第192号   愛命園だより「あゆみ」   令和3年7月

愛命園現状報告
支援課長 橋 義彰
 新型コロナウィルス感染症も第5波が全国的に広がりをみせようとしており、愛命園利用者・ご家族・関係各所の方々にご心配をおかけしています。現在の愛命園の状況ですが、65歳以上の利用者の皆さんはすでにワクチン接種が終了しており、職員も8月中旬には2回目の接種を予定し、64歳以下の利用者も9月上旬で2回目の接種が終わる予定です。
 利用者の皆さんには通院以外の外出は未だ控えていただいておりますが、9月以降は状況を見ながら外出も再開していく予定です。まだ買い物等は実施できていませんが、隔週のマックスバリュによる移動販売が少しずつ定着しているようです。例年ですと9月頃から旅行の時期に入りますが、今年は状況を窺いながら臨機応変の対応ができるような計画立案を進めています。まだ飲食を伴うレストランでの食事や浴場などは控え、近隣の湯来ロッジや温井ダム方面へのドライブなどが候補として上がっているところです。その他の行事でも、夏まつりなど園内に限って、密にならないように配慮しながら、ひとつひとつの行事に取り組んでいます。7月からは音楽療法、新たに加わったリトミックやコーラスの先生方、朗読ボランティアの方々など、検温の上で、アクリル板越しではありますが、少しずつ再開しています。いろいろな制限がかかる状況で、ご不満も多々あるかと思いますが、利用者の皆さんも現状をご理解くださり本当に感謝いたします。
 その他、愛命園で何か明るい話はないかと考えると、ここ最近愛命園職員に、お子さん、お孫さんの誕生という話題が続いています。休憩時間には子供の話やスマホに撮ったかわいい写真を見せてくれる職員もおり、そうしたニュースに職員だけでなく利用者の皆さんも喜んでくださり、穏やかな雰囲気にさせてもらっています。まだまだコロナ対策は続くのだと思いますが、今できることを、力を合わせてひとつひとつ乗り越えていきたいと思います。


踏襲すべきものと改善すべきもの
サービス管理責任者 伊藤 章
 ようやく梅雨も明け、夏本番がやってきました。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。お米を作らなくなった父の田舎では、両親が種を蒔いた向日葵が一面に大輪の花を咲かせています。
 時を戻し、令和3年1月、年度移行会議が例年通り始まりました。次年度の方向性を話し合う重要な会議です。活動、日課、居室編成、居室担当、行事や会議の持ち方等を、決して利用者の不利益とならぬよう、3月まで毎月1回 丸一日をかけて検討していきます。
 行事や活動では、内容や意味合いの再検討により、これまで利用者が主体となって参加されていたものが、重度化・高齢化に伴い少しずつ職員主導へと変わり、存続が難しくなったものもあります。長年に亘り、ご家族の皆様にも参加、協力をいただいていたススキの採取・配布行事の終了はご記憶にも新しいことと思います。木工班・陶芸班・手芸班等の活動もその一つです。
 今年度より変わったものを一つご紹介します。朝食の提供時間の変更です。
 これまで、6時の起床から食事介助が必要な方への食事提供まで1時間弱しかありませんでした。排泄、更衣、洗面等の起床介助が必要な方が年々増えており、お一人お一人にかかる時間を逆算すると、食事提供時間に間に合うように食堂へお連れすることが難しい状況でした。例えば、早出の職員の増員や、出勤時間を早くすることは可能ですが、それでも時間が足りません。そこで出たのが、朝食の提供時間を20分ほど遅らせるという案でした。
 一度形になったものを崩すことは、利用者の皆さんは勿論、職員も慣れるまでに時間を要します。大きく変えるのではなく、頭を柔軟に、今の生活リズムを保ちながら改善を図ります。早出職員の出勤時間までは夜勤明け職員一人で動く為、非常に慌ただしく時間が流れてゆきます。
 愛命園は、自分でできる部分は利用者ご自身でやっていただくということを大事にしてきました。例え時間がかかっても、不十分であったとしても、ゆっくり待ち、見守り、できたことをしっかり褒めて喜びを分かち合うことを、先輩方から繋いで来ていると思っています。愛命園が大事にして来た部分でもあり、それが良さであり、強みだと思っています。
 心にゆとりを持ち、丁寧な対応で、何よりも安全性を最優先とした支援にこれからも努めて参ります。


