁判官国民審査には12名、11月11日の広島県知事選挙には14名の利用者が投票されました。園の会議室を投票所にセッティングし、換気、アクリル板の設置、手指消毒等の感染症対策をしながら、外部立会人に来園していただいての実施となりました。
 当日は、「なんか、緊張するね」とか、「よくわからないから、教えてね」と話しながら、投票開始時間の30分前から会議室の前で待機される利用者もいらっしゃいました。政党名や候補者名の一覧を見ながらご自分で投票用紙に記入される方、点字用の投票用紙に点字を打たれる方、筆記が困難で投票する政党や候補者を決めておられない方には、職員が政党名や候補者名を読み上げ、「この党」とか「この人」とかで意思表示をして、代理投票制度を利用された方もおられました。無事に投票が終わると「選挙、済んだ、済んだ」とすっきりした様子の利用者や、「疲れたねー」と安心した様子で投票所を後にされる方もいらっしゃいました。
 投票用紙はその日のうちに選挙管理委員会に送致いたしました。これからも、投票を希望される利用者が安心して不在者投票ができるよう、そして利用者の投票する権利を守れるように支援させていただきます。



焼き芋会開催
生活支援員 竹内 仁志
令和3年11月25日、焼き芋会を開催しました。今回焼き芋会を開催したのは、ここ数年コロナ禍により各行事が中止となってしまっていたので、利用者の方に秋を感じて楽しんでいただきたいと思ったためです。
当日は、天気にも恵まれ、利用者の皆様にたくさん手伝っていただいて、スムーズに準備ができました。午前中に芋を焼き、午後からグループごとに焼き芋と飲み物を味わっていただきました。皆様とても満足した表情を見せてくれ、「良かった」「美味しかった」などの意見をたくさんいただきました。楽しんでもらえて本当に良かったです。



2年ぶりのクリスマス会
生活支援員 山根一洋
 令和3年12月25日にクリスマス会を実施しました。2年ぶりに例年に近い形での開催ができました。
昨年はコロナ禍で縮小した形での実施となり、利用者の皆さんには我慢をお願いする場面もありました。ご家族を招待したのも園の行事を通して2年ぶりでした。
 クリスマス会の時期にコロナウイルスの感染状況が落ち着いていたこともありますが、できる限りの感染対策を園全体で行ったうえで開催し、無事終えることができました。
 利用者の皆さんは、久しぶりの家族との再会やクリスマス会ならではのアトラクションを楽しまれていました。令和4年のクリスマス会はついたてを外し、ご家族と同じ席で食事ができるよう。コロナウイルスの収束を願っています。



初詣
生活支援員 小林 智華
 1月1日から3日にかけて、13名の利用者が麦谷八幡神社へ初詣に行きました。例年であれば元日は雪が積もり行けなくなってしまうことが多いということでしたが、今年は日が差していた為、神社までの道の雪も溶けて安全に行くことが出来ました。
 コロナウイルスの終息祈願やカープの優勝等、皆さんそれぞれお願い事をされました。天気も良く気持ちの良い年明けとなりました。



復帰しました
生活支援員 高橋 未歩
 第2子出産後の育児休暇を経て、令和3年10月26日、2年ぶりに愛命園の支援課に復帰しました。復帰して感じたことは車椅子の利用者が増えたことです。利用者の高齢化も進み、普段の介助の場面でも身体能力の低下が進んでいるように思います。また体の不調を訴えられる方や入退院の方も格段に増え、以前よりも介助を必要とされる利用者が多いです。
 そんな中でも「未歩さん帰ってきてくれたん、待っとったよ」や介助をした際に「ありがとう」と言葉をいただくととても嬉しい気持ちになり、支援課に復帰して良かったと感じます。
 コロナ禍で大変な時代ではありますが、利用者の皆さんには変わらずこれからも元気でいてほしいと思います。また、私自身も引き続き利用者の皆さんに寄り添い、より良い生活支援をしていけるよう頑張っていきたいです。



“飾り蓋”再開                  
生活支援員 二川 千佐子
 以前作業を行っていた飾り蓋が、2年ぶりに再開しました。創作棟にて2名の利用者に、小さい蓋を小袋に8個ずつ入れてもらう作業をしてもらっています。「久しぶりに飾り蓋をしてみてどうですか?」と尋ねると、「時々間違えるけど、やってみると手がちゃんと覚えていて上手く出来るよ」と、とても楽しそうに作業をされています。2人とも日に日にスピードが速くなり、職員が追いつくのがやっとでジタバタしています。気を遣う細かい作業ですが、やりがいがあるので、利用者2名と職員でこれからも頑張っていきます。



