第161号   愛命園だより「あゆみ」   平成25年10月

継承
サービス管理責任者 煖エ 義彰

 今年度は園長・課長・事務長が就任し新たな愛命園となりました。ここ数年は職員の異動も続いており、経験豊かな職員が退職しフレッシュな職員が増えています。長く愛命園を支えて来られた諸先輩方が退職され寂しくなる一方で、新任職員も増えましたので顔ぶれも随分かわってきました。別れと新たな出会いが重なって戸惑いを感じつつも、私も気がつけば古い職員に繰り上がっていました。
 反面、ここ数年の利用者の異動はほとんどありません。利用者の平均年齢も60歳を越えて利用期間も長くなっています。園のこうした事情は今の福祉の流れに逆行しているのかもしれませんが、利用者の皆さんはゆっくりと穏やかに過ごしていると感じています。施設入所が長期化することが好ましいとは思いませんし、地域での生活を望む方には全力でのサポートが必要だと考えています。しかし通常、生活環境が変わることは誰にとっても少なからず戸惑うものですが、二重、三重の障害を抱える利用者の皆さんにとって、それは容易なものではありません。急激な環境変化は大きな混乱を招きます。環境が変わることで、それまで培った生活能力を簡単に奪い、生命に影響を与えるほどです。そうした施設症とも言われるような心理状況、それらに伴う福祉サービスや環境など、課題は多いと感じています。
 それらに於いて現在の愛命園を考えると、これまでの支援のあり方には限界があり、新たな目標設定による次の段階にきているものと思います。施設の環境や事業として今後を考えていく必要があります。新任職員の増員に伴って、経験不足による失敗や事故の可能性、力量不足や後輩職員への指導力不足など課題は山済みですが、今後の愛命園において利用者にとって安心して生活できる安定した環境の構築が急務だと感じています。
 以前、先輩のあゆみに「一人ひとりにとっての大切な人生、できることなら充実した日々でありたい。先の見えない時世だからこそ原点に立ち返り、先人達の熱い志を継承しつつ新芽を付足していきたい」とありました。私もその熱い志を継承し強く優しい新たな芽になりたいと胸に抱いています。ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。



夏まつり
生活支援員 山根 一洋

 8月10日土曜日に恒例の夏祭りを開催致しました。アトラクションとして、本年度も昨年に引き続き水内神楽団の皆さんにきていただきました。
水内神楽団さんによる神楽の鼓や笛の音、そして舞は臨場感があり、利用者の皆さんも昨年以上に盛り上がっていました。
本年度も全員参加の盆踊りを行いました。炭坑節と阿波踊りで締めくくり、利用者・スタッフ一同楽しみました。
今年も地域の皆さんや福祉専門学校・富士産業の方々にボランティアとしてご協力いただきました。本当にありがとうございました。



一泊旅行
生活支援員 河普@雄太

 例年通り、9月〜10月前半にかけて一泊及び日帰り旅行に行ってきました。
 今回の泊を伴う旅行は、愛命園から近い湯来ロッジでの泊になりました。
 泊まる場所があまりにも近いので、利用者から「近いけん行かんわ。」等と、声があがる不安もあったのですが、終わってみると「えかったのお・・・また行きたいわ。」という声等を多く頂きました。
 愛命園の利用者も年々、重度化になっていく中で旅行に行くのも難しい状況になってきましたが、今回の近場の旅行は「無理なく、良かったな」と感じた旅行でした。



ススキ行事
生活支援員 森下 静江

 愛命園では、毎年9月の初めに天上山へ行ってススキを採取し、次の日は広島市内へ配布に出かけて行きます。地域の方・利用者のご家族・利用者・職員が、ひとつになって取り掛かっている行事です。
 ススキが生える時期になると、みんな楽しみにして「広島市内へ一足早く田舎の秋を持っていこう」と採取の日が近づくとその日まで大忙しです。今年は新しく鎌も買い、必要な道具も揃えて天上山へ行く準備は万端。日頃お世話になっている、官庁、関係団体、そして市民の方へ配布を店舗の前で行なわせていただく福屋へ事前に連絡を取りました。
 後は一番心配なのが天候です。みんなで「大丈夫よ、晴れるよ、山へ行かれるよ」と、話していました。しかし残念な事に採取の日、昨夜からの雨は止まず、台風までが広島へ向かってきているとの気象情報が入り、園では朝6時の時点で中止となりました。
 すぐに手伝いに来てくださる方々、ススキ配布を心待ちにしておられる方々へ、残念な連絡を取らせていただきました。
 来年は晴れますようにお願いします。



