第168号   愛命園だより「あゆみ」   平成27年7月

それ、もしかして虐待!?
支援課長 前 和枝

 障害者虐待防止法が平成24年10月に施行され2年9ヶ月程経ちました。
報道では、障害者に限らず高齢者・幼児虐待の文字が目に飛び込んできます。特に今年6月にメディアで取り上げられた施設職員暴言・暴行の障害者虐待は、憤りを感じずにはいられませんでした。私達障害者に携わる職員にとってショッキングな映像で、腹立たしい気持ちになりました。
 愛命園では今年度、より一層『虐待を考える』ことを重点に既存のマニュアルの見直しをするとともに、虐待防止のためどんな立場からでもお互い気を付けると言う目的で『目安箱』設置をしました。これは、利用者はもちろん職員同士からの投書箱です。「もしかして虐待ではないか?」「職員からこんなこと言われて嫌だったよ。」などを『目安箱』に投書していただき、課題を解決していく為に活かしたいと思っています。
 虐待には、「身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・経済的虐待・放棄・放任」があります。明らかな虐待は他者が見てもわかることですが、職員の立場から、指導のためや関係形成上など理由を考えれば、虐待と捉えていないことはいくらでもあると思います。でも、もしかしたら利用者にとっては不快に思って我慢していることもあるかもしれません。職員同士信用はしていますが、言動に対して正直に言い合える環境ではないのが現状です。
 私達は障害者虐待を起こす可能性もあります。と同時に誰もが障害を持つ可能性があることから虐待を受ける可能性もあります。私達の言動により利用者が傷つく可能性もあります。今一度自分の言動を振り返り、自分自身の問題として支援していかなければいけないと思っています。虐待の言葉に過剰に反応してしまうと、行動さえもままならなくなる事も出てくるかもしれません。支援に支障が出ないよう悩みや困惑したことを隠さずお互いに声を掛け合い、積極的に声を上げ、情報を共有し、対応策を考えていきます。『目安箱』を活用し、風通しの良い環境ができればよいと思います。
 今後も利用者の生活の場を自分らしく過ごせるように私達は心掛け、職務に当たりたいと思います。



新会長になって
愛命園家族会会長 池田耕治

 この度、藤正前会長に替わり2ヶ月が経過しました。副会長の時は、会長について行くだけでしたが、いざ会長になってみると、分からない事ばかりで、家族会の役割とは何かとか、色々な課題が見えて来ました。
 家族会は愛命園の応援団だと思い、その為には何をしたら良いのか、何ができるのか、新役員と家族会と愛命園の人達と話し合いをしながら進めて行こうと思います。
 今更ながら、藤正前会長のユーモアのセンスや人間性の奥深さに、あやかりたいと思う次第です。
 藤正前会長、長い間ありがとうございました。顧問としてこれからも気が付いた事、思いついた事がありましたら、助言をお願いします。愛命園の利用者も家族の方も、皆高齢になって来ました。お互い悩みや思いを相談出来る家族会にして行きたいと思います。



グループ外出
生活支援員 沼座 洋

 利用者が楽しみにしているグループ外出が今年もやって来ました。
 1班はイオンモール広島祇園へ行きました。それぞれ別行動をとり、買い物と食事を楽しまれました。利用者に笑顔で商品を渡していただくなど、店員さんがとても親切に対応してくださいました。昼食は各自フードコートに集まりました。普段と異なる環境のためか、皆さんとても楽しみにされていたためか、普段食事量が少ない方もしっかりと食べられており、ほほえましい光景を見ることができました。
 2班は中国醸造に工場見学に行きました。お酒好きの利用者が集まっており、梅酒の試飲では「うまい、うまい」と堪能しておられました。
 3班と4班は可べの湯へ。打たせ湯、露天風呂、ジェット風呂、サウナがあり、皆さん満喫されていたようです。食事や買い物もでき、「楽しかった。また行きたい」という利用者からの声を聞くことができました。
 5班はゆめタウンのみゆき店に、6班は広島店に買物へ出かけました。女性利用者はフードコートで集まり食事をされ、「おいしいね」と笑顔も見られました。「パンが食べたい」「お寿司が食べたい」といった要望に沿った食事で、皆さん満足されたのではと思います。買い物では、目当ての物を熱心に選んでおられました。
 7班、8班はゆーぽっぽ。入浴、食事、大衆演劇のコースです。演劇は熱心に聴いている方がいる一方、「よっこらしょ」と立ち上がり、扇子を手に音楽に合わせて踊られる方も。8班では終了後に一座の方と記念撮影もしてもらいました。
 最後の9班はサンリブでの買い物と食事です。台風接近のため天候が心配されましたが、暑い暑いと口癖になるほどの快晴でした。
 今回の外出で、満足した利用者の声を多く聞くことができました。来年も楽しいグループ外出にできればと思います。



