第189号   愛命園だより「あゆみ」   令和2年10月

イノシシ対策作戦
支援課長 橋 義彰
 愛命園は湯来町和田地区にあり、周囲を山に囲まれ、裏手には川が流れる自然豊かな環境にあります。その自然ならではだと思いますが、幅30メートル程の対岸から水内川を横断して、イノシシが愛命園へ侵入してきます。川を渡り土手に穴を掘り、木の根や球根、昆虫などを食べるのです。おかげで土手は穴だらけ。広範囲に掘ってしまうので雨が降ると土手の土が流れてしまいます。一度掘ると、補修をしても柔らかいままで、土が流れやすい状態は続きます。近年の豪雨や各地の災害状況を考えても「もし土手が決壊してしまったら」とイメージすると、川から水が流れ込めば園舎の浸水も免れませんので、余計に不安が大きくなります。
 そこで、法人理事や町内会長、町内の有志のみなさん、河川管理の管轄担当者にもお越しいただき、状況を見ていただきました。その上で、県の農林課により早々に植生土嚢にて土手の補修をしていただきました。きれいに整備された土手は美しく、「これで一安心」と思いましたが、翌日にはきれいな土手に、イノシシが歩いたであろう優雅な足跡が残っていました。せっかく土手を整備して頂いたのに、イノシシにバカにされている気分です。さらには最近では土手からグランドにまで入り込んで糞をしたり、愛命園納骨堂周辺を掘り起こして穴だらけにしています。
 そこで今度は町内会長さんたちに相談の上、土手の上に防護柵を立てる事となりました。イノシシ対策に一番有効なのは電気柵だそうですが、万が一、視覚に障害のある利用者が間違って、電気柵に触れるようなことがあっては危険なため、触れても安全なメッシュ柵を使用することとなりました。川沿いの土手だけとはいえ、園の側面だけで幅約2メートルのメッシュ柵を134枚使用しました。だいたい260メートルくらいです。
 当然、素人職員だけではどうにもならず、町内の皆様にお力を借りてようやく10月上旬にイノシシ対策の柵が完成しました。町内会長さんには本当にお世話になりました。完成した柵は離れてみると壮観です。これでイノシシが入ってくることはないと確信しました。
 実際に侵入は激減しましたが、いまいましいかな、イノシシとは頭がいいもので、土手を塞いでも、もう数か所獣が通過できるような場所があり、完全に侵入を防げてはいません。ふたたびあざ笑うかのように穴を数か所掘っています。メッシュ柵にはまだ予備があり、早急に対策を講じ、イノシシ対策作戦を勝利で飾りたいと思っています。



夏まつり
生活支援員 椋田 聖子
 今年の夏まつりはコロナ対策で、規模を縮小して日中の開催となりました。
 私の頭の中で愛命園の夏まつりといえば、外部出演者によるアトラクションのステージ、ご家族やご来賓の方々を招待して皆でわいわい盛り上がる、盆踊りを踊って締めくくる、というイメージが浮かびます。ですが、今年はそれができない予想外の状況の中、どう盛り上げ、夏まつりらしさを感じてもらえばいいのか。できる範囲で利用者の皆さんに夏の風物詩を楽しんで頂けるよう、皆で考え意見を出し合いました。
 まずは、庶務と健康管理室、男子支援員、女子支援員、非常勤職員の各部署によるアトラクション、屋台のメニューは香ばしい香りを感じてもらえたらと、お好み焼きバーを新たに加え、今年の夏まつりを盛り上げることに決めました。とくに、職員によるアトラクションは一番力を入れたところです。庶務・健康管理室は、フラダンスとチコちゃんのものまねコント。男子支援員は、大喜利。女子支援員は、「パプリカ」「お祭りマンボ」の曲に合わせてダンス。非常勤職員は、歌と楽器演奏。少しハプニングもありましたが、各部署、個性豊かなステージを繰り広げてくれました。どんな出し物をするのか考えるところから始まり、準備や練習、衣装作りまで一致団結して行い、一体感が高まったように感じます。
 利用者の皆さんは、「楽しかった。また観たい。」という意見から、残念ながら「職員の出し物は嫌。」という意見など、賛否両論でしたが、皆さんに楽しんでもらいたいという想いが少しでも届いていれば幸いです。異例の事態に最初は頭が真っ白になりましたが、皆で力を合わせて無事開催でき、よかったです。来年こそは、いつものようにご家族も一緒に楽しめる夏まつりができることを願っています。



