第165号   愛命園だより「あゆみ」   平成26年10月


災害ボランティアに参加して

支援課長 前 和枝

 平成26年8月19日夜、稲光とともに雷鳴が轟き、安佐南区、安佐北区周辺では近年にない土砂降りになりました。まさにバケツをひっくり返したような豪雨でした。8月20日未明に起きた平成26年広島市豪雨災害。テレビのニュースで流れる映像は凄まじいものでした。
 大量の土砂や押しつぶされた家屋などにより重機が入れないため、行方不明者の捜索では24時間体制での地道な手作業の活動を余儀なくされ、さらに二次災害を防ぐため、雨が降る度に捜索活動は中止されていました。合わせて、避難所に避難されている方の疲労など、連日テレビ・新聞などで報道される悲惨な状況を見ると、いてもたってもいられない気持ちでした。
 そんな中、広島県身体障害者施設協議会から災害ボランティアの要請があり、愛命園からも参加させていただきました。ボランティア活動は1ヶ月以上経った9月28日。かなり道路は整備されているものの、現地に到着して見た光景には言葉を失いました。土砂に押しつぶされた家屋・傾きかけた家屋・土砂に潰され埋まっている車・なぎ倒され、山から流出した木々の数々・・・目を覆いたくなるような光景でした。
 活動は12名1組に分かれ、私たちが担当したのは、被災された家屋床下の土砂撤去・掃除などを行うものでした。朝早くからの参加にも関わら
 ず、皆の一日でも早く元に近い生活に戻してあげたいと思う心がひとつになり、作業時間はあっという間に過ぎました。自然に対して人間は無力です。しかし、人に対する思いやりは温かく、とても深いものを感じました。1人では微力ですが沢山集まれば強い力になる。とても貴重な機会を与えて下さった広島県身体障害者施設協議会の方々に感謝するともに自施設の防災意識を高め、日頃からの備えに役立てたいと思っております。
 最後になりましたが、被災により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。



ススキ採取・配布
〜小さい“秋”をあなたに〜

生活支援員 梅田 大作
 ススキの採取・配布行事は今年で39回目になりました。昨年は大雨警報のため中止となり、今年は雷注意報と雨の予報が出ている中で、採取に向かいました。冷夏の影響もあったのか、いつも道路を占拠しているはずのススキが見当たらず嫌な予感を持ちつつも、目的地を目指して進みました。全体の量はとても少なく感じましたが、例年並みのススキを刈り取る事ができました。休憩時には富士産業と当園栄養士によるかき氷の差し入れがあり、とても美味しく頂きました。 
刈り取ったススキの整理には、利用者のご家族に協力していただき、スームズに整理することができました。
 八丁堀、福屋デパート前での配布では、例年より通行人が少ないように感じましたが、毎年の行事を覚えておられる方も多く、お渡しした際には「楽しみにしていましたよ」「いつもいただいています」「遠くからありがとう」「ご苦労様です」など心暖かい言葉をたくさんかけていただきました。お礼にと、手作りの点字の入ったマグカップをくださる方もおられ、長い間の行事の積み重ねを実感する日となりました。配布時もご家族に参加いただき、急ぐこともなく、ゆっくりしたペースで行うことができました。
 今年は、広島市安佐北区、安佐南区の大災害の為もあり、取材はありませんでしたが、時が時だけに仕方ないことです。
又、県庁では課の職員全員が立って迎えてくださり、恐縮しました。
 多くの方の協力を得ることができ、無事に行事を終えることができました。ありがとうございました。



エンジョイトラベル

相談支援専門員 沖田 幸久
 恒例の旅行行事を9月初旬から10月中旬にかけ6回に分けて実施しました。昨年は「近場でのんびりする」をテーマに地元の湯来ロッジへ宿泊しましたが、疲労感はさほど変わらず、やはり他県へ行く高揚感は大切と反省点がありました。そこで今年は従来通り@遠方一泊A近場一泊B日帰り。以上3つの選択肢で選んでいただき以下の行程での実施となりました。

・九州新幹線に乗って指宿温泉。9月10〜11日
 一日目は7時に園出発。新幹線で一路九州へ。雄大な桜島を一望する仙巌園で昼食を食べ、指宿温泉で砂風呂を体験。砂の重みと熱さでぽっかぽかに温まった後は宴会。翌日は焼酎・さつま揚げ工場等を見学し昼食は薩摩料理を堪能。その後鹿児島市の繁華街を自由散策し再び新幹線で広島へ。園着は午後7時でした。
 この班は行程が少しキツめのチャレンジコース。園でも比較的若く元気な方、男性ばかり7名が参加されました。

・日帰りぶどう狩り@ 9月18日
 三原の果実の森公園にてぶどう狩りをし、その後園内のレストランにて食事をしました。とれたてのぶどうはとってもおいしい!園内にはいろいろな種類のぶどうがあり食べ比べも楽しめました。
 この班は12名の参加でした。大半が車いすの利用者なため、専用のリフト付きバスを用意し旅行を実施しました。