田島勝子さんを偲んで・・・
生活支援員 畠 瑞枝
 田島勝子さん、令和3年5月12日に生協さえき病院に入院し、6月28日に永眠されました。享年83歳でした。
 昭和48年6月20日に三姉妹で入所され、共に手を取り合って生活しておられました。勝子さんは、作業棟で貝通しをするのが大好きでした。早い時間から職員を呼び、「早く仕事連れてってくれやー」と言われたり、祝日には、「今日は仕事無いんか…」と寂しそうにしたり、「お仕事頑張って来ましたよ」と満面の笑みで報告をしてくれていました。
 また、毎週土日のカラオケをとても楽しみにされていました。特に演歌が大好きで良く歌っていたのは、牧村三枝子さんの“みちづれ”でした。大きな声で熱唱していたのを思い出します。居室でもラジカセを抱え、色々な歌を聴いては口ずさんでいました。本当に歌うことが好きな方でした。
 誰とでも直ぐに仲良くなり、職員からも愛されていました。話し上手で活動的、とても頑張り屋さんで、自治会の役員を長年務め、信頼されていました。愛命園に入所して48年間、昔のことも良く覚えておられ色々な話を聞かせてくれました。旅行、運動会、園行事等々…、たくさん楽しませてもらいました。時々わがままを言って妹の治子さんや職員を困らせることもありましたが、笑顔が可愛くて誰にでも優しくみんなから愛されていた勝子さんでした。
 たくさんの笑顔をありがとう。思い出をありがとう。ゆっくり休んでください。


愛命園開園記念日
 令和3年6月1日、ホールで開園記念式を執り行いました。今年で48回目になります。新型コロナウィルスの影響下での開催となり、園外からのお客様はなしとなりましたが、お祝いのメッセージを法人の橘会長、そして林前園長からいただきました。
 ここから、永年勤続者表彰を受けた職員の言葉を紹介します。

気づけば…もう10年
生活支援員 畠 瑞枝
 令和3年6月1日の48周年開園記念式で、私は永年勤続10年として表彰されました。ありがとうございました。あっという間の10年でしたが、非常勤では2係に所属し歌ったり体操したり無我夢中でした。その後、常勤になり今まで以上に責任感も増えましたが、利用者との距離も近づき楽しい日々を送ることが出来ています。
 ずっと気になっていることがあります。私の名前を正確に言える利用者はどれくらいいるのでしょうか…。“畠”と書いて“たかばたけ”と読みますが、よく“たかはた”と言われます。電話で「たかはたさんですか?」と聞かれると、「違います」と言って電話を切ることもあります(笑)長いし言いにくいのでちゃんと言える利用者さんは数少ないと思います。未だに「誰?」と聞かれることもあり少しショックを受けながら教えるけど、また別の日に「誰?」と。自分でも名前を噛むぐらいなので仕方ないですね。ちゃんと名前を言ってもらえるようこれからも頑張っていきたいと思います。

20年前のあの日
生活支援員 野上 好子
 私が面接に来たのが年の暮れで、その日は雪が降っていました。終わって帰ろうとしていたら、一人の利用者さんが玄関で見送ってくれたのを今でも忘れることができません。
 なにも知らない私に、いつも親切に教えてくれた人がいて、ときに失敗すると爆笑されることもありました。助け合って生活をしている姿は、すごいなと感心することばかりでした。
 これからも利用者さんに寄り添っていきたいと思います。ありがとうございました。

