第190号   愛命園だより「あゆみ」   令和3年1月

新たな気持ちで
社会福祉法人
広島県視覚障害者団体連合会
  会長 橘 則行
 新年明けましておめでとうございます。
大自然は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を感じ取り、人々の行動自粛を促しているのでしょうか、昨年末からの寒波到来で厳しい寒さの中新たな年がスタートいたしました。
 昨年よりの新型コロナウイルス感染症は、100年に一度と言われる国難で、個人や家庭生活、団体や地域活動、愛命園の利用者の生活様式等々と多大な影響を受けています。新年を迎えても感染拡大は続きコロナの収束の見通しは見えない状況に在ります。私達は自ら出来る感染拡大防止対策を徹底して行い、愛命園での発症は防がなくてはなりません。この様な中、園長をはじめ職員関係者の皆様には拡大防止対応にご尽力を頂いています事に厚く感謝申し上げます。
 こんな話を聞きましたので紹介させていただきます。「バッタさんのお話」です。ある所に目的もなく、行き当たりバッタリしているバッタさんがいました。すると、バッタの体のあちらこちらに、黒いシミが出てきました。これはどうしたものかとお医者さんの所へ相談に行きました。お医者さんは「果物をしっかり食べると良いですヨ」と言いました。バッタは、庭になっている柿の木から「柿」の実を取って食べました。それでも「シミ」はとれません。そこで、バッタはある人に相談しました。ある人は言いました、この「シミ」は「苦しみ・悲しみ」だったのですヨ。かきを食べても、良くならなかったのは、この「かき」が「もがき・あがき」だったからですヨ。そこでその人は言いました、朝日の当たる あの険しい崖を上ると良い事がありますヨと教えてくれました。バッタは喜び、山登りの準備をして、険しい崖を上って行きました。頂上に着いて身体を見ると、「シミ」はすっかり消えてました。バッタは聞きました、この山の崖は何という崖ですか、ある人は言いました、その崖は「命がけ」だったのですヨ。
 何事も一生懸命「努力」で物事に当たる事で結果が表れると思います。今年も正月の箱根駅伝でいろんなドラマを見させてもらいました。中でもゴールでタスキを繋いだ選手が倒れこむ姿を何人も見ました。彼らはまさに命がけの努力を見せてくれていたと思います。今後コロナ禍でどのような険しい崖道が待ち受けているかはわかりませんが、力を合わせて前に前に進んで行きましょう。
終わりに今年が皆様にとりまして素晴らしい年となります事を心よりお祈り申し上げます。


新年を迎え
園長 前 和枝
 明けましておめでとうございます。旧年中は皆様にさまざまなご支援・ご協力をいただき心よりお礼申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 年末より続いた寒波は、ここ数年に無い寒さでした。毎年1月1日には利用者と初詣に近隣の神社へ参拝するのですが、今年は積雪もあり安全の為延期いたしました。自然には太刀打ちできませんね。昨年から感染拡大している新型コロナウイルス感染症も中々手強い戦いとなっています。愛命園利用者・ご家族にも大変ご負担をおかけしています。面会制限や年間行事の縮小・中止など外出もできない利用者にはとても窮屈な生活ですが『しょうがないよねぇ。コロナじゃけん』と了解してくださることに頭が下がります。少しでも早くこの状況を緩和できればと願うばかりです。
 高齢化と共に複数の病気を併発される方が多くなっています。車椅子の方も増えているように思えます。現状維持ではなく重度化へ加速しております。どうすれば、解決できるのか考えていかなくてはなりません。ハード面では園舎築19年になり外壁塗装を行いました。厨房大型冷蔵庫や衣類乾燥機の故障、共有部分のLED化など、経年劣化へ対応するための修繕・更新も引き続いて実施しております。今後も計画的に進めていきたいと思います。
 昨年5月より、密を避けるため放送による朝礼を行っております。利用者の皆さんも楽しみにしておられ 『今日も一日頑張りましょう!!』の声かけでスタートしています。大切にしているのは、一人一人の誕生日です。誰もがこの世に生まれてきた大切な誕生日。利用者にも職員にもその日は朝礼で紹介し皆さんで「おめでとう!」と拍手します。同じように生を受け1年1年歳を重ねその人の生きた証が皆さんで祝える素敵な事ですね。生まれた環境・育った環境は違うけれど1年歳を重ねた今が愛命園で祝う事ができるあたたかさがあります。とても嬉しく皆さんで心から『おめでとう!』
 そんな気持ちで毎日朝礼を行っています。本当は、一同会して全員で顔を見ながらの朝礼が早く来ればよいと思っております。「やまない雨はありません。きっと明日は晴れる。」 皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。


