第176号   愛命園だより「あゆみ   平成29年7月

壁絵の旅
〜湯来から萩へ

園長 林 弘子
 「今、こんな問い合わせの電話がかかってきたのですが、園長はご存知ですか?」
 ある休日のことです。園から一本の電話がありました。内容というのは概ねこうです。
 「萩のお店で壁にかかった絵を見た。その絵をぜひもう一度見たいと思うが、どこの店だったかわからなくなった。その絵に、『愛命園園生作品』と書いてあったので、お宅に聞けばわかると思って電話した」
 愛命園では係活動の一つに『壁絵』があります。ちなみに今年度の壁絵のテーマは『行事』です。現在は縦215cm横310cmの大きな紙にそうめん流しの風景が再現されています。白いたこ糸はそうめんです。縦に割った竹の中を、たこ糸がいろんな形で流れています。れんが色の絵の具の無数の手形は、会場のれんが通りと思われます。それが、1か月間ホールの壁面を飾るのです。
 話をもとに戻しましょう。問い合わせのあった萩のお店にかけてある壁絵は、平成16年の10月に作成したものと思われます。当時その班の担当であった支援員に記憶をたどってもらうと、作った年の園まつりにお見えになった萩の方が、「持って帰りたい」、「どうぞ」ということになったようです。木の葉を貼り付けたようにも見えますが、入所している方達に色紙を千切ってもらい、それをばらまいたり、自分で貼れる人は糊で貼り付けてもらったりしてできたものです。テーマは『秋』でした。この作品は、それ以降ずっと萩のお店の中で飾られ、ある時は湯来の学校の先生が、又ある時は職員の家族が、萩で愛命園の名が入った絵を見ましたよと驚いたように話されたりしたことがあります。私自身も実は職員親睦会の旅行の行程で偶然そのお店が昼食会場になっていて、参加者全員「あらぁ〜」と驚いた経験を持っているのです。
 ちゃんとケースに入れてもらって、10年以上色あせもせず、今も人の目にとまり、心に残っているとはなんと素晴らしいことでしょう。




グループ外出

 生活支援員 槇原 未歩
5月下旬から7月上旬にかけて、毎年恒例のグループ外出に出かけました。今回の行先はサンリブやゆめタウン廿日市、満天の湯、ゆ〜ぽっぽ、ほの湯です。

 サンリブ組は、まずおんまく寿司で昼食を摂りました。美味しそうにお寿司を頬張る姿や、ご機嫌な様子で歌を口ずさんでいる方もおられました。食事の後はサンリブに向かい、買物をしました。様々な品を手に取り、希望の物が購入できたようで満足されていました。


 ゆめタウン廿日市組は、たくさんのお店を目の前にとても嬉しそうでした。持ちきれないほどの荷物を抱え、「楽しかったよ!」とみなさん買物を満喫されたようでした。
 満天の湯組、ほの湯組は普段入れないような露天風呂などにも入られ、温泉でリラックスしたあとは美味しい食事を摂り、ゆったりした時間を過ごされていました。

 ゆ〜ぽっぽ組は、入浴後に大衆演劇を見ました。前半は迫力のあるお芝居、後半は舞踊ショーで盛り上がりました。演劇の後には団員と一緒に写真を撮ったり、握手をしてもらったりと利用者のみなさんは大満足でした。

 今回のグループ外出では特に大きな問題もなく、無事に終えることができました。利用者のみなさんも楽しまれた様子で良かったです。次回のグループ外出でも楽しんでいただけるよう、今回の反省点や良かった点を活かして次につなげていきたいと思います。



そうめん流し

生活支援員 三枡 満
 7月11日は、園行事の「そうめん流し」を行いました。梅雨の真っ只中、心配していた雨は降らず、時折薄日が差すという、そうめん流しにはぴったりの日和となりました。
 長さ約15m、直径が20p近くある大きく立派な竹を割り、今年は、これ一本でできると思っていましたが、途中浅い部分ができてしまい、やむを得ずそこを切除して、2本を継ぎ足してれんが通りに設置しました。
 最初に園長より、そうめん流しの発祥は九州の高千穂であるという説明があり、10時にスタートとなりました。竹の長さが限られている為、利用者さんは5名ずつくらいのグループに分かれて順番に来て頂きました。
 フェンスの外の草むらでは、夏らしくキリギリスが鳴いています。職員が「そうめんを流しますよー」と声をかけると、利用者さんは、竹を流れる水の中に割り箸を入れて、そうめんが流れて来るのを待ち構えます。そうめんが、箸に絡まるのを待って一気に引き上げ、青ネギに大葉とミョウガの入ったおいしい麺つゆにひたして、「美味しい、美味しい」と言って召し上がりました。美味しくて、竹の前から離れず、お腹いっぱいになる利用者さんもいて、初夏の楽しいひと時を過ごされました。
 朝早くから、大量のそうめんを茹でたり、薬味を刻み、おいしい麺つゆも作って頂いた富士産業さんのお陰で、美味しく、楽しいそうめん流しを行うことができ、ありがとうございました。



中学生たちの体験学習

生活支援員 益成 純也
 7月12日(水)に地元の砂谷中学校より生徒さんを迎え福祉体験学習を行いました。現在、中学校では福祉を中心とした施設への訪問と職場の体験学習を行っており、今回愛命園へは4名の男女の生徒さんを迎え入れ福祉施設の体験学習を行いました。学習内容はいたってシンプルに福祉とはどんな仕事なのかや愛命園ではどんなことを行っているのかを学んでもらいました。
 施設概要や生活班、作業班で実際に活動風景を目の当たりにして大変驚かれている様子が伺えました。こまめにメモを取り大変熱心に取り組まれている場面を見て私たち現場の職員たちも改めて見習いたいと思いました。体験学習された中でも特に愛命園特有とも言っていい視覚障害のガイドヘルプ体験とアイマスク体験には大いに興味を持たれている様子でした。普段自分たちがいかに目に頼って生きているか、目が見えないという事がどんなことなのかを知り、強く興味を示し学ばれていました。体験学習終了後も「普段できない経験ができた」「目が見えない人の気持ちや状態が少しわかって勉強になった」「目をつむって貝を通すのは難しかった。早く通している利用者さんはすごいと思った」と立派な意見と感想を頂けました。
 今の若い世代の人たちに現在における福祉や障害を知ってもらうことの重要性を改めて知ることのできたよい1日になりました。



