第153号   愛命園だより「あゆみ」   平成23年10月


視点
サービス管理責任者 煖エ 義彰

 視点が変われば自分も変わると聞いたことがあります。
この四月、生活支援員からサービス管理責任者へと役回りがかわったことで、これまでとは違った視点で利用者、職員、業務内容など愛命園の全体をみることができるようになりました。特に、これまでの利用者に深く寄り添った視点から、もう少し幅広い視野でその人を取り巻く環境や状況、状態をみるよう心がけています。そうなると自然とこれまでとは違った方法も浮かんでくるもので、とても新鮮な感覚です。不慣れなことに直面するとかなりアタフタすることが多いのですが、それでも新しいことを知ることはおもしろいと感じます。
 また、役回りが変わったことで自分のやるべきことは何か、どうあってほしいか、どうありたいかを考えます。場当たり的に対応するのではなく必要なことを選択し自分なりの解釈、意味付けをして一人ひとりにきちんと向き合い、抱えている課題をともに見据える丁寧な仕事を目指していきたいと考えています。
 障害者支援施設へと移行後、愛命園においても盲重複障害利用者の認知症状、車イス利用者との環境面の調整、精神障害を伴う利用者の突発的言動や周囲への影響等、多くの課題が浮かび上がってきました。また業務や行事、利用者の生活にいたるまで、以前は利用者の要望にそったものであっても、時間の流れに伴い実情とは少しずつかけ離れてきました。見直していかなくてはならないものは改め変えていく必要があると感じています。
 そうした利用者のニーズがますます多様化していく中で、より現実的に応えていくためには、ひとつのニーズに対してひとつの方法ではなく、複数のバックアップ体制を整える「多重化」が柱となっており、個別支援計画の具体的実行性が重要と考えています。それは施設内で完結しているものではなく、幅広く視野を広げていくことが重要であり、ゆえに愛命園においても大きな転換が必要な時期だと思っています。
 その一方で現在の状況をいかに維持するかだと思います。安定や維持というと、ともすると進歩も向上もないとご批判をたまわるかもしれませんが、利用者のみなさんすべてが新しいことばかりを求めているわけではありません。これまで積み重ねてきた生活など、その人にとって大切な経験であり財産だと思います。『もっともっと』と常に更なる向上を求めるばかりが正しいとは思いません。穏やかにゆっくりとした時間を過ごしたいと思う人も確かにいるのです。
 見直すべきところは見直し、大切なことは残していく。重視すべきは人間の尊厳にかかわる生活づくりであり、例えどんなに重度の障害や病気を抱えていたとしても十分な説明責任と合意形成を前提とすること。利用者のみなさんひとりひとりが、本当に安心して生活できる環境づくりがわたしたちの役割だと思います。
 今後に向けて1年後、3年後、その先に向けての方向性は何か、そのために自分は何をすべきか、精一杯自分のできることを出しきっていきたいと思います。



ラジオ深夜便
家族会会長 藤正 坂二

 よう寝たと見りゃあ、やれやれまだ3時。それで、よし、神が起こしてくれたんだ。
 10月6日の朝は、3時から戦中戦後の映画主題歌を聞いて、4時からは「明日への言葉」この日は、福祉機器販売会社社長山崎やすひろさんの「車椅子は生活の場」という放送でした。目が冴えました。歳は今50歳。スポーツマンで、今から32年前、アメリカでの高校1年の冬のこと。スキークラブから寄宿舎に帰って、部屋は暖房が効きすぎ暑いので、窓を開けて友達と窓に座ってわいわい楽しんでいるとき、どうしたはずみか仰向けで3階からコンクリートへ落ちて腰椎をやられ意識不明の10日間、へそから下は完全麻痺という重度障害者、長い道のりの中、落胆にも増して苦しかったのは車椅子生活が始まってからの5、6年、床ずれとの戦いだったそうです。手術してもまたできる、結局最後は1年に4回も、最後はアメリカでの手術。アメリカでの車椅子の生活に対するインストラクターがいて、リハビリと指導にあたる。そのことによって床ずれからの苦しい戦いからは開放され、最近の日常はなんと1日のうち18から20時間は車椅子の生活。会社の仕事から、スポーツの指導、スキューバダイビング、講演活動に全国を飛び回っての忙しい毎日だそうです。布団の中で元気をもらいました。
 ところで、愛命園にも車椅子を必要とする人が年々増え、車椅子も6、7台あると聞きました。5年後10年後は。
 実はうちの子も最近チョコチョコ車椅子の世話になっているようです。

