第183号   愛命園だより「あゆみ」   平成31年4月

新たな時代のスタート
社会福祉法人
広島県視覚障害者団体連合会
副会長 橘高 則行
 暖冬だったとはいえ、寒かった冬が終わり、お花見のシーズンと過ごしやすい季節となりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 私は先月末、桜が満開でにぎわう東京へ、日盲連の評議委員会への出席のため、行ってきました。評議委員会では、結成から70年間親しんできた日盲連の名称の変更が提案され、社会福祉法人日本盲人会連合(日盲連)が、今年度から社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(日視連)へと改名されると共に、新たな運動方針として弱視者支援に関する事、視覚障害者の将来ビジョンの構築に取り組む事等が提案され、来る80周年にむけて新たな一歩がスタートしました。
 また、一世一元の元号制度のもと、明治大正昭和平成と続いて来た元号もこの5月から「令和」となり、時代は移り変わります。この「令和」は、万葉集の「うめばなのうた」からの引用で、明日への希望を抱きそれぞれの花を咲かせてもらいたいとの想いを込めて決めたとの説明がありました。一人ひとりが夢を描き、これから始まる令和の時代が素晴らしい時代であることを皆様と共に願いたいと思います。
 更に、愛命園においても開設当初から関わり、事務長を経て園長として運営に携わって来られた林弘子園長が退任され、4月からは、支援課長として頑張っていただいていた、前和枝さんが新園長に就任されました。愛命園の利用者も、高齢化と重度化が顕著となり、支援のあり方が模索される時期となっています。安定した経営の為には、利用者の確保と職員の確保が、共に不可欠かと思います。新園長を柱に新たな時代へと歩んで行きましょう。
 この愛命園を、開設準備段階の昭和48年から今日まで半世紀に渡り支えて頂いた林園長のご尽力とご功績に、こころより感謝申し上げます。
 この間、改築にかかる助成金の申請手続きのご苦労、サービス報酬の減額提示の際は1万人署名に取り組まれた事等の話を聞き、愛命園への思いの深さを感じました。園を退職された後も、これまで同様の支援と協力を宜しくお願いいたします。
 元号や名称は変われども、障害者を取り巻く環境には大きな変化は見られまいと思います。昨年大きな話題となりました、行政機関による障害者の水増し雇用には、全国の障害者団体から抗議の声が上がりました。これを受け、国は障害者の採用試験を実施、約600名の雇用に対して8,000名の受験者があったようです。障害者の高齢化が見られる中で、この様に多くの障害者が働きたいとの希望を持っている現状を広く知ってもらいたいと思います。採用試験では、視覚障害者にも一定の合格者がおられたようです。数合わせの採用で終わらないよう注視したいと思います。
 終わりに、新園長を中心に職員一丸となり、利用者の支援に当たって頂きます事を心よりお願い申し上げます。



心通う愛命園でありたい
園長 前 和枝
 平成31年もあと数日となりました。これまで愛命園の発展に大きく貢献されました、林前園長が3月31日に退職されました。その後ろ姿を追いかけて参りました私にとっては、とても寂しくもありますが、これからはゆっくり健やかにお過ごしいただきたいと思います。林前園長に心より感謝の意を表します。
 あらためて、林前園長の後任として就任いたしました前和枝です。これまで、愛命園の歴代園長には、初代 福島利通園長、2代目 山本貞夫園長、3代目 山本八重園長、4代目 竹原幹園長、5代目  藤原幹男園長、6代目 林弘子園長とそうそうたる方々が就任されてきました。それぞれ偉業を成し遂げられた方たちを前に、今の自分に何ができるのだろうかと考えても答えがでません。
 しかしながら、これまで現場の支援者として利用者と一緒に過ごしてきた私としましては、利用者の心に寄り添える施設を作っていきたいと思っております。大きなことはできませんが一歩一歩、邁進していく所存です。先人の方達の想いであった“ひとつ屋根の下でみんな仲良く”を今後も引継ぎ、今おられる利用者と共に頑張ろうと思います。
 現在利用者の平均年齢は65.13歳になりました。重度化・高齢化の波は加速するばかりです。複合した病気・転倒骨折・親亡き後の後見人問題・職員確保。問題は山積みです。平成13年に改築した頃は、車椅子の方はおられませんでしたが、現在では15名の方が使用しておられます。ベッド、車いす使用の為にフローリングにした居室が18部屋、ベッドを使用されている方は33名です。今後もこの数は右肩上がりになるでしょう。そんな中ではITロボットや外国人技能実習生などを取り入れざるを得ないのでしょう。令和元年、温かい心の通う施設 愛命園を目指して出発します。ご指導の程よろしくお願いいたします。



お悔やみ
事務長 竹内 美千代
 法人本部の副会長であった藤井貢さんが昨年12月に亡くなられました。法人の職のみならず、日本盲人会連合の組織部長として、視覚障害者のために尽力されていました。
 愛命園の行事にもよく来ていただき、ビールを片手に、三好鉄生の『すごい男の唄』を大きな声で歌っておられたことを思い出します。
 この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。



