第156号   愛命園だより「あゆみ」   平成24年7月


自然の恵み
園長 藤原 幹男

 昨年7月発行の『あゆみ第152号』、その中で掲載した“ピチピチ鮎”の写真を覚えておられる方も何人かいらっしゃるのではないでしょうか?
 これ迄何度かご紹介しております愛命園の立地周辺の状況です。

♪ 緑豊かな湯の里は 水内(みのち)の川のせせらぎに
小鳥は歌い花は咲く 自然の恵みに包まれた
とわの施設愛の園 ここは我らの愛命園 ♪

 園歌『我らの愛命園』でも歌っているように【鮎の宝庫・水内川(一級河川)】そしてもう片方は【蛍の宝庫・夜無谷(よなしだに)川(小川)】この二つの川に挟まれた形で愛命園は立地しています。
 かつては、アユの釣り場を求めて徹夜組もでるほどの賑わいを見せていた水内川。差し出す手にまといつくほどのホタルが乱舞していた夜無谷川。まさしく、自然の恵みに包まれた愛命園です。しかし、自然には“災害”というあまり歓迎したくない面があります。
 ここ湯来町(愛命園)も台風や集中豪雨による被災地になることが多々あります。災害による河川等の復旧工事。その影響を受けてか、最近は鮎や蛍も今一つ明るい話は聞かれませんでした。
 ところが、昨年・今年と蛍に関するそれこそ明るいニュースを沢山聞くことができました。“ホタルの里”がよみがえりつつありそうです。まだ
かつての乱舞には程遠いものの、間違いなく心を

癒してくれるあの“ホタルの光”です。
 一方、鮎に関する景気のよい話はここ久しくきいていないように思います。それこそ昔話になりそうですが、友釣りの解禁日には2〜30匹の釣果はざらで、「5〜60匹」イヤイヤ「100匹は釣ったでー!」のビッグニュースに驚かされる事も多々ありました。当園の職員の中にも名人級?が何人かおられ、おとり用の鮎をいけすに泳がせておられた様子が懐かしく思い出されます。関係者の評判でも水内川の鮎は味の良さでは全国的にも上位にランクされているようです。
 そんな水内川、しかも愛命園のすぐ傍をポイントにした鮎釣り大会が、3年前から開催されています。その釣果が『あゆみ第152号』の写真です。毎回当園に贈呈いただき、大会当日の夕食で新鮮な鮎を美味しく頂いております。感謝の一言です。今年も7月下旬に大会開催との一報をいただいておるところです。
 鮎にしろ蛍にしろ、生息するにはそれにふさわしい環境の保全・整備が不可欠です。自然の恵み、その恩恵に甘えてばかりではなく、自然を育む心を持ち続け、そして実行しなくてはならない。そんな気持ちを新たにしている今日この頃です。



夏季雑感

愛命園家族会会長 藤正坂ニ
−マイペース 折り返し点 半夏生−
  −さあ今日も 現役なりや もたいなや−

 大正100年、新藤兼人さん100歳、など節目節目をあげればきりがありませんが、今年は点字毎日新聞(点毎)が発刊90周年ということで、その記念日5月11日を中心に貴重な、また懐かしい記事が載りました。詳しい内容については省略しますが、この点毎は毎日新聞発刊50周年を記念して企画され、以後戦時中も休むことなく今日まで(週1回発行)、今は点字にして60ページ(普通紙にして6ページ程度)のものですが、なんといってもこれだけの歴史を持つ点字新聞は世界でも他にないとか。我々視覚障害者にとっては、本当に嬉しいまたありがたいものです。
 さて、その点毎6月24日付の中から一つ、
−竹下新会長かく語りき−
 今月千葉市で開かれた日盲連(日本盲人会連合)の全国盲人福祉大会。竹下義樹新会長が率いる初めての大会とあってその発言内容が注目された。自ら「私自身の初陣」と語った3日間の大会から注目の発言を拾った。(会員約3万人、出席約2千人)
−国を変える気概をもって−(最終日の式典、主催者挨拶で)
 「日盲連大会は65回を重ねてきました。昭和23年に日盲連が結成されてからこの歴史が日本社会において視覚障害者の生き易い社会を築いた礎になったことは間違いありません。私は61歳のまだ若造です。日盲連が結成された以後に生まれた世代が、初めて会長職を引き受けることになりました。「なったからには全力で全国の障害者が住みよい日本を作る。もはや日本は世界に誇る福祉国家である」と、こう宣言する日本になるべきだと思っています。(中略、後略)」
 なにやら元気が出ますねぇ。なお、竹下会長は全盲で弁護士として大活躍の人。また、私ども愛命園の法人本部前川会長さんも日盲連副会長の一人として、このたび4期目を迎えられ益々お忙しいとのことです。ご苦労様です。さあ皆さん、元気を出したりもろうたりして夏を迎えましょうや。