 ちょい待った
    わしらの車椅子はいつ



再び恐怖を体験しないためにも
生活支援員 新田 嘉弘

 薄れてゆく記憶の中で恐らく平成18年の9月であったと思う。日中からやみ間なく降り続く雨を気にしながら夜の勤務に就いた。水内川は濁流となり水位を増してゆく。地元消防団の方々の見回りが続き、夜の暗さが一層不安を助長してゆく。利用者に気付かれないよう平静を装い、同夜勤務の職員と心の準備をしていた。
 日付が変わり午前0時を回った頃、避難勧告が出された。利用者を起こして回り、それからはどのように振舞ったか覚えていないくらいの動きをしていたようだ。消防署の方をはじめ、地元の応援をいただきながら全員を湯来福祉会館へ避難させた。
 今年の日本列島は東日本大震災から台風の上陸と、まさに災害列島と化した。多くの方々が亡くなり、今現在も行方不明者が存在している。対岸の火事では済まされない、何時起きても不思議ではない状況が我々の身近にも潜んでいる。5年前は利用者もある程度動けた人が最近は重度化に伴い対応も異なっている。利用者の生命と安全を守ることに妥協は許されないのである。
 今年も去る9月6日、水害を想定した避難訓練を実施した。晴天でスタッフも揃い、時間帯も全て恵まれた状況ではあったが、過去幾多の災害に直面した時の恐怖は決して忘れることは出来ない。利用者は勿論、自分自身のためにも今後真剣に取り組んでもらいたい。
 最近は想定外の出来事が多い。テレビのインタビューでも、「生まれて始めての経験でした」と語る人も多い。地震速報も頻繁にテロップで流れてくる。自然災害は今後も我々の身近に起こるであろう。職員一人一人が防災のために何が出来るか、利用者が再び恐怖を体験しないためにもスタッフ一同、情報と認識の共有に努めたいものである。



テケテケの夏〜夏まつり
生活支援員 沖田 幸久

 8月6日土曜日に恒例の夏祭りが開催されました。今年のアトラクションは久しぶりに廿日市ベンチャーズさんに来ていただき、演奏を楽しみました。
 僕と同じか少し上の世代にとって、ベンチャーズの「テケテケ」は衝撃的なものでした。トレモロ・グリッサンドとかクロマチック・ランと言われる奏法でベンチャーズと言えばこれ、テレビでその場面が出ると目が釘付けになったものです。そのテケテケ満載で園内に夏にピッタリのサーフサウンドが響き渡りました。演奏に合わせて利用者・スタッフ等ノリノリでした。その後全員参加の炭坑節と阿波踊りで締めくくりました。
会場には少しでも祭りの屋台の雰囲気を出そうとゲームの夜店や焼きそばコーナーなどを設置しとてもにぎやかな祭りになりました。屋台のメニューも豊富で、美味しい酒が飲めたと利用者のみなさんも喜んでおられました。
 今年も屋台は給食委託の富士産業の方々に、全面的なご協力を得ました。又、広島福祉専門学校の方々にボランティアとして手伝っていただきました。本当にありがとうございました。


平成23年度ススキ採取・配布行事
生活支援員 益成 純也

 8月31日(水)から9月1日(木)にかけて、愛命園ではススキの採取及び配布を実施しました。
少々暑い中ではありましたが天候にも恵まれ、職員と利用者で、目標であった5000本(1000束分)のススキを採取することができました。また、地域の方からの花や、園芸活動で栽培したケイトウの花、職員提供のガマの穂などの草花も多く集まりました。利用者ご家族もススキの整理の手伝いに来園されました。
 今年も広島市内の福屋前で、利用者、ご家族と一緒に、ススキを配りました。1000束あったススキも1時間程度で全てもらっていただくことができました。これに平行して、日頃お世話になっている関係官庁、団体をめぐりました。受取った方々からは「きれいなススキと花をありがとう」「毎年のようにいただいています。小さな秋をありがとう」など感謝の言葉をいただきました。平成23年9月2日の中国新聞広島市民版にも掲載されました。
 こうしてススキ行事は、利用者、ご家族の皆様、地域の方々のご協力により無事に終えることができました。配布後、利用者は大勢の人たちに囲まれ緊張したせいか少々お疲れ気味のようでした。
 この行事も長年続けてきましたが、利用者の高齢化等により年々参加が難しくなってきてはいます。ですが、それでもまだまだ衰えをしらず元気に暮らしている方がいることも事実。そんな利用者や市民の方々に楽しんでもらえるよう、来年もまた皆さんと共にこの行事に臨みたいと思います。