・鞆の浦 ホテル?風亭 9月25日
 当初は@班と同じ日程での旅行を予定していましたが、台風の接近に備え急遽、鞆の浦の「?風亭」でランチを食べるプランに変更しました。台風は超大型と予想されていたので変更したのですが、結局進路はそれて小雨程度の影響でした。ランチはさすがに有名なホテルでの食事なのでとてもおいしく、キザミ食への対応も手が込んでいました。
 この班は11名の参加、前回と同じく車いすの方のためにリフト付きバスを用意し旅行を実施しました。

・島根アクアス見学と乗馬体験@ 10月1〜2日
 近場での一泊。一日目は9時に園出発、水族館アクアスで白イルカのショーやペンギンプールなどを楽しみました。その後近くの海岸を散策し、きんたの里に宿泊、夜は宴会でした。翌日はかなぎウエスタンライディングパークで乗馬や馬のエサやり体験をし、千代田の道の駅にてバイキング形式の昼食を楽しみ、4時ごろ帰園しました。
 6名の参加でした。

・島根アクアス見学と乗馬体験A 10月8〜9日
 @班と同じ行程での旅行予定でしたが、時間の余裕があったので三次ワイナリーにも寄ってきました。男子ばかり6名の参加でした。

・日帰りリンゴ狩り 10月16日
 高野町の島津リンゴ園でリンゴ狩りをしました。この時期はゴールデンデリシャスの収穫期でした。酸味だけでなくリンゴの旨みもたっぷりで楽しめました。歯の悪い利用者用に刻む道具等を工夫しました。その後君田温泉で昼食を食べ少しのんびり。帰路、途中の道の駅に立ち寄りお土産等を購入しました。 12名の参加。車いすの方対応に園の公用車も使用しました。



核家族と孤独

愛命園家族会 畑後 克二
 核家族が戦後段々と進み、日本の家族のライフスタイルが核家族化により変化してきました。まず、祖父、祖母、父母、子供と一家にたくさんの人が同居しているということがかなり減ってきました。両親だけの子育てにおいても、夫婦共働きが多くなり、時間的にも家族でゆっくりする事も減っていると思われます。又、近年少年少女の犯罪等も多くなり、悲しくも大変な時代になっています。
 一人暮らしの人も多くなっており、一人で誰にも看取られず死んでいく人も増えています。これも大変つらい事であります。出来れば皆で助け合う相互扶助が必要です。昔ながらの日本の大家族スタイルの暮らしがあれば、独り寂しく最期を迎える「孤独死」もないかもれません。
 世の中多くの問題がありますが、少しでも大切な命を守る事が多くの人によっての使命があればと思っております。



田島 安子さん、中本 良二さんを偲ぶ

サービス管理責任者 煖エ 義彰
 去る8月29日、田島 安子さんがお亡くなりになりました。数年前から通院生活を続けておられましたが、初夏のころに体調を崩され、入院先の病院にて息を引き取られました。享年72歳でした。田島 安子さん、愛命園では3姉妹の真ん中のお姉さんとして有名です。きっぷの良さは園内でも隋一で、親分肌と言いますか、とても懐が深い人です。多少の失敗など気にも留めず「しゃあない、しゃあない」と持っている飴をそっと差し出してくれるような、親分気質な人でした。
 安子さんは私のことを時々「カッチン」と呼んでいました。「頭がカッチンカッチン」なのだそうです。というのも病気のこともあり、苦い飲み薬に注射、点滴に通院・・・嫌な話をするのが私の役目でしたから、私の声が聞こえると「やれ、カッチンが来たでぇ」と姉の勝子さん、妹の治子さんの3姉妹で笑いながら話していました。その3姉妹の笑い声が親しみを込めての「カッチン」であり、これから嫌な話をする私の方が救われた思いでした。
 安子さんから時々ナースコールで私にお呼びがありました。いずれも些細な内容でしたが、それでも私を呼んでくれることが、とてもありがたかったです。
 私が田島さんの最後の言葉を聞いたのは病院のベッドの上でした。「帰りてぇ、園にかえりてぇ」と言葉にならない声で言いました。すぐに連れて帰りたい思いでした。愛命園をわが家のように思ってくれたそのことばが、今も私の胸に残っています。