10年前といえば
理学療法士 大成 敏正
 6月1日、愛命園創立48周年にあたり、園より勤続10年表彰と記念品、家族会より感謝状と記念品をいただき恐縮いたしております。誠にありがとうございました。
 想いおこせば10年前、私が愛命園にお世話になった時は、東日本大震災直後で福島の原発事故もあり、これから世の中いったいどうなるのだろうという不安に覆われていた時期でした。私はといえば、前職場が救急科のある総合病院のリハビリ科からの転身でしたので、皆さんに受け入れてもらえるか不安な時期だったと思います。
 しかし案ずるより産むが易し。利用者の人懐こい笑顔や「先生、好きよ」「次、いつ来るん」などの言葉に励まされ、あっという間の10年でした。利用者の高齢化が進み何かと難しいリハビリ部門ですが、利用者との対話を大切にしながら、そして自分自身の健康にも留意しながらもう少し愛命園にお世話になろうと思っています。今後とももうしばらくよろしくお願いいたします。
 最後に2011年5月の朝、快晴の愛命園職員駐車場から、愛命園とその背後にそびえる山々をみたときの私の印象を皆さんにお伝えし、お礼の言葉とします。そう、あの時私は始まったばかりの愛命園の皆さんとのかかわりの中で、「まるでジュリー・アンドリュウス主演のミュージカル映画「サウンド オブ ミュージック」のオープニングのようだ」(お若い方で映画をご存じない方、ぜひ「サウンド オブ ミュージック」をご覧下さい)

勤続10年表彰を受けて
生活支援員 島 清美
 愛命園48周年の記念日に勤続10年表彰をいただきました。ありがたいことに、多くの利用者、職員に「おめでとうございます」と温かい言葉をかけていただきました。
 これからも愛命園の利用者が健康で穏やかな日々を過ごしていただけるよう、精進していこうと思います。
 新型コロナウィルスが1日も早く終息し、以前のような日常が戻ってきますよう祈るばかりです。


七夕
生活支援員 沖田 美穂 
 7月7日は七夕です。地域ごとの言い伝えや伝統はあるかと思いますが、園では日々の生活に季節感を取り入れ、五感で感じてもらうことで毎日の生活に彩りをもたらすことを目的に、毎年の行事として行っています。
 今年も笹を準備し、利用者の方には担当を通して短冊に願い事を書いてもらいました。
 一部ですが紹介させて頂きます。
 『美味しい物を沢山食べたい』 『健康でありますように』  『お姉さんに会いたい』 『家に帰りたい』 『母親に元気な姿を見せる』 『私の思うように足を動かしたい』 『コーヒーいっぱい飲みたい』 『アイスクリーム食べたい』 『カープが勝ちますように』 『みんなが長生きできますように』
 などなど。職員にお願いしてる?なんて思いながら、どの願い事を見ても欲張りなものはなく、きっと叶うよ!と笹の葉いっぱいに七夕飾りと短冊を下げていきました。
 ひとときの間でしたが、園の玄関に賑わいがありました。


新型コロナワクチン
看護師 松永 千和
 新型コロナウィルス感染症がパンデミックとなっている今、収束への希望の第一歩、ワクチン接種が園内でもようやく始まりました。
 重症化のリスクの高い高齢の利用者から優先的に接種券が届き、65歳以上の利用者は6月中に2回の接種を終えられました。7月からは職員、8月からは64歳以下の利用者と順次接種を行う予定です。
 ワクチンにおいては様々な情報を耳にします。そのため接種で起こりうる体調変化に対する不安もあります。利用者の接種時は体温、血圧、血中酸素飽和度を測定し、見守り職員を手厚くして様子を見ています。
 このワクチン接種で重症化を少しでも防ぐことができるなら…。
 利用者も私たちも、1日も早く不安のない日常を取り戻したい気持ちで一杯です。引き続き感染対策をしっかりと行いながら、その日が来るのを待ちたいと思います。


食中毒警報発令中
管理栄養士 青木 ましず
 6月9日水曜日午前10時、広島県に食中毒警報が発令されました。食中毒を防ぐためには、3つの原則「つけない」「増やさない」「やっつける」を守ることが大切です。
・細菌、ウィルスを食べ物や調理器具に「つけない」
 手指衛生を徹底することが大切です。園では手洗い用の蛇口を温水にし、自動手指消毒器を設置するなどの対応をしています。
・細菌、ウィルスを「増やさない」
 食品や調理されたものは、適切な温度で保存しましょう。園では、利用者の食事は温冷配膳車で、職員の食事は温蔵庫と冷蔵ショーケースで管理しています。
・細菌、ウィルスを「やっつける」
 園では、栄養部門をこちら側で、調理部門を委託会社にお願いして、安心安全な食事提供をしてもらっています。
 “今日もうまいの〜〜ぅ”利用者の笑顔と元気のため、コロナ、食中毒予防をしていきます!!