か・き・ご・お・り♪
生活支援員 益成 純也
 今年はコロナウイルスの猛威が広がり、利用者も職員も日常生活に大きな影響を受ける事態に見舞われました。園全体で行う行事もお客様を招かず短縮化したり中止となったり…。少し寂しい思いをされている利用者に、少しでも気分を盛り上げられる手伝いができればと、8月13日に、富士産業株式会社さんにかき氷機をお借りして、愛命園でかき氷大会を開催いたしました。
 夏と言えば…そうですね!かき氷です!暑い夏に食べてこそ、その冷たい食感とふわふわの雪のような氷を堪能できるというものです。このコロナ過で外出できない利用者の為、気分を変えて夏を味わってもらいました。かき氷はイチゴ、メロン、レモン、抹茶などに加えトッピングに桃やミカンに小豆、そしてたくさんのお菓子を乗せて見た目でも味でも楽しんでもらいました。
 普段はなかなかお目にかかれないものに、利用者の皆さんも目をキラキラさせて味わってとても喜ばれていました。職員も盛り付けにはついつい気合が入ってしまいましたが、お互いに楽しめてよかったかなと思います。ほんのひとときでも夏を味わってもらえることができたなら幸いです。かき氷は解けるのが早いですが、コロナウイルスも同じように早く落ち着いてくれればなと切に願います。



ご長寿お祝い会を終えて
生活支援員 白石 聡
 去る9月8日、令和二年度のご長寿お祝い会を行いました。
 賀寿の利用者に衣装を着てもらい記念撮影を行った後、園歌の斉唱、園長挨拶から司会者が各利用者の紹介を行いました。
 手作りの写真立てを記念品として贈呈させていただいた後、初の試みとなる全員参加型のレクリエーションを行いました。音楽に合わせて皆でボールを隣の利用者に回していき、音楽が止まった時にボールを持っていた利用者に、景品として洋菓子店の特製焼きプリンを進呈させていただきました。
 この行事自体が始まってまだ二回目という事もあり、ホールの飾りつけや進行の計画等、何をどのように行えば楽しい行事になるのか?等いろいろと手探りの状態が続きましたが、多くの職員の協力で無事に終わらせることが出来ました。
 新型コロナの終息が見通せない状況により外出行事を行う事が難しい中、園内での行事で何がどのくらい出来るのかという事を職員間で知恵を出し合い、皆が楽しめる行事を行っていきたいものですね。



お彼岸
生活支援員 松田 耕作
 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、めっきり秋めいてきました。
 お彼岸、お盆と言うと、お墓参りです。そう、愛命園にもお墓(納骨堂)があります。
 私自身、納骨堂があることは知っていましたが、どのような経緯で納骨堂が建立されたのかは知りませんでした。園長にお聞きすると、21年前、亡くなった利用者で、ご遺骨を引き取る方がおられず、園近くのお寺に納骨したとのこと。その後、その方の遠い親族の方が、お金を寄付して下さり、平成16年7月に納骨堂を建立したと教えて頂きました。
 現在納骨堂には、その方を含む三人の方が入っておられます。そのうちのお一人は、ご家族の希望で分骨された方です。利用者の中には、親族がお亡くなりになり身寄りのない利用者もおられます。今後、納骨堂に入る方も増えてくると思います。
 利用者自治会では、春、秋のお彼岸、お盆、そして納骨されている方の命日には、生花と生前好きだったものをお供えしています。
 お彼岸、お盆が近づくと、利用者の方から「お花買ってきた?ワンカップ(お酒)買ってきた?タバコは?」などと言われます。私は、毎回この声にハッとさせられ、「あ、そうだ、お墓参りの準備をしないといけないなあ。」と思うと同時に故人のことを思う利用者の優しさに心洗われます。
 そして、お墓参り当日、放送で「お墓参りに行きたい方は、グランド側玄関にお集まりください。」と案内します。すると、続々とグランド側玄関に集まってこられます。足腰が弱り、歩行が難しくなってきた方も、車椅子で参加してくださいます。
 納骨堂では、ろうそく、線香に火をつけ、一人一人墓前の前に行き手を合わせられます。ある利用者の方は、納骨堂に話しかけられていました。手を合わせている姿を後ろから見ていると、微笑ましく温かい気持ちになり「愛命園利用者の方は、家族なんだなあ」と、つくづく感じます。納骨されている故人も「お墓参りに来てくれて、ありがとうね。」と喜んでいる姿が目に浮かびます。
 「これからも、ずっとずっと愛命園を見守って下さいね」と祈りつつ、手を合わせさせて頂きました。