 安子さんの訃報から数日後、その悲しみが癒える間もなく、9月10日に中本良二さんが息を引き取られました。中本さんも長く持病を患っておられ、5月に広島市内の病院に入院されていましたが、4か月の入院生活の後、お亡くなりになりました。
 中本さんは人懐こくて、話好きで、とても歌が上手な人でした。神楽クラブのセリフ役を一人でやっていたあの人、というと思い出される人も多いのではないかと思います。
 歌や音楽がとても大好きで、カセットテープが擦り切れるくらい何度も聞くためよくテープが切れたり絡まったり。日に何度も「からまったー」と職員室に持ってこられるため、私のカセットテープの修復技術は、ちょっと自慢できるレベルに磨かれました。
中本さんは味のある歌声で、お風呂や散歩などよく歌うので、私もたくさんの歌を覚えました。黒田節に俵星玄蕃、侍ニッポン・・私のあたまにある曲は、ほとんどが中本さんの歌い声で、元の曲は聞いたことがないのに、今でもフルコーラス歌えます。
先日からスタッフルーム前にステレオが置いてあります。生前、中本さんが使っておられたもので、ご家族より園で使ってくださいと寄贈していただいたものです。
 おかげで園内に音楽が流れる機会が増えました。
 田島安子さん 中本さん たくさんの思い出をありがとうございました。安らかに・・・



支援1係活動報告

生活支援員 森下 静江
 1係活動の畑には、今さつまいも・大根・白菜が植えてあります。先日、芋が大きく育っているか、横から手堀をして見てみると「びっくり」です。大きな芋が出てきました。去年は苗の購入が遅過ぎて、なかなか植えることができず不作でした。しかし、今年はみんなで話し合って一生懸命作りました。できれば利用者の皆さんも一緒になって、耕したり、植えたりしたかったのですが、雨が降ったり、暑かったりといった天候で、職員だけで植えました。芋を掘るときは、利用者さんを連れて一緒にと思ったものです。
 白菜・大根は順調に大きくなっているのでみんなで頑張った甲斐があります。
 そして中通り・デイルームの前の中庭には小さな花壇を作りました。廊下を通る時はちょっと外を見て下さい。かわいい花が咲いています。気持ちが少しでも和らいで頂けたらうれしいです。春には水仙とチューリップが咲きます。今から楽しみにしています。
 10月20日に利用者15名と、交代しながらさつまいもを掘りました。みんな手で堀り「大きい」と声が出てびっくりしていました。園に帰ってからも、お風呂に入ってからも、今日一日はずっとさつまいもの話でした。



支援2係 外出

生活支援員 石田 まゆみ
 昨年利用者に好評であった、もみのき森林公園の外出を8月28日に実施しました。
 当初の計画では、7月3日に予定をしていましたが雨の為、延期になっておりました。利用者から「今度はいつ行くの?行けますか?」と心配の声を聴いており、今回実施でき安心しました。
 天気は晴天とはなりませんでしたが、バーベキューをするにはちょうど良い天候で、到着後さっそく焼肉を開始し、焼きあがったお肉を美味しそうに食べられていました。
 お腹一杯になられた利用者の中には、散策や散歩に出かける方や雑談をされる方、それぞれ楽しんでおられ、いつもとは違う笑顔がたくさん見られました。
 何人かにどうだったか聴くと、「お肉が美味しかった。歩いて気持ちよかったんよ。また行きたい。」等の感想が聞け、とても良い気分転換になったのではないかと感じました。
 当日参加出来なかった利用者には、10月7日デイルームにて、ミルク工房の半ドラやプリンと飲物を提供しました。大きな口を開け、とても美味しそうに食べられていました。少しは楽しんでいただけたでしょうか。



『園まつり』開催のお知らせ
今年も恒例の『園まつり』を開催いたします。
今年は利用者がスローガンを考案しました。
『笑おうよ!食べようよ!晴れたらいいな!園まつり』
日時 平成26年11月23日(日)勤労感謝の日
    10時〜14時半(雨天決行)
催し物 バザー・利用者作品展示・模擬店(うどん・ちらし寿司・おでん等)
アトラクション 和太鼓・よさこい・楽器演奏・愛命園一座の寸劇
上記の予定で行いますので、お誘いあわせの上ご参加ください。
多数のご来園をお待ちしております。



【寄せられた善意】
[平成26年7月26日〜成26年10月25日]
(順不同・敬称略)
《現  金》
丸田 慎治    原田 秀夫
浅野 きさ子
YMCAコンフォレスト湯来

《現  物》
ビール      則末 信夫
野菜       田中 フミコ
りんご      谷川 隆子
鍋        下前 美佐江
新米、栗     奥元 敏之

栗ごはんにしていただきました。ありがとうございました。

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子     西山 洋子

《音楽ボランティア》
風の会     花柳さくら会

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《退  職》
7月31日付
生活支援員    河普@雄太


《就  職》
8月1日付
非常勤生活支援員  山根 嘉将
9月1日付
非常勤事務員    伊藤 真紀子



編集後記
 愛命園では園まつりに向けた準備が進んでおります。ここ数年、行事が天候に左右されることが多くなっています。晴天のなかで園まつりが迎えられればと願うばかりです。 (HY)