一泊旅行を終えて
生活支援員 沖田 美穂

 今年度の一泊旅行は、利用者に希望の聞き取りから始まりました。山口方面、四国方面に行きたい、劇を見たいと具体的な希望から、新幹線に乗りたい、船に乗りたい、遠くに行きたい、連れて行ってもらえるなら何処でもと、漠然とした希望も上がってきました。そこで、一泊旅行実行委員のスタッフで、出来るだけ利用者の希望が叶えられないだろうかと、何度も何度も頭を捻った結果、9月8、9日の山口湯田温泉、9月15、16日の四国道後温泉、9月22日の福山夢乃湯、9 月29、30日のグリンピアせとうちの一泊二日が3コース、日帰り1コースの実施となりました。ここからは旅行内容を煮詰めることになるのですが、それと同じく、利用者も旅行前から、ソワソワ、ワクワク、行き先は決まった? 散髪はどうしたらいい? 誰と一緒になるのかな? 不安と期待の毎日でした。
 それでは、実際、旅行を終えられた利用者にお聞きした声を紹介します。

第1班山口湯田温泉に行かれた方の声です。
 「ふれあい動物村で犬を抱っこ出来てとても、可愛かったよ!」「旅館での女将劇場の太鼓は迫力があって楽しかった」「徳佐リンゴ園のもぎたてりんごは美味しかった」でした。津和野の散策もゆっくりできて、買い物を堪能しました。
 次は第2班四国道後温泉です。「レオマワールドで乗り物に乗って楽しかった」「さしみが食べられて嬉しかった」「家族にお土産が買えてよかったよ」「今度は劇が見たい」「お土産物が沢山あったから、良かった」「また行きたい」と長旅にもかかわらず、大好評でした。
 次は日帰りの第3班福山「夢乃湯」の方です。 「決まったご飯じゃなくて、自分で選んだ食事を採りたかった」「観劇はとても良かったけど、最後まで聞きたかった」「買い物をもっとしたかった」との感想でした。
最後に第4班グリンピアせとうちです。「遊園地・みろくの里では、雨が降って珍道中だったけど、楽しかった」「バスにガイドさんを付けてほしかった」などと、辛口の声も中にはありましたが、4班共通して聞かれたのは、どの食事も美味しかったと言われたことです。旅行では食事が一番の楽しみだと思っていたので、どのコースも負けず劣らずの御馳走だったようです。それぞれの旅行の楽しみ方をされたのではないでしょうか。
 そして、旅行に参加されていない利用者と、園で皆が無事に帰るのを心待ちにする職員の、盛大な見送りと帰園時の出迎えが、この旅行を盛り上げた大きな要因でもあったと思います。



第一支援活動報告
生活支援員 石田 まゆみ

 日中はまだ暑い日が続いていますが、朝晩肌寒くなってきました。利用者の挨拶が、最近では、寒いね〜から始まるようになりました!
 さて、活動ではカラオケ、そろばん、英語、ぬり絵、全体歩行といろんな活動をしています。

※ カラオケ
 五日市にある、カラオケボックスへ行ってきました。愛命園にも、カラオケはありますが、違った雰囲気で、昔懐かしい歌から最近の歌と、様々な歌を楽しまれ、一段と盛り上がり、いろんな曲が歌えて良かったとの感想でした。

※ ぬり絵
 ドラえもん、アンパンマンのぬり絵をしました。個々に好きな色を使い、個性あふれる作品に仕上がっています。
とても、満足そうな顔をしておられますね。

※ 全体歩行
 1係2係3係の職員と、利用者と一緒に歩行をしています。クアハウス方面と天上山方面へ、季節の移り変わりを楽しみながら、往復約3kのコースを歩いています。
水分補給!休憩中です!
気候もよくなり始めたので、これからも続けて行きたいと思います。

※ そろばん・英語の学習
 勉強熱心な利用者からの希望で、7月よりそろばん・英語の学習をしています。利用者の意欲的で前向きな姿勢に、頭が下がる思いです。私達も負けないように、向学心を持ち続けなければと感じました。
What time is it? もう一回言って?
う〜ん、もう一回発音を言って!!
難しいな〜!
 そろばんパチパチ、音もいいんですよね。
難しい事にも、楽しみながら、チャレンジしておられます。
今後も、豊平のそば打ち体験や遠足、暖簾作りなど計画しています。