梶谷敏子さんを偲んで
生活支援員 沖田 美穂
 梶谷さんは私が初めて担当した利用者のお一人でした。幼少期に聴力、視覚を失ったと聞いています。しかし、時折はっきりとした発語もあったため、それが何時ごろか正確なところは不明のようでした。
 視覚、聴覚の二重のハンディを背負っておられることから、コミュニケーションが極めて難しく、私自身どのように接したらよいか悩みました。特別支援学校へ、コミュニケーション方法の手がかりはないか園から行かせていただいたこともありました。結局、梶谷さんに当てはまる事例がなく、何もわからずじまいでいました。でも、それは私の都合でしかなく、当の梶谷さんはとても几帳面な方で理解力も早く、園での生活にあまり支障は感じられませんでした。ただ、他の利用者の方との交流、会話等が全く成立しないので、パズルや折り紙で余暇を過ごされていました。
 好奇心旺盛なこともあり、高い所に登って上にある物を確認するなど、冷や冷やすることもしばしばありました。居室内の事はほぼ理解されており、タンス内のどこに衣類を収めるかということも、ちゃんと自分で管理できる能力の高い方です。自分のペースが崩されると、不満の声や表情を見せることもありましたが、穏やかな方だったと思います。
 ゆったりとした毎日を過ごされていましたが、検査で病気が見つかりました。既に終末期であるということでした。これからの対応について、安芸市民病院の先生に来園してお話をしていただいたことで、職員が感じていた不安や重圧は軽くなり、入院せず、園で安定した生活を送っていただくこと、各部署が連携して苦痛や不快感を緩和して残された生活の充実を優先することを確認しました。
 その頃から、少しずつ日課が崩れ、方向を見失うようになられたように思います。それでも、食事はしっかりと摂っておられたことで安心していました。
やがて発熱が続くようになり、食事摂取が難しくなったため、1月21日に安芸市民病院を受診し、そのまま入院。予後1か月とのことでしたが、その日の22:00頃に亡くなられました。その日は梶谷敏子さんの誕生日の日でもありました。
 私自身、今でも心には後悔とこれからへの気がかりがあります。終末期に接したときに何ができるのだろうかと、まだまだ迷いがあります。梶谷さんは、家族のサポートと、必要に応じて入院できる体制を確保してあったことで最後まで園で過ごしていただけました。
 謹んで哀悼の意を表します。



家族会より
家族会会長 畑後 克二
 林園長が退任され、4月1日に前園長になりました。4月は、新年度として家族会総会もあり、新しくスタートの月です。5月1日をもって、天皇陛下も変わり、新元号も『令和』となります。日本の国も変動する年になりますが、良い方向に向かってほしいですね。
 私も家族会会長として2年目になります。家族会も日頃より園にお世話になっております。園長はじめスタッフの方々、これからもよろしくお願い致します。家族会としても、より一層協力していきたいと思います。



入所者自治会会長挨拶
会長 宮木 秀憲
 この度、愛命園入所者自治会会長に就任しました、宮木 秀憲と申します。
 利用者の皆さんが、健康で明るく楽しく過ごせるように頑張ります。宜しくお願いします。



新しい支援課
支援課長 橋 義彰
 今年度より支援課長を仰せつかり、責任の重大さに身の引き締まる思いです。前任の前和枝園長が課長時代には、女性らしい細やかな指示で誰からも慕われるようなリーダーシップを発揮しておられました。私も張り切って皆さんに笑顔で声をかけてみるのですが、キャラクターというものなのか、精一杯の笑顔がぎこちないのだと感じています。笑顔のみならず、今のわたしでは力が及ばない部分が多々ありますが、努力を惜しまず、利用者のみなさんと一緒に歩んでいけたらと思っています。
 さて今年度の愛命園は、新たな行事としてカラオケ大会や敬老会を実施することとなりました。新しい行事で、利用者の皆さんにとって刺激ある生活となるよう盛り上げていきたいと思っています。一方で、長年実施してまいりました「ススキ配布」が、ここ数年の猛暑や利用者の高齢化等の変化もあり、終了することとなりました。これまでの多くの方々のご協力、ご支援に対しまして、深く御礼申し上げます。
 行事以外にも日々の生活で変更したことがあります。男性の入浴時間と曜日を変更いたしました。これは活動に参加しやすい環境作りと介助面での変化が主な理由ですが、最近の愛命園は利用者の病気と介助度増がついてまわります。そんな中でも日々の生活においては、できるだけ楽しく穏やかで、利用者のみなさんに親しみを持って生活していただける環境づくりを目指したいと思っています。
 愛命園のスタッフである生活支援員は、数年前からの入れ替わりがあり、福祉経験こそ少ないものの、その分、違った分野で経験を積み重ねてきた人が多くいます。それだけに、色々な視点から幅広く考察することができると思っていますし、全員で目標達成に向けて努力していくことが可能であると思います。人と人の輪を大切にして、利用者の皆さんの豊かな生活と愛命園の発展に力を尽くしていきたいと思います。これからもご指導くださいますよう、よろしくお願いたします。