家族会より
家族会会長 畑後 克二
 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 去年はコロナ感染で大変な年でした。今年も続き、園にも年間行事他で利用者の方々に会いに行くことも難しく、本当につらい日々が続いています。又、広島県も感染者が多くなっており、とにかく早急にワクチンができ予防が可能になるよう急いでもらいたいと願うばかりです。
 園にも、いつでも行ける状況になってほしいです。園長、スタッフ、利用者、皆さんが感染しないことを祈ります。今年も何卒よろしくお願い申し上げます。


外壁改修工事
事務長 竹内 美千代
 平成13年の園舎の改築から19年が立ち、老朽化も進み毎年修理、修繕が多くなってきています。
 大きな課題として残っていた外壁補修が、令和2年10月から12月末の工事で、無事完了することが出来ました。全館を覆っていたネットが外れるときれいな外観が姿を現し、見違えるようになりました。もうひとつ、宿泊棟の外壁工事も令和3年1月中に完了します。
 外から見るときれいになりましたが、築19年を超えた建物は、見えないところから不具合が出てくるものでしょう。これからも修理が必要となってくるのではと思っています。
 令和2年10月に改築の時の借入金が返済終了となりました。それに合わせるように修理、修繕が多くなっております。令和3年度に向けて、計画的に予算化し進めていかなければと考えています。


福島さんを偲んで
生活支援員 宮木 明美
 福島久仁子さんが、11月9日に亡くなられました。
 福島さんは昭和50年7月1日、縁あって愛命園に入所されました。入所当初は、体が小さくても負けん気が強く、他の利用者さんとしょっちゅう取っ組み合いの喧嘩をしておられた様です。それでも負ける事はほとんど無かったそうで、その強さは作業の貝通しでも発揮され、誰よりも1番多く通しておられたと聞きました。
 担当になる前までの福島さんのイメージは、リュックサックに元おられた施設の施設長から贈られた大きな熊の縫いぐるみを入れ、それをいつも背中に背負い居室のCDデッキの前で耳を付ける様にして音楽を聴き、食事の時は見えない敵に言葉をぶつけ必死に小さな拳を振り上げて闘っているというものでした。担当になり関わっていくうち、自分の家族の事など話すと、心配したり注意したりと、優しい方であることがわかりました。
 ここ数年は持病の為入退院を繰り返す事が多く、面会に行くと「私が分かる?」の声かけに「おう、おう」と返事をしてくれたり、小さな拳を振って挨拶してもらっていました。最近はコロナウイルスの為に面会が出来ず、甥御さんのお嫁さんから現状を伝えていただいており、安心していたところでの突然の訃報に驚きました。
 福島さんは小さくて力持ち、頑張り屋さんで、家族や親せき、園の皆から愛されるとっても可愛い人でした。最後に失礼かと思いますが、久仁ちゃんと呼ばせて下さい、「久仁ちゃんもう闘わなくていいですよ、ゆっくり休んでください」