「星に私たちの願いを」
生活支援員 益成 純也

 7月7日といえば七夕です。年に一度織姫と彦星が天の川で再会を果たすロマンチックな日です。世間でも短冊にそれぞれの願い書き笹につるして楽しまれている行事となっています。
 愛命園でも毎年七夕を行っており、今年も少し早目に7月2日(木)に飾り付けし七夕を行いました。
 前年度までは、利用者の皆さんを主体にたくさんの願い事を書いてもらいましたが、今年はより多くの願い事を書いてもらいたく、多くの職員にも各々心に秘められた願いを書いてもらうことにしました。職員の書いた願い事の多くは皆さんの健康を案じるものや自身の健康を祈願するものが多くあり、定番ですが「宝くじがあたりますように!」というようなものもいくつか・・・。
利用者の皆さんの願いは、「美味しい料理や好きなものをたくさん食べたい」「コンサートや外出へいっぱい出かけたい」といった願いがありました。たくさん願い事がある方はたくさん短冊を書かれていて微笑ましく思いました。
 私事ですが今回の皆さんの願いごとを見て、利用者も職員も他の人の健康や幸せを願い案じている内容のものが多くあったことに感心しました。自分の事だけでなく誰かのために考えてあげられる。他者のことを気遣い想う慈愛の精神を持っている。今回の七夕では愛命園のアットホームな良さがほんのりにじみ出ていてうれしい気持ちにさせてもらいました。
 今年も皆さんの願いが少しでも多く叶いますように・・・



第1支援活動報告
生活支援員 山根 嘉将

 2015年ももう半分が終わりました。今年も様々な活動を行っていますが、今回は畑のお話をしようと思います。今年は4月に畑を耕して肥料を撒き、畝を作りました。そして利用者の方にも手伝ってもらいジャガイモ・トウモロコシ・ピーマン・茄子・ゴーヤ・スイカ等の苗を植えました。利用者の皆さんもとても楽しそうに植えられ、「収穫がたのしみじゃあ」「大きくなーれ」と言われていたのを思い出します。その後はこまめに草取りや水やりをしてだんだんと成長していくのを楽しみにしていました。
 ある日畑を見に行くと作物がサルに食べられるという悲しい出来事がありました。
 6月の終わりごろには茄子やジャガイモの収穫を行いました。7月16日にはジャガイモの収穫を皆で楽しもうと「ジャガイモ食べようの会」を企画しました。利用者の皆さんもとても美味しそうにニコニコとされて食べておられました。
 8月にはバーベキューを行なう予定なので、作物をしっかりと育てて利用者の皆さんにはバーベキューを楽しんでもらいたいです。これからも色々な活動を行い、利用者の皆さんに喜んでもらえるように頑張っていこうと思います。



第2支援活動報告
(香りセラピー)
生活支援員 松田 耕作

 焼き上がったパンの香りや、中庭に咲いているラベンダーを採取して香りを楽しんで頂きました。
 焼き上がったパンの香りは、園内に広がり、デイルームはまるでパン屋さんに来た感じでした。パンの香りは幸せの香りのようで、利用者の皆さんに笑顔が広がり楽しい時間を過ごして頂きました。
 また、ラベンダーの香りでは、女性の方に大好評で、目を閉じてラベンダーの香りに癒されておられました。
 ラベンダーの香りには鎮静作用があり、ストレスでこわばった心身をリラックスさせ、不安や緊張、イライラなどを和らげてくれるそうです。この効果があったのかは、わかりませんが利用者の皆さんが落ち着いておられるように感じたのは私だけでしょうか?
 利用者の皆さんからは、「ええ香りがする」「またして欲しい」「今度は何をするの」などの感想を聞くことができました。
 次回も利用者の皆さんに香りパワーをお届けしたいです。