迫り来る自然災害に思う
生活支援員 新田 嘉弘

 日本列島に限らず、世界中に拡大している様々な自然災害が連日報道されている。その規模の大きさに改めて驚く。今迄は対岸の火事くらいに軽く考えていたが、他人事で済まされなくなっている。国内に目を転じても、雨量が数百ミリ、川が氾濫し、街中が短時間に一気に冠水する、竜巻が家屋や車を巻き上げる、呆然と立ち尽くす人間の弱さが露呈することが日常の姿となっている。
 当園は2本の川に挟まれた立地条件となっている。梅雨時期や台風シーズンになると特に神経質になる。今でも記憶の中に消えることの無い恐怖が蘇る。あれは平成17年の9月までさかのぼる。水内川が危険水位に達し、夜の闇が覆いかぶさるように迫っていた。午前0時を過ぎての避難となった。当時は今と比べ利用者の状況も動きに力があった。それでも実際は大変な緊張感の中、地域の人達の協力で何とか避難が完了した。環境の異なる避難先で、利用者の精神状態もピークに達していたことを思い出す。
 8年が経過し、利用者の状況も著しく変化してきた。毎年台風シーズンに合わせ、避難訓練を実施している。訓練の重要性は重々承知しているが、何故か緊張感に欠ける面がある。利用者の車椅子使用が増え、弱者の部類にランクされる60名余りの生命を守ることがどれだけ大変なことか、意識改革が本当の意味で重要であることを肝に銘じなければならない。被害に遭ってから後悔しないよう、関係機関、地域と連携しながら前向きな情報交換と迅速な行動が出来るスタッフでありたいと思っている。



第1支援活動報告
生活支援員 梅田 大作

 第1支援活動では先日、小グループ外出を計画し、実施しました。
 行き先は戸河内の公園で、遊んで弁当等を購入して深入山で食べるというドライブがメインの外出でした。
 まず、戸河内の「道の駅」にある公園に行きました。中国道の戸河内インターのすぐそばにあり、当園から40分くらいで行けました。
 公園はまだ新しく、遊具もどれもきれいで快適です。ローラー滑り台もまだよく滑り、結構なスピードが出ていましたが、初めて体験した利用者も大変喜んで何度も滑られていました。
 公園で遊んだ後、近くにあるパン屋さんで小さなパンとコーヒーで休憩をしました。美味しい手作りパンと淹れたてのコーヒーで温まりました。
そして、近くのお弁当屋でそれぞれ好きな弁当を購入して、深入山に向けて出発しました。
戸河内の公園より30分くらいで到着しました。朝は少し肌寒く感じましたが、天候が良く、ちょうど良い気温でした。
キャンプ場の一角をお借りして食事を摂り、しばらくの間のんびりと休憩して初秋を感じました。
お弁当も美味しかったのですが、「空気が美味しい」という声を聞くことができました。
参加された利用者全員がとても喜んでおられました。
 第1支援では、これからも利用者ひとり一人の思いを大切にし、面白い事を企画・体験していきます。その様子を、また次回に報告したいと思います。



気について思う事
家族会副会長 池田 耕治

 元気、勇気、気力、やる気、病気、根気、天気、人気、空気など、気に関する言葉はさまざまあります。人は気の持ちようで、プラスにもマイナスにもなります。
 世の中、東北大地震、大津波で多数の人が亡くなり、福島の原発事故の放射能汚染、福島県一部地域の放棄、人のいない廃墟のような町、世の中を覆うマイナスの雰囲気、ああ暗い、暗い。
 昨年安倍首相が誕生し、アベノミクスで大規模な金融緩和による円安で輸出拡大、株価上昇、企業収益アップ、個人消費の広がりで好景気になりつつある。
 世の中にプラスエネルギーが充満してきているように見えるが、我が家にはまだまだ恩恵が及んでない。
 しかし、前向きに考えるだけで不景気が好景気に、病は気からと言うように気の持ちようで病気も元気に変わる。
その為には一歩外に出る事により、人とのコミュニケーションが図れ、景色も変わり良い気のところには良い人が集まるというように、活性化出来ると思う。私も行く先は長くないかもしれないが、世の為、人の為、私の為にいろんな活動をして行こうと思い気をいっぱいに吸ってハッピーな人生を送りたいと思っている今日この頃です。
 「気」と言う言葉の意味をもう一度見直して楽しい日々を過ごして行きましょう。