グループ外出
生活支援員 枝折 千秋

 この度のグループ外出は7班に分かれて行きました。1班可部の湯、2班安佐動物公園、3,4班ほの湯、5班野球観戦、6,7班サンリブ。
 トップバッターは可部の湯。外出先の定番ともいえる可部の湯は、天候にも恵まれ、慣れている場所でもあるせいか、皆さんリラックスした様子。可部の湯に着くと、まずお風呂に入られる方、カラオケに行かれる方、買物をされる方と様々でした。昼食は、皆さん話をあわせたかのようにお寿司屋さんに集合したのには驚きました。「楽しかった」「また行こうね」「カラオケ楽しかった」等の声が聞かれました。
 次に安佐動物公園。安佐動物公園は屋外です。一番天候を心配しておりましたが、雨男雨女が多かったのか、朝からあいにくの雨。計画を立てた私の心も雨マークになりました。利用者さんたちはどうだろうかとバスに乗り込んだ皆さんの表情を見て行くと、ワクワクが伝わってくるような笑顔で、私の心配はどこかに飛んでいきました。結局動物園は雨で中止、買物に変更となりましたが、「サルが見たかったけどよかったよ」「寿司食べれてよかったよ」「楽しかったぁ」等の声を聞くことができました。
 3番目はほの湯楽々園。このほの湯、愛命園としては初めての試みでした。「先に買物がしたい」との希望により、まずヤマダ電機、マダムジョイ等で買物を済ませ、いよいよほの湯へ。初めての施設にドキドキワクワク。露天風呂、サウナ等、たくさんの種類のお風呂があり、なんと露天風呂には大きなテレビが設置されておりました。サウナにチャレンジされた利用者もおられましたが、想像以上の熱気に驚き、入ってすぐに「出る!」と言ってサウナ室から出られたようです。微笑ましい体験談でした。
 そしてナイターの野球観戦。指定席は1階3塁側で、頭上には日よけとなる屋根があり、売店やトイレも近く、最適な環境での観戦となりました。カープは負け癖がついたような状況で、空席も目立ち、少し心細く感じていましたが、この日はなんと勝ち試合。利用者も職員も一緒になって大いに盛り上がりました。ヒーローインタビューまで残り、充分に堪能することができました。
 最後はサンリブ。こちらも可部の湯と同様、定番ともいえる外出先です。利用者の皆さんも慣れた場所というとこもあり、売り場の大体の見当がついているようで、安心して買物を楽しまれていました。このほか、「食事はあそこのお店で食べたい」という要望を出される利用者もおられました。食事はお好み焼きが大人気で、食べきれそうにないほど大きなお好み焼きに、「え〜、まだあるの」などと言いながらも、汗をかきかき満面の笑みで食べられていました。「あ〜、お好み焼きおいしかったよ〜」「私は、お好み焼きに餅を入れて食べたんよ」「また行きたいね」
 どのグループも時間を思う存分使い楽しまれたようです。来年も、皆さんが楽しめる外出を企画したいと思います。



永年勤続表彰受賞者より
 今年度の開園記念行事において、3名の方が10年、20年の永年勤続表彰を受けられました。受賞者からの声を紹介します。

生活支援員 荒木 美恵子

愛命園開園39周年にあたり勤続20年表彰をして頂きありがとうございます。愛命園に平成4年3月からお世話になり利用者の方々から「明日は来るの?いつ泊まりなの?」と優しい言葉、温かい気持ちに支えられて今日まで一緒に過ごすことができました。縁あって開園記念日の6月1日は私の誕生日でもあり、愛命園と歩んでこられた20年でした。振り返れば園まつり・旅行・グループ外出など各行事に大切な思い出があります。利用者、ご家族、広島県視覚障害者団体連合会、職員のお力添えのおかげと感謝いたしております。これからも、利用者の皆さんの笑顔をたくさん見られる生活支援をしていきたいと思います。よろしくお願いします。


生活支援員 伊藤 真紀子

私が、愛命園に就職した時は生活班からのスタートでした。
戸惑う事ばかりで毎日が必死でした。しかし利用者の方に私を受け入れていただき気持ちが通じあったときはなんとも言いようのないうれしい瞬間でした。利用者の方々に教えてもらった事もたくさんあります。今では「真紀さん。真紀さん」と声をかけていただき頼りにしてもらい本当に感謝しております。また失敗して落ち込んだりした時に、先輩方に背中を押してもらったり、お力添えがあったからこそ今までやって来れたんだと思います。これからも初心を忘れず笑顔を忘れず一日一日を大切にして愛命園で頑張りたいと思います。よろしくお願いします。