第1支援活動
挽きたてコーヒー

生活支援員 宮木明美
 1係では、畑での野菜作り・定例の誕生日会・園まつりの記念品を作る創作活動・学習会・今年は2係と合作の壁面など沢山活動を行っていますが、今回は利用者に癒しの時間を提供している、挽きたてコーヒーを紹介したいと思います。
 毎週金曜日、午前10時よりデイルームで実施しています。参加者が沢山居られるので2班に分かれて1人月2回で飲んでもらっています。
 挽きたてコーヒーでは、利用者自身がコーヒー豆をミルで挽き、その香りを楽しんでもらいます。そして、その挽いた豆を使い、一人ひとり丁寧にコーヒーを淹れて、今度は香りと味をゆっくり楽しんでもらいます。少しの時間ですが、日頃の疲れやストレスを癒してあげれば良いなぁーと思っています。
 最近は、一人でコーヒー豆を挽くのが難しい利用者(豆を挽くのに結構力がいるので)もおられるため、職員の介助で挽いてもらうのですが、それでもコーヒーの香ばしい良い香りを楽しんでもらえているようで、「いい匂い」との声を聞くことができます。
 挽きたてコーヒーを実施している日は園内に良い香りが漂い幸せな気持ちになります。
 挽きたてコーヒーの目的は、利用者にたまにはゆっくりしてもらいコーヒーを楽しんでもらうことなのですが、コーヒーを飲まれるとすぐに自分の次の活動へと戻って行かれます。もう少しゆっくり出来る雰囲気作りを考えて、CDなどを流して落ち着いた時間づくりを考えて行かなくてはいけないのかもしれません。
 現在は利用者の幸せそうな顔と良い香りで職員の方が癒されているようなところもあります。
これからも癒しの時間を大切に頑張りたいと思います。



第2支援活動
体操・運動

生活支援員 森井 康子
 活動日は「幸せの歌」、今絶好調のカープ応援歌「それ行けカープ」、NHK朝ドラの主題歌「若い広場」などお腹から声を出し、ラジオ体操、腸活体操(リトミック)をします。
 腸活体操はお腹に刺激を与え排便を促すのが目的で、初めはイメージがわかず型になりませんでしたが、今では曲に合わせて体を動かすことができ、曲も軽快で利用者、職員一丸となって取り組んでおります。お天気の良い日は散歩を兼ねて外に出て、おりおりの太陽・風・香りなど感じてもらっています。



家族会より
家族会会長 畑後 克二
 この度、4月新年度をもちまして、新しく家族会会長になりました、畑後克二です。大役を受けて、これから色々な行事又、家族会の為に力を尽くして参りたいと存じます。何卒よろしくお願い致します。
 季節は、夏を迎える前の梅雨が続いていますが、そのさなか、九州では大変な土砂災害が起きました。大きな災害が起こると、多くの人が人助けとして動きます。お互い助け合う相互扶助は素晴らしいことです。何が起こるかわかりません。これからも一人一人が助け合いの精神を忘れずにいたいと思います。



木漏れ日
〜リレー随想
ペーロン(白龍)
生活支援員 上 正輝
 以前自分が長崎に住んでいたころペーロンという競技をしていました。ペーロンというものを知っている人はいますか?長崎では“くんち”“はたあげ”“ランタン祭り”などに並ぶ人気のある伝統行事です。(兵庫県相生でも行われている。沖縄にはドラゴンボートなどもある)
 船には30名乗り漕ぎ手は27名、太鼓1名、銅鑼1名、舵1名で太鼓と銅鑼の音に合わせて一人一人櫂をもって1150m競争していきます。櫂には自分で絵を書いたり長さを変えて自分の使いやすいように加工したりし、コースは1150mでUターンも有りかなりきつい競技ですが楽しいです。
 ペーロンは17世紀ごろから行われていたようで起源は当時長崎に移住していた中国人が行っていた端午節の行事をもとにしていると言われているそうです。長崎の大会ではペーロン体験も出来るので興味がある方は来年行ってみてください。


人の動き
《就  職》
6月1日付 非常勤生活支援員 白石 聡
 皆さんこんにちは。6月より愛命園で働かせて頂くことになりました、白石聡です。趣味は読書です。
 少しでも皆様のお力になるために頑張ります。よろしくお願い致します。


寄せられた善意
       平成29年4月25日〜
            平成29年7月24日
            (順不同・敬称略)
《現  金》
畠山 幸二      浅野 一男
森井旅館       前川 昭夫
大成 敏正      山ア 芳子
川端歯科 川端 康司

《現  物》
お茶        則末 伸夫
花(開園記念)   富士産業株式会社
          野上 好子
食品        谷川 隆子
タオル       白田 稔子
きゅうり、豆、人参 永尾 トシコ
にんにく      長峯 公明
ビール       村本 敏恵

《清掃奉仕》
湯来地区民生委員・児童委員

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子

《将棋ボランティア》
上野 俊雄

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。



編集後記
 一歩外に出ると、猛烈なセミの鳴き声が聞こえてきます。愛命園の桜並木にはいったいどれだけのセミがいるのでしょうか。      (HY)