創作活動
今年4月のスタート「飾りふた」
非常勤職員 荒木美恵子
 令和2年度より、新しい作業がスタートしました。
 直径8oのチョコレート色の飾りふた8個を(70o×100o)ポリ袋(小)に入れ
 二つ折りにして、ホッチキスで上部を止めます。更にそれをポリ袋(大)に100袋入れる梱包作業です。
 その皿から袋に入れるやり方を説明しながら利用者2名の方に頑張ってもらってます。
 新型コロナ感染対策で、必ず手洗いを済ませると「消毒お願いします」の利用者の声で作業が始まります。一袋に8個と数の入れ間違えはほとんどありませんが時々、誕生日会、食事メニューなどの話題がはずむと、何回も数え直しになることもあります。
 又、静かにCDラジカセでリクエスト曲を聴き、口ずさみながら楽しく指先を動かされています。
 時々、管理栄養士が「お邪魔します!頑張っとる?どうしても、チョコチップに見えて食べたくなるねぇ」と元気な声と笑顔で様子伺いに覗かれます。その声で賑やかになり、数の数え間違いを心配して「お邪魔しましたね」と静かに帰って行かれます。
 利用者さんが熱心に一枚一枚飾りふたを入れられ、「袋がなくなりました」とやる気満々の声に「今日は400枚出来ましたよ」と返すと「すごい!沢山出来た」と笑顔で喜ばれとても満足そうです。「また、明日ね!」の言葉が終了時の挨拶です。その言葉を受けて「また、よろしくお願いします」と元気をもらっています。利用者の方の作業が楽しく出来るように寄り添っていけたらと思っています。


家族会より
家族会会長 畑後 克二
 今年の夏は去年以上の猛暑で本当に参りました。35度近くの気温が続き、又夜は熱帯夜ですごい夏でした。私も熱中症になりかけ大変でした。
 毎日の暑さは皆さんも同じだったと思います。コロナウイルスもあって、ダブルですごい年になり、たまりませんでした。もう、毎年夏が5月から9月まで5か月続き参ります。
 コロナウイルスによって、園長はじめ職員の方々、園を利用者されている皆さんも辛い思いをされていると思います。園の行事も多くが中止になり、今年は我慢するしかありません。
 来年に向けて、コロナウイルスが早く終息することを祈ります。



リレー随想
生活支援員 下前 美佐江
 今年の7月頃から猫を飼い始めました。名前をフク(福)ちゃんとつけました。来たときは300グラムでした。チョロチョロ動き回り、部屋中を走り回っていました。
 今、4か月になり、どっしり重たくなりました。2,000グラムあります。タライに湯を入れてシャンプーをしてあげると、とても良い子にしています。
 小さいうちはよくかんだり、爪で引っかいたりしていましたが、今はあまりしません。フクちゃんを見ていると、とても癒しになります。


寄せられた善意
       令和2年7月24日〜
          令和2年10月27日
           (順不同・敬称略)
《現  金》
大成 敏正     橘 則行
森井旅館      藤正 坂二
下川 真稔     前田 秀昭
付添看護共済事業愛命園支部

《現  物》
食品、リンゴ   谷川 隆子
梨        則末 伸夫
手袋       竹内 美千代
ナス       佐伯醤油
ブドウ      向井理容院
ブドウ      栗栖 怜子
新米       前田 秀昭
新米       坂口クリーニング店
ジャガイモ    YMCA
          コンフォレスト湯来

《芋ほり体験》
 和田 靖幸さんより、ご自身の育てられたサツマイモで、芋ほり体験をさせていただきました。5名の利用者が、園のそばの和田さんの畑でサツマイモを掘りました。狙いを定めて引き抜くと、大小さまざまのサツマイモが5個6個とつらなって土の下から出てきました。これが何度もですから、掘れたサツマイモはかなりの数になりました。その全てを頂けるということで、愛命園まで持ち帰り、参加者皆で記念撮影をしました。頂いたサツマイモは、11月のイベントでふるまうことにしております。


※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《入  所》
9月16日付  佐々木 茂生

《就  職》
9月16日付  生活支援員 竹内 仁志
9月16日に就職しました、竹内仁志です。前職では介護の仕事をしていました。1日でも早く利用者から信頼される支援員を目指したいと思います。よろしくお願いします。


『令和2年度愛命園園まつり』中止のお知らせ
 新型コロナウイルスの感染が、県内でもまだ続いている状況です。前号でもお知らせいたしました通り、今年度の『愛命園園まつり』は中止とさせていただきます。
 毎年11月23日に開催しており、昨年も多くの方に参加していただきました。感染予防のため、何卒ご理解ください。


編集後記
愛命園は、現在外壁の塗装工事中です。12月には、きれいな外観の愛命園になっているでしょう。(HY)