園まつりの替わりに
生活支援員 上 正輝
 今年度は、新型コロナウイルスの蔓延で愛命園最大の行事である園まつりも、中止にせざるを得ませんでした。そんな状況で、利用者みなさんに楽しんで頂ける機会をと、お楽しみ会を園まつりの代替として実施しました。
 お楽しみ会前には、園まつりと同様に神輿で園内を回り、その後デイルームで二重焼き、ホールでお菓子釣りを楽しんで頂きました。二重焼きは園長を中心とした女性職員で焼き、お店にも負けないおいしい二重焼きを味わっていただき、皆さん喜ばれていました。小豆とクリームの2個を提供したのですが、中には「もっと食べたかった」という方や「2個でお腹いっぱい」という方もいらっしゃいました。
 お菓子釣りは、クリップを付けたお菓子を磁石の付いた竿で釣り上げます。「難しかったけど楽しかった」「またやりたい」などの意見があり皆さん楽しんで頂いた様子でした。お菓子が釣れた際は、太鼓やラッパで盛り上がりました。
 昼食は、園まつりの模擬店で出ていた、うどん、唐揚げ、焼き芋のメニューで、こちらでも園まつりの雰囲気を感じて頂けたのではないかと思います。
 「来年はいつも通りの園まつりがやりたい」「お酒が飲みたかった」などの意見が出ていました。まだまだコロナがどうなるか分かりませんが皆で元気に過ごしていきたいと思います。


クリスマス会
生活支援員 白石 聡
 12月24日、令和2年度のクリスマス会を行いました。
 世間ではコロナウイルスが猛威を振るい、企画段階でもほとんどの事が例年と異なり手探りの状態。そんな中での開催となりました。
 いつもの食堂ですが、BGMが掛かっていていつもとは雰囲気が違う食堂。そこで振舞われる豪華なクリスマスメニュー。
 クリスマスソングや今年の十大ニュースを放送で聴きながら、太刀魚や大きなだし巻き卵、ローストビーフ等いつもはなかなか食べることが出来ないものを美味しそうに口に運ぶ姿に心が和みました。
 そしておやつにはクリスマスケーキ。その後はお待ちかねのクリスマスプレゼント、今治タオルを贈らせていただきました。
 未曽有の新型コロナ等、世界的に大きな動きのあった一年でした。
 本当にいろいろなことがありました。私たちの生活も大きく変わってしまいましたが、いつもの日常を取り戻せるその日まで、皆で協力して頑張っていきたいものですね。


初詣
生活支援員 山根 一洋
 令和3年1月3日、4日に和田八幡神社にて初詣を実施しました。1日、2日、3日の3日間で少人数での参拝を予定していましたが、年末年始の大雪で日程変更を余儀なくされました。
 2日間で希望された15名の利用者の方が参加されました。コロナの収束祈願やかつての日常生活が戻る事を願われていました。


「にやり・ほっと」
生活支援員 松田 耕作
 皆さん、「にやり・ほっと」をご存知でしょうか?
 「ヒヤリハット」は、色々な分野で浸透しているため、ご存知の方も多いと思います。「ヒヤリハット」は、各個人が経験したヒヤリとした、ハッとした情報を公開し共有することで、ミスや事故を未然に防ぐために役立てるものですが、ネガティブな面に目を向けがちです。私たち支援員が利用者支援にあたる時、第一に考えるのが、安全に怪我することなく日常生活を送って頂くことです。そのため、ヒヤリハットに意識を向け過ぎる傾向があります。
 そこで、愛命園では、「にやり・ほっと」を取り入れました。「にやり・ほっと」とは、その言葉通り、「にやり」とした笑顔と相手を「ほっと」させることです。つまり、利用者の言葉や行動で、職員が思わず笑ってしまったり、利用者が得意げに「にやり」とした時や、心がほっこりしたことを、職員間で共有することです。
 ここで、愛命園での「にやり・ほっと」の一部をご紹介させて頂きます。
 【デイルームで支援員が昼食を摂っていると、○○さんがデイルームに来られました。カップ焼きそばを食べている支援員を見て「これだけか?」と聞き、支援員が「カップ焼きそばだけだよ」と言うと「かわいそうにのう」と一言。この言葉を聞いた時、心がほっこりしました。】
 この「にやり・ほっと」は、心がほっこりするだけでなく、利用者からの優しい一言によって仕事へのモチベーションもあがるものだと思います。
 昨年の7月から、「にやり・ほっと」を取り入れましたが、当初は、月に数枚程度しか「にやり・ほっと」報告がありませんでした。しかし現在では、職員に浸透していき、月に10枚以上の「にやり・ほっと」報告があります。これからも、利用者の良いところ、チャーミングポイント、強みに目をむけられるように支援していきたいと思います。