花見
生活支援員  石田 まゆみ
 平成最後の行事、花見を4月9日(火)に行いました。
 今年の天候は温かく、4月に入っても雪がちらつく日があり、桜を心配していましたが、当日は見事な満開の桜で、チラチラと花びらが舞う中、利用者と職員での花見となりました。
 用意されたのは、2段の豪華な花見弁当と富士産業さんによる特別なソフト食、そしてデザートのプリンorコーヒーゼリー。利用者共々美味しいとの感想があり、お腹いっぱいになる満足のいくお弁当でした。
 新人職員の挨拶などもあり、約2時間ゆったりとした花見となりました。



2019年 カラオケ大会
生活支援員 上 正輝
 今年度から、行事としてカラオケ大会を始めました。今年度からということで看板を作りました。
 当日は天気に恵まれ、桜通りで行うことが出来ました。数日前から満開で、とてもきれいな桜の下でカラオケができました。
 一人ずつ歌ってもらい、日頃なかなか参加されない方にも歌っていただけ、盛り上がったと思います。最後には皆さんで「青い山脈」を歌いました。数名の方は手をつないで楽しそうに歌っておられました。



木漏れ日〜リレー随想
生活支援員 三枡 満
 今年2月20日、長年の念願であった仔犬を飼い始めました。生後3か月のオスのフレンチブルドッグで、始めの1週間位いろいろ候補はあがるもののこれといった名前がなかなか決まらず、名前で呼ぶことができない、何となくしっくりしない日々が続きましたが、最終的に「ノア」に決定。当初5sだった体重は、2か月経った今では8sを超え、体格も随分と大きくなり急激に成長しています。時々トイレを失敗したり、歯の生え変わり時期の為か家具や壁などを噛んだり、甘噛みの度が過ぎて家族の手を痛くなるまで噛んだり、スリッパなどを咥えてはリビングを全速力で走り回りって捕まえるのに苦労したりと、家の中がいっぺんに賑やかになりました。
 私が幼稚園の頃、家でシェパードを飼っていました。檻の中に入っては一緒に遊んでいましたが、ある雨の日、いつものように幼稚園から帰り遊びに行くと倒れているのを見つけ、怖いやら悲しいやら複雑な気持ちで、家の中にいる祖母に知らせたのを今でもはっきり覚えています。そんなこともあったりして 飼いたいという思いはあるものの最期がつらく可哀そうという気持ちが先に立ち、また家族全員の同意が得られないという状態が続いていました。
 今年2月の初めに、「フレンチブルドッグならいい。」という家内の一言で、これまでの封印が解き放たれたかように探し始め、15日、とあるペットショップで彼と目が合ってしまったのが最後、即、家族に話をし、20日に家族の一員として迎え入れることとなりました。
 ちょっとした気温の変化で下痢をしたり、皮膚炎になったりと結構デリケートですが、夕方、家族がバラバラに帰宅すると、鼻ペチャのぶさかわいい顔で一人一人にじゃれつき愛嬌を振りまいてくれることで、癒しのひとときとなっています。これから「ノア」との生活を家族とともに楽しんでいこうと思います。



寄せられた善意
       平成31年1月25日〜
            平成31年4月23日
            (順不同・敬称略)
《現  金》
株式会社ビッグラン
 代表取締役 増田 裕明
愛命園育成会     原田 秀夫
谷川 隆子      前川 昭夫
大成 敏正      山ア 芳子
林 弘子

《現  物》
食品、りんご    谷川 隆子
みかん       松永 功
生牡蠣       宮本海産
切り干し大根    永尾トシコ
白菜        梶原 繁子
柑橘類       原田 秀夫
本         大成 敏正
雪柳        野上 好子
食材    ひと・いきいきカンパニー株式会社
       代表取締役 増田 裕明
カーブス広島楽々園
カーブスサンリブ五日市
カーブスコイン通り
カーブス広島井口台

管理栄養士 青木 ましず
 フィットネスクラブ・カーブス様より、今年もたくさんの食料品を寄贈していただきました。この食品は、フードドライブ運動に協賛された皆様から提供された食材を集めたものです。今年で12回目になります。心のこもった食品に、本当に感謝します。
 りんごカレーピラフ、担々麺、ウーロン茶寒天、春菊パスタなど…
 うまいの〜〜〜ぅ!

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子

《将棋ボランティア》
上野 俊雄

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

人の動き
《入  所》
3月6日付   栗栖 晴美

《退  職》
3月31日付
 園長     林 弘子

《異  動》
4月1日付
 支援課長から園長  前 和枝


編集後記
 晴れの日が続いたこともあり、ずいぶん暖かくなりました。飛んでいる花粉や虫を見て、春はこうだったなぁと改めて思いました。愛命園もこの春からいろいろ変わっています。今後ともよろしくお願いします。          (HY)