生活支援員  石田 まゆみ

平成14年より、愛命園に勤め始め、10年と言う節目の表彰をしていただき、月日の早いことを感じています。
今思いますと、介護の仕事は何も分からず、とても不安な気持ちで勤め始めた事を思い出します。しかし、利用者さんより気軽に声を掛けてくださり、不安な気持ちはなくなり、利用者さんの顔を見るのが、楽しみになってきました。
なにより利用者さんの、毎日の元気な挨拶や笑顔とやる気にいつも勇気付けられ、いろんな事を学ばせてもらいました。
それと、公私共にいろんな事を気軽に相談でき、教えてもらえる上司や先輩、職員の方達がおられ、助けていただけたから、ここまで続けられたと感謝しています。
これからも、利用者の方々や皆様と一緒に楽しく、笑顔で仕事ができるよう、頑張りたいと思います。よろしくお願いします。



支援1係活動報告

生活支援員 伊藤 真紀子
 毎日暑い日が続いております。夏本番です!
 まずは園芸について、4月までに職員でビニールハウスの骨組を設置し、必要不可欠な猿対策ネットを張り、そして4月からいよいよ利用者の方々と一緒に草取りから始めスイカ・サツマイモ・花の苗を植えました。園芸は収穫まで管理が大変です。毎日の草とりと水やりは大変ですが、土に触れ風を感じ収穫を楽しみに頑張っていこうと思います。
 そして今年度から「越智君と音楽会」と称した演奏会を月1回開く事としました。越智君のピアノ伴奏に合わせみんなで歌ったり合奏したりしています。越智君は自分の知っている曲なら何でも弾けます。(ちなみに私も少しばかりピアノをたしなみますが足元にも及びません‥ )
6月の演奏会では「エリーゼのために」「ラデッキー行進曲」「水戸黄門」など様々なジャンルのリクエストに答えてくれ、みんなで手拍子やタンバリンなどの楽器を使い、楽しい時間を過ごしました。みんなの優しい笑顔を見てこれぞ利用者による利用者のための活動かと!
 また先日、遠足で「もみのき森林公園」に行ってきました。サイクリングロードを歩きキャンプ場までさわやかな緑の木々の中をおしゃべりしながら散策しました。途中の休憩所でみんなでお弁当を食べ楽しい一日を過ごしました。次回は湯来温泉方面の散策を予定しております。どうか晴れますように!
 7月には七夕飾りをつくり短冊に願い事を書き笹に飾りました。「健康で暮らせますように」「喫茶店に行きたいなぁ」「絶対カープ優勝」とかいろいろな短冊がありました。きっと神様はみんなの事、見ておられるに違いないですよね。大丈夫・大丈夫‥‥