越智さんのこと
相談支援専門員 沖田 幸久

 6月11日の夜に園から私に入った緊急連絡はまさに耳を疑う信じられないものでした。「越智英一さんが家族との外泊先の温泉で食べ物を喉に詰まらせ病院に救急搬送され、その後死亡されました」・・・。私はしばし絶句、「何だそれ。」と何度も聞き直してしまいました。その日の夕方「いってくるけねー」と楽しそうに笑顔で出発したのに・・・。
 近年、家庭の事情で帰省が困難となり、帰れない日が続くのを必死で耐えられていました。帰省が出来ないからせめて近くの温泉で一緒に過ごそうと、遠方より家族が来られての外泊実施でした。とても楽しみにされていて、このようなことが無ければ家族とのいい思い出となるところです。懸命な救命活動が行われたそうですが、残念ながら愛命園に昭和49年4月に入所され、以来40年以上過ごしてこられた方との突然のお別れとなってしまいました。享年64才でした。
 越智さんは私が30年前に就職し、最初に担当した利用者の一人でした。福岡県出身で人なつこい笑顔と、怒った時の形相や暴れっぷりが印象的な方でした。新米職員だった私はそのギャップにどう接して良いか分からず試行錯誤の連続で「お前なんかあっちへ行け」など言われ落ち込みもしました。それでも徐々に関係を作ることが出来て笑顔が増え、支援者としてのやりがいや喜び、自信などを教えて頂いた方でした。過去には他の利用者から傷を負わされたり、精神的に不安定となり入院されるなど辛い時期もありました。強いこだわりを持っておられ、特に夜勤者にスケジュールを確認するため、出勤の1時間以上前から毎日スタッフルームに座り込んでいる姿は、当初は戸惑っていたものの今は見られないのが寂しく思えます。
 別に掲載されている中国新聞の記事にもあるようにピアノの名手で様々な所で演奏されました。近年は身体の衰えや意欲の低下等でほとんどその機会はありませんでしたが、一度聞くだけで演奏を再現でき、また絶対音感(ある音を聞いたときに、その音の高さを記憶に基づいて絶対的に認識する能力)も持っておられその能力を誰もが驚きました。一部に集中した高い能力を発揮するサバン症候群とも言われていました。
 そんな彼とのお別れは6月13日、佐伯区内の斎場でご家族や園の職員と利用者の参列で行われました。祭壇には生前大好きだったカツカレーと、買物でいつも決まって買っていたお菓子やクリームパンも供えられました。家族は「突然の出来事でまだ混乱しています。今思えば、最後の瞬間に家族が関われたのは幸せな事だったと思います。長い間お世話になりました」と話されました。また、火葬後お骨を前にされた時の「あれだけ帰りたがっていたのにすまない、ようやく帰れるな」の言葉に胸が詰まりました。
いつも家族のことを気遣っていらした英一さん、今は天国で大好きだったお母さんと過ごされていることと思います。どうか安らかに。

中国新聞社提供 昭和62年5月5日掲載
 越智さんがフラワーフェスティバルでピアノを演奏された時の新聞記事です。


〜木漏れ日〜
リレー随想
事務長 竹内 美千代

 今、私が続けていることに詩吟があります。以前勤めていた職場の先輩が、師範になったので生徒になってくれないかと言われたのがきっかけです。詩吟といえば 頼山陽作の漢詩 「鞭声粛々夜河を渡る」を知っているぐらいでした。軽い気持ちで「いいよ」と言って9年になりました。
 この会は詩吟だけではなく、春は山菜てんぷら・グランドゴルフ・山登りと楽しいことがたくさんありやめられません。
 詩吟で競吟大会があり、舞台の上に立ち一人で吟じるのですが、何年たってもガタガタ震えて大変です。詩吟もグランドゴルフも順位がつきますが、結果はどちらも普通です。私の人生普通かな。
 そうそう思い出しました。詩吟を習っていることを年賀状に書いたばっかりに、平成22年1月障害者自立更生等厚生労働大臣表彰を林園長が受けられ祝賀会があった際、詩吟をすることとなり 松口月城 作「松竹梅」を怖いもの知らずで、吟じさせていただきました。せっかくのごちそう緊張でゆっくり味わえませんでした。後から、林園長から軽い気持ちでお願いして悪かったねと言われました。今になればいい経験でした。
 愛命園のホールから、生活班の大きな歌声が聞こえてきます。声を出すことは健康にもいいと聞きます。出来る限りこれからも続けていきたいと思っています。



【寄せられた善意】
[平成27年5月16日〜平成27年7月24日]
(順不同・敬称略)
《現  金》
大成 敏正  森井旅館
木村 信子
YMCAコンフォレスト湯来
川端歯科 川端康司
湯来ふるさとプロジェクト

《現  物》
花         堀田 秀子
文具        橋本 貴左
ビール       村本 晃一
収納BOX     ニュートリー株式会社
洗濯洗剤      水内川漁業協同組合
文具        株式会社ユニオン
じゃがいも     長峯 公明
そうめん      谷川 隆子
野菜        梶原 繁子
花         野上 好子
いんげん豆     上手 早苗
色紙        岡田 麻里子
鮎  水内川トリプルエース
       愛命園に鮎を贈る会
(杉田 正信、山本 信行、沖野 寿成
 梶田 清、中川 完治、中村 健治
 竹久 一之、本野 博之)


 
《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子     西山 洋子

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


※ 平成26年度決算報告につきましては、
愛命園ホームページに掲載しております。
URL http://www.aimeien.jp



編集後記
 7月に入り2つの台風が広島県に接近しました。どちらも風雨共にたいしたことはなく、これまでのところ被害は出ておりません。
 晴れの日ばかりの梅雨が明けたとたん、台風の接近で曇りがちな空模様の日が多くなりました。
不思議なものです。 (HY)