日常の大切さ
生活支援員 森野 香菜子
 5月12日、広島県に2回目の緊急事態宣言が発令されました。これを受けて愛命園では日課の作業活動、生活班活動をすべて休止、間近に控えたグループ外出も中止となりました。利用者の皆さんにとっては、突然何の予定も無い日々が訪れることとなり、戸惑われる様子が見受けられました。また、「あと数日で久しぶりに外出できる!」と楽しみにされていたグループ外出が中止になったことについては、やりきれない思いが大きく募っていらっしゃるようでした。
 日課が休止となっている期間、常勤支援員は各担当利用者の居室整理やお話を聴く、一緒に散歩する等のケアを行うこと、非常勤支援員は窓のサッシ掃除等の環境整備を行うことになりました。利用者の皆さんは、支援員と一緒に居室の清掃を行う方、歩行を行う方等、思い思いに過ごしていらっしゃいました。
 私は、担当している利用者から「歩こうやー!なーんにもすることがないよ!」と毎日のように誘われて一緒に歩きました。歩いている間に、作業活動がないと非常に退屈なこと、帰省ができなくて寂しいこと、部屋でCDを聴いていること、やっぱり外の空気を吸いたい!などたくさんお話を聴かせてもらいました。晴れた日にはグランドやレンガ通りを歩き、ある時は納骨堂まで行き、手を合わせて亡くなられた利用者へ思いを馳せました。
 感染状況が収まってきた6月7日に活動再開となりました。「いつまでこの日々が続くのかな?」と不安に感じていましたが、過ぎてみればあっという間だったように思います。利用者の皆さんは、やはり活動があるいつもの日常の方がイキイキとされているように感じました。
 今まで当たり前のように過ごしてきた「日課のある日常」が利用者の皆さんにとって「生きがい」なのだと感じました。これからも新型コロナウィルスへの対策をしっかり行い、日々を安心して過ごして頂けるよう支援をしていきたいです。


家族会より
家族会会長 畑後 克二
 7月になり、あっという間に今年も残り半年となりましたね。新型コロナウィルスも、広島県では大分少なくなってきている状況です。しかし、こればかりはまだまだ油断できませんね。愛命園の利用者、スタッフのワクチン接種が早く完了することを願うばかりです。
 又、これからは暑さが一段と厳しくなる大変な季節です。外せないマスクも、これからの季節にはつらいです。熱中症にも注意しないといけません。
 園長はじめスタッフの皆さん、これからもどうぞよろしくお願い致します。


〜木漏れ日〜リレー随想
飼っていた鳥が実は・・・
生活支援員 竹内 仁志
 早いもので愛命園で働き始めてもうすぐ1年になろうとしています。引き続き、皆様のご指導宜しくお願いします。
 私は、家で大きい鳥を飼っています。ヨウムという種類で今は絶滅危惧種になっています。今年で20歳。頭が良く5歳児ぐらいの知能があるそうで、人の顔も覚え、一人にしか懐きません。妻が結婚前から飼っていましたが、今はなぜか私に懐いており、私が世話係になっています。名前はハチベエで、オスだと思っていたのですが、なんと今月初めて卵を産みメスだと判明しました。今は改名してハチコになりました。人間でいうと35歳ぐらいだそうです。20年間オスだと思われていたので家族はとても驚いていますが、これからも相棒として仲良くしたいと思います。まだまだヨウムについて詳しくないので、仕事のことも鳥のことも勉強していきたいです。


寄せられた善意
       令和3年4月23日〜
          令和3年7月22日
           (順不同・敬称略)
《現  金》
池元 省吾     林 弘子
宮田 明典     大成 敏正
森井旅館      八代 孝子
後藤 幸生

《現  物》
菓子、スープ、乾麺  谷川 隆子
冷蔵庫         青木 ましず
菓子          岡本 悦子
野菜ジュース     古林 多美恵
玉ねぎ         梶原 繁子
菓子          高野 鈴子
コースター       花田 敏文

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

編集後記
 いただいたアサガオの種から出た芽が育ち、花が咲きました。きれいな紫色の花です。(HY)