木漏れ日〜リレー随想
私の趣味
生活支援員 徳島 友明

私の趣味は数年前に友達に勧められて始めた魚釣りです。今では愛命園の職員で行くことが多くなり先輩・後輩関係なく釣りが趣味の人が集まり一緒に釣りを楽しんでいます。
また、始めた当初は1人で行っていたため、釣れるまで待てずにイライラしながら釣っていましたが、誰かと一緒に行くと釣れないときは仕事の話やプライベートの話をするので、釣れるまでの待ち時間が苦にならなくなりました。今では、釣れた時の竿の感触や引きがたまらず、しょっちゅう仕事が終わってから、誰かを誘っては海や池などに行っています。
この趣味が年を取っても変わらないように続けていきたいと思います。



【寄せられた善意】
[平成25年7月26日〜平成25年10月25日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
原田 秀夫     前川 昭夫
藤井 貢      大原 佳子
後藤 幸生     大成 敏正
渡辺 清恵     谷川 隆子
山本 信行     森井旅館
YMCAコンフォレスト湯来

《現  物》
そうめん、りんご  谷川 隆子
ねぎ        野上 好子
ゴーヤ       正岡 嘉幸
マスク       小島薬局
絆創膏       政岡薬店
お花        宮田 恵美子
エレクトーン、新米 田室自動車
新米        奥元 敏之
ごぼう       梶原 繁子
グランド旗     清水 都美子
もち米       湯来東小学校

《朗読奉仕》
どんぐり会

《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子     西山 洋子

《音楽ボランティア》
香川 裕光

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き

《退  職》
7月31日付
 非常勤生活支援員  石川 晃

9月30日付
 非常勤事務員    清水 都美子

《就  職》
9月1日付
 事務長       竹内 美千代

着任挨拶
 この9月より、愛命園の事務長として勤めさせていただくことになりました 竹内美千代です。
 平成5年に法人本部に就職し、平成9年から視覚障害者情報センター(点字図書館)に勤務していましたところ、突然、愛命園の事務長の話をいただき、大変悩みましたが、勤めさせていただくこととしました。
 広島市東区馬木から片道44qどうなるかと思いましたが、今一番いい季節 黄金の稲穂、柿、いちじくの実などを眺めながら通勤しています。冬が少し心配です。
 前事務長の後を引き受けるということは、大変な責任の重さを感じます。
 還暦を少しすぎた年齢です。新しいことを覚えるには、脳も少々かたくなっていますので、いつまで勤めることができるかわかりませんが、職員の皆様に助けていただき、もう少し頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします。

9月2日付
 非常勤生活支援員  上 正輝
 非常勤生活支援員  前田 孝博

10月1日付
 非常勤生活支援員  小松 順子



『園まつり』開催のお知らせ
今年も恒例の『園まつり』を開催いたします。

日時  平成25年11月23日(土)
             勤労感謝の日
    10時〜14時半(雨天決行)
催し物 ・バザー ・利用者作品展示
・模擬店(うどん・ちらし寿司・おでん等)
アトラクション ・和太鼓・よさこい・
楽器演奏 等

上記の予定で行いますので、ご多忙のこととは存じますが、ご近所・ご友人などお誘いあわせの上、ご参加ください。多数のご来園を、利用者・職員・関係者一同心からお待ちしております。



【編集後記】
 愛命園のレンガ通りには金木犀が植えられており、これかから秋というところで花を咲かせ、甘い香りを漂わせます。夏が長いなどと思ったりもしますが、秋の花はやっぱりその時期咲いて、季節の移ろいを教えてくれています。 (HY)