~木漏れ日~
リレー随想
看護師 椋田 千春
 こんにちは。去年の12月10日から、お部屋で栽培ブロックを使ってしいたけを栽培しています。始めはどんな感じでしいたけがでてくるのかな…と興味津々。3日目位から小さなしいたけが2つ…3つ…、なんともいえないその姿かたちに「かわいい!かわいいねぇ~」と、思わず声が出ます。家族にも「ねえねえ見て見て!しいたけの頭が出たよ!!」と、見てもらいたくなります。「あ~ほんとじゃ~」皆の声にしいたけも嬉しいのか、褒められたいのか次々と新しい頭が出てきます。
 お味噌汁に入れたり、鍋料理に使いながら、そんなこんなで12月18日頃には、もうこれ以上収穫は無理という時期が来ました。始めから数えたら、大小80個位を収穫しました。
 それをどうしたかというと、毎日声をかけてブロックが乾かないよう霧吹きをして、育てたかわいいかたちのしいたけ達に「ごめんね。痛いよ」と言いながら料理別に切り分けて冷凍保存しました。
 あれからブロックには3週間の休養期間を与えてあげて、年が明けて1月10日の今日、2回目の育生に向けてブロックが乾かないよう、毎日霧吹きを始めています。



寄せられた善意
       令和3年10月23日~
          令和4年1月22日
           (順不同・敬称略)
《現  金》
蔵田ファイリング株式会社
則末 伸夫     原田 秀夫
愛命園家族会    大成 敏正
森井旅館      林 弘子
谷川 隆子


《現  物》
菓子        原田 秀夫
タオル       向井 八月
菓子        谷川 隆子
レトルト食品    徳永 保
さつまいも     藤本 マヤ
大根        新田 嘉弘
みかん、じゃがいも 藤原 光男
漬物        坂口クリーニング店
みかん       亀井 里之
葉牡丹、花     有限会社YUKI
じゃがいも     髙橋 義彰
コーヒー、石鹸   高野 鈴子
しめ飾り      梅田 義文
もみじ饅頭     にしき堂
クリスマスリース
広島YMCA
広島ワイズメンズクラブ


《門  松》
葉牡丹      谷川 和江
作成、材料(松、竹、梅、南天)
         今津 光春


《朗読奉仕》
どんぐり会


《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子


《芋ほり体験》
和田 靖幸

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《入  所》
11月1日付  高野 明恵
 とても明るく、気さくで、皆さんにとけこんでおられます。生活班でも作業棟でも、ムードメーカーでまわりがパッと明るくなります。


《退  職》
12月31日付 生活支援員 星野 安子


《表  彰》
全国社会福祉協議会会長表彰
   事務長 竹内 美千代

広島県社会福祉協議会会長表彰
    サービス管理責任者 伊藤 章

広島市社会福祉協議会会長表彰
    生活支援員 森下 静江

被表彰者より

事務長 竹内 美千代
 平成5年に法人本部に非常勤職員として勤務し、平成9年4月より広島県立視覚障害者情報センターに異動となり、定年までと思っていました。平成25年9月に愛命園に異動の話があり無理と思いましたが、林前園長よりどうしてもということで引き受けて現在に至っています。
 この度、園より推薦していただき令和3年度全国社会福祉協議会会長表彰を受けさせていただきました。ここまで務めることが出来ましたことは、皆さんのおかげと感謝しています。ありがとうございました。


サービス管理責任者 伊藤 章
 この度の表彰は自分にとっては過分な事に思いますが、これもひとえに利用者のみなさんを始め、職員のみなさんの支えがあって頂いたものだと感謝しております。
 17年前、当時24歳だった私は少しの不安と緊張の中、利用者のみなさんに温かく愛命園に迎えて頂いたのを昨日のことの様に覚えています。
まだ10代の頃”仕事”について父と話をしたことがありました。「同じ時間を費やすなら自分が成長できる環境に身を置きなさい」それが父の答えでした。
 それから生活支援員、相談支援専門員、サービス管理責任者と立場や役柄が違うものを経験させていただく中で、数々の失敗を重ね、打ちひしがれ、それでもみなさんに導いていただき今日に至っています。
 物事を捉える視点や尺度は少しばかりは広がったように思いますが、利用者の方から学ばせていただく姿勢と、反省はしても後悔のない支援に今後も努めて参りたいと思っています。


生活支援員 森下 静江
 10月の半ば、夕方のミーティングで園長から「森下さん…」といきなり私の名前が出た時何か注意をされるのかと思いました。最後まで話を聞くと広島市社会福祉協議会会長からの表彰状の件でした。市内まで最近車で行っていないので不安な事を話すと「表彰状はコロナ禍なので園の方へ郵送してくるから大丈夫ですよ」と言われました。思いもよらぬ話を頂きました。
 それからは11月の職員会議・12月に入ってからは懇談会・クリスマス会の十大発表にも紹介して頂き社会福祉協議会に行かなくても園で沢山の方に祝福して頂き賞状は課長から受け取りました。
 私は非常勤から常勤になり、皆様に支えられて支援員の仕事が続けられてきました。ありがとうございました。これからも利用者さんが愛命園で安心して、快適に生活が出来るように支援したいと思います。



編集後記
 前号で話題にした金木犀について、どうやら開花の時期が例年より遅かったようです。一斉に咲かず、ちらほらと、長い間咲いていました。今までこんなことは記憶にありません。なんなんでしょうね。皆さんのまわりではどうでしたか。  (HY)