木漏れ日
〜リレー随想
生活支援員 三宅 千代子
 私は、お花が好きでおし花教室に通っていました。
 きっかけは、ある5月の連休広島市植物公園に散策に出かけたとき、そこの展示室でおし花の作品展をされていました。展示されている作品に目が留まり、作ってみたくなり午後からの1日教室に参加しました。横川の区民センターでの教室というので「遠いので無理」と断ると「因島や松山からも来られています。湯来なら近いですよ」と言われ、「そうだな」と思ってしまいそれから月1回の教室通いが始まりました。
 おし花といっても私の教室は、花はもちろん果物や野菜なども使い作品を作ります。季節の植物で平面の色紙の上に遠近を出したり、動きを表したりとベテランの先生に教えていただきながら、なかなか奥の深い作業でした。残念なことに、体調不良だったり、高齢化だったりで人数が減り、昨年8月の展示で教室は終了してしまいました。
 たくさんの人に出会え、植物の育て方を教えていただいたり、苗をいただいたり、雑談したり、私にとって充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。


寄せられた善意
       令和2年10月28日〜
          令和3年1月22日
           (順不同・敬称略)
《現  金》
浴森 直美     林 弘子
大成 敏正     谷川 隆子
荒木 伸裕     原田 秀夫
蔵田ファイリング株式会社
則末 伸夫     森井旅館
永尾 高芳

亡き父から愛命園への想い
管理栄養士 青木 ましず
 父永尾高芳は、令和2年12月26日早朝2つの深い呼吸にて安らかにこの世を去りました。93歳の大往生でした。
 父は私が愛命園に勤め始めてから13年、毎年11月23日に開催される園まつりに来るのをとても楽しみにしておりました。オープニングからラストまで終日、笑顔と元気な声の利用者さんと触れ合い、パワーをいっぱいもらっていました。令和2年度はコロナのため中止となり、とても残念がっておりました。
 私が栄養士として勤務しているため、日頃から『うまいもん出しちゃれよ』と言っていたのを思い出します。愛おしい利用者さんと一期一会の出会い、父はこれからも愛命園を見守ってゆくことでしょう。
 父から利用者さんのためにと、ほんの気持ちをさせていただきました。合掌。

《現  物》
りんご      村本 久子
じゃがいも    YMCA
コンフォレスト湯来
大根、白菜    新田 嘉弘
もち米      湯来東小学校
調味料      橋本 左貴
大根、ほうれん草 坂口クリーニング店
花の鉢植え    ミヤモト緑化産業
クリスマスリース 広島
ワイズメンズクラブ
みかん      石井 巌
くるみ小女子   原田 秀夫
点字カレンダー  点字グループつぼみ
業務用調理器具  森野 栄
はぼたん     有限会社YUKI
みかん      岡野 恵子
しめ飾り     梅田 義文
菓子、調理用油  谷川 隆子

《門  松》
はぼたん     谷川 和江
作成、材料(松、竹、梅、南天)
       今津 光春

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

《表  彰》
広島県視覚障害者団体連合会70周年
ボランティア感謝状
   どんぐり会 山本 しげ子
   紙芝居ボランティア 新庄 久美子
日本栄養士会会長表彰
   管理栄養士 青木 ましず
広島市長表彰
看護師 椋田 千春
   生活支援員 石田 まゆみ
広島県社会福祉協議会会長表彰
看護師 松永 千和
広島市社会福祉協議会会長表彰
   生活支援員 沖田 美穂
   生活支援員 梅田 大作
   事務員 林 洋輔