木漏れ日
リレー随想
支援課長 長峯 公明

争い事は好まない。同僚、友人知人、山の神、相手が誰であろうと反目し、緊張関係を強いられるのは苦手だ。持久戦を耐え抜くより矜持を捨てても白旗を掲げたほうがまし、と思っている。
 テレビの討論番組を見ていると、居丈高に相手を遣り込める人に出会うことがある。半ば視聴率稼ぎの演出だろうと思いつつ、「そんな言い方をしなくても」とつぶやいてしまう。議論の中身より押し黙ってしまった敗者の顔色が気になって仕方ない。それほど軟弱な私でも、実は年来の仇敵がいる。
 4年前、施設の目の前に畑を借りた。元園長の私有地でご自身も野菜を作っておられる。初年度は玉ネギ300本を植え付けた。これが思いの外によくできて、我ながら嬉しかった。2年目の春はジャガイモ、枝豆、ゴーヤ、サツマイモ、秋には大根、ホウレンソウ、イチゴ、スナックエンドウ・・・。15坪足らずの畑は、趣味と実益の源泉であった。
 種を蒔くとき、苗を植え付けるとき、頭をよぎるのは来たるべき収穫の日。たとえ見目形は悪くても新鮮な野菜はおいしい。2年目の夏の枝豆がまさにそうだった。採りたてをさっと塩茹でし、ビール片手にさやをつまんでは放り込む。口中にぱっと広がる甘味と旨み。「生産者」ならではの幸福感に満たされた。
 初収穫から数日後、畑を覗いた。何だか様子がおかしい。一部の株がなぎ倒され、根元には空のさやが散乱。明らかに「鳥がつついた」というレベルではない。思い当たるふしもあった。今に続く私とサルとの飽くなき戦いは、この時から始まった。
 まず試みたのは、「奈良県果樹振興センター」が提案した侵入防止用の柵。名前を「猿落君」という。トンネル栽培に使う弾力性の高い支柱にテグスの網を張ったもので、サルが登ると支柱が曲がって落ちる、とのふれこみだった。私も含めて3人分の畑を取り囲んだ高さ2メートル余のネットは、必ずやサルたちを落胆させるに違いないと予感した。
作業の様子を裏山から観察でもしていたのか、それなりの警戒心は持たせたようだ。しばらくは安寧の日々が続いて、サルへの優越感を意識した。   
だが、長続きはしなかった。安上がりの手抜き工事が招いた当然の結果か、はたまた畑の隅の立木が原因か。情け容赦もなく、ジャガイモは引っこ抜かれ、サツマイモは掘り返され、イチゴは30分食べ放題・・・。糠喜びに終わった。
 私が放った二の矢は、登れない網ではなく、サルに侵入の誘惑を起こさせず、気力も萎えさせる鉄壁の囲い。柿や梅の樹を避けて畑を4ブロックに区切り、周囲に加えて天井も防鳥網ですっぽりと覆った。一部には有刺鉄線という念の入れよう。入り口から最も遠い私のエリアは、手動ゲートを4つもくぐらなければたどり着けない。アフリカンサファリの中に畑があった。
疑心暗鬼を払拭するには至らなかったが、内心は期するものがあった。はて、その結末は?
ご想像にお任せしたい。
 それからも延々と試行錯誤は続き、書き連ねれば切りがない。幸いにも、いまは小康状態を保っている。おかげで今年はイチゴジャムが沢山できたし、因縁の枝豆もしっかりビールのお供になった。ただ、サルたちもこのまま黙ってはいないはずだ。手ぐすね引いて、さらなる対抗手段を練っているに違いない。
 収穫目前にして丹精込めた野菜を横取りされるのは、確かに悔しい。しかし、私はサルを不倶戴天の敵とは思っていない。そもそもサルをヒトの生活圏に呼び寄せたのは、私たち。田んぼに屑野菜を捨てて餌場を作る。追い払いもせず、ただ眺めているだけ。私たちが原因を作ったのなら、その逆もできるはず。いま私にできることは何だろうか。時には腹立ち、時には楽しみ、私とサルとの野菜の争奪戦はまだまだ続きそうである。



【寄せられた善意】
[平成24年4月26日〜平成24年7月25日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
河村 和典      浅野 一男
森 洋子       青原 清美
桑田 幸子      森井旅館
前川 昭夫      大成 敏正
藤正 坂ニ      藤正 スズヱ
上垣 邦子      安村 知子
波多野 八千代    川端 康司
中野 富貴子     谷川 隆子
YMCAコンフォレスト湯来
湯来ふるさとプロジェクト

《現  物》
たけのこ       伊藤 真紀子
洗剤・乾麺・そうめん 谷川 隆子
たけのこ・しゃもじ  奥元 敏之
ビール        村本 晃一
タオル        後口 市夫
ポケットティッシュ
 広島市立佐伯区図書館湯来河野閲覧室

《朗読奉仕》
どんぐり会    湯来朗読グループ

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もございます。



※平成23年度決算報告につきましては、
愛命園ホームページに掲載しております。
URL http://www.aimeien.jp

人の動き

《退  職》
6月30日付
非常勤生活支援員  内藤 はるか

《就  職》
4月5日付
非常勤生活支援員  田中 崇博

5月21日付
非常勤生活支援員  木村 美抄子

6月1日付
非常勤生活支援員  下前 美佐江



【編集後記】
 先日、中国地方の梅雨明けが宣言されました。それ以降、カラッと晴れる日が多くなり、日差しは夏特有のギラギラと照りつけるものになっています。梅雨の間には見送ることの多かった、グランド旗の掲揚も、多くの日でできるようになりました。
 しかし、朝は晴れていても、昼を過ぎた頃からどんよりとした雲が空を覆いほんの短時間の通り雨、などということがちょくちょくあります。旗を濡らさないよう、降りはじめる前に仕舞うのですが、突然の雨はなかなかに曲者です。
 携帯電話の雨雲アラームという機能で事前に回収できるよう気を付けていますが、アラームより早く降りはじめていた、などということもあります。
 育成会よりいただいたグランド旗です。きれいな状態を保ち、末永く掲げていければと思っています。