砂谷中福祉体験
生活支援員 伊藤 章

 9月29日、砂谷中学校から1学年6名の生徒さんが福祉体験として園に来られました。
貝通しや手芸、ペーパー折り、生活班の合奏、キックベースボールなど、普段利用者さんがされている活動を通して愛命園を知っていただく貴重な機会です。興味津々で臨まれる姿に、主役の利用者さん達は少し緊張気味だったようです。
 昼食では持参されたお弁当を介助者役、利用者役に分かれアイマスクをして食べていただきました。“見えないこと”を理解されていく中で、『慣れ親しんだ母の味』も、いつもとは違った味に感じられたのではないでしょうか。また、“介助をして気付くことより、されて気付くことの方が遥かに多い”ことを感じていただけたのではないでしょうか。
 後日、それぞれの生徒さんから丁寧なお礼状が届きました。その中で、“将来介護士になりたい”という一文がありました。この道を早くから選んでおられることに対する嬉しさと同時に、目標として恥ずかしくない我々でありたいと改めて感じました。



〜木漏れ日〜リレー随想
生活支援員 島 清美

 朝夕と肌寒く感じる季節となりました。愛命園に勤務させていただいて、早いもので5ヶ月経とうとしています。朝出勤してくると園庭や廊下から利用者さん・スタッフの皆さんから「おはよう」「おはようございます」と元気な声が飛び交います。早速元気を貰っています。私は支援1係として、これまで沢山の活動に参加させてもらいました。コーラス・音楽療法・誕生日会・創作・英語・そろばんなど利用者さんが「あー、楽しかった」「またやろうね」と声を掛けて下さると嬉しく励みになります。これからも利用者の皆さんに優しくそっと寄り添える介助者になれたらと思います。



園まつりのご案内
支生活支援員 伊藤 章

 皆様におかれましては、秋の夜長をいかがお過ごしでしょうか。自然豊かな園の周りでは金木犀や、色づき始めた柿の実など、次の季節をいち早く感じることができます。
 一泊旅行が終わると一息つく間もなく利用者の方が楽しみにされている一大行事がやって参ります。
 今年も例年に倣い11月23日の勤労感謝の日に「愛命園 園まつり」の開催を予定しております。利用者を始め、職員、関係者一同、多くの方のご来園を心よりお待ちしております。


平成23年度 愛命園園まつり

日時 平成23年11月23日(水)
             勤労感謝の日
    10:00〜14:30 (雨天決行)

  場所 愛命園

  催し物 ・バザー
      ・模擬店(うどん、寿司等)
      ・アトラクション
         (和太鼓、ソーラン)



【寄せられた善意】
[平成23年7月26日〜平成23年10月25日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
YMCAコンフォレスト湯来
田中 初枝      宮本 進
富士産業株式会社   佐々木 浩二
前川 昭夫      藤井 貢
大成 敏正      和田 信昭
森井旅館       大原 佳子
渡辺 清恵      森 洋子
西法寺        ワンツーサロン
青原 清美

《現  物》
とうもろこし       西部環境
ねぎ           野上 好子
梨            則末 信夫
ジュース・ビール・そうめん・のり
             中野眼科医院
紫玉ねぎ         角前 正明
乾麺           谷川 隆子
松茸           新田 嘉弘
もち米          湯来東小学校
新米           奥元 敏之

《朗読奉仕》
どんぐり会      湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《就  職》
10月17日付
生活支援員      枝折(しおり) 千秋

《結婚・産休》
生活支援員      武岡 郁子(旧姓明石)

 以下、本人より報告です。

この度私事ながら、結婚をしました!!
7月には韓国の済洲島で、身内だけの式を挙げてきました。
多くの利用者や職員の方々にも祝っていただき、ありがとうございました。
併せて、現在妊娠8ヶ月ですが、途中つわりなどもなく、お腹も目立って大きくない為、お腹の中にいる間から親孝行な赤ちゃんのお陰で、元気に仕事をさせていただいています。
姓も「明石」から、「武岡」に変わりましたが、呼ぶ方も呼ばれる方もまだまだ慣れずじまいです。
11月1日から産休に入り、また1年後には復帰をしたいと思っております。
今後とも、よろしくお願いします


《表  彰》
広島県知事表彰   生活支援員 新田 嘉弘
   広島県身体障害者福祉大会にて

ニュートリー株式会社
「ソフティアを使った嚥下食レシピ大賞」
 嚥下チーム賞       愛命園
 水内川の鮎と近隣の方の手作りこんにゃくを使ったソフト食の鮎めしです。



【編集後記】
 11月はいよいよ園まつりです。その園まつりに関して、お願いがございます。
園まつりでは、今年もバザーを実施します。お宅や会社に眠っている物品、農作物等ありましたら、ご提供いただけると幸いです。お電話等でご一報いただければ、受け取りに参ります。
なお、誠に勝手ではございますが、中古衣類や賞味期限の切れた食品はお避けいただきますようお願いします。
 バザーによる収益は、愛命園の施設設備の充実に活用させていただきます。皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。
 電話番号  (0829)83-1111
 住所 佐伯区湯来町和田1113-2