第149号   愛命園だより「あゆみ」   平成22年10月

元気印のギブ&テイク!
園長 藤原 幹男

 「人と人とが関わるという介護(看護)の基本は、聞くという姿勢を大切にすることである」
 この言葉は、いつしか私自身の人生訓として素直に共感できた、尊敬しているあるお方の言葉の一つである。
 どんなに介護(看護)の技術が優れていても技術だけではなく、相手の心を支えるあたたかな感性がないと充分なケアには程遠い。その豊かな感性を育んでくれるのは、相手の思いに寄り添い、しっかりと耳を傾ける姿勢から始まるのではないだろうか?
 決して恵まれている職場環境とは言えない中、一生懸命頑張っている職員一人ひとりに、もっとゆとりを持たせてあげたい、利用者の言葉にじっくりと耳を傾けられる心のゆとり≠提供してあげたい。夢と希望と目標を持った活気あふれるスタッフと共生する利用者はおのずと元気がでてくるはずだ。その為にも、もっともっとスタッフに目を向けた施設整備も必要だと考えている。
 これ迄は、利用者優先・スタッフのことは二の次という考え方が主流であったように思う。確かにそのことが間違いでないことは充分認識しているところでもある。
 一方、職員集団に活気がなければ利用者も決して元気、そして強く生きる勇気もわいてこないだろう。“元気のギブ&テイク” 笑顔と笑い声のあふれる園舎(家)。先人達が目指された 「命」 を 「愛」 する 「園」 、まさしく『愛命園』を名実ともにつくりあげていきたいものだ。改築10周年を目前に今後の施設整備に目を向けたとき、ふとそんな思いが脳裏をかすめている今日この頃である。
 廊下を隔てたホールからは今朝も利用者&スタッフの元気印の歌声が軽快なピアノの伴奏とともに聞こえてくる。つい口ずさみながら自然と笑顔になれる。いつも元気をありがとう!


♪♪♪
生きていることは しあわせ
悲しいときも あるけれど
未来をいつも
夢みることが できるから
未来をいつも
夢見ることが できるから
♪♪♪



一泊旅行

第1班 鳥取方面
看護師 椋田 千春

 今年の一泊旅行は「同じ体験・同じ思い出づくりをしよう」という思いから、旅行地は3ヶ所に決め、9月9日・10日で第一班の島根・鳥取コースから始まりました。
 行程は、1日目は大山の麓にある大山トムソーヤ牧場、安来節演芸館、玉造温泉で一泊。2日目は水木しげるロード、夢みなと公園・市場食堂で昼食をとり、17時10分の帰園コースです。
旅行参加者は石川支援員率いる利用者さん22名、職員13名、合計35名の大人数で9日朝の8時、地元の観光会社ささき観光さんの大型バスに乗ってみんな元気に出発しました
 バスの中もガイドさんの話術で退屈することもなく、楽しく過ごし、遠い大山ももう間近。いよいよ見えてきました、雄大な山が…
 そして、その大山の麓での昼食です。おいしい山の空気を吸いながらの食事です。大山のおいしいものは大根のつけものなどだそうです。
 お腹が一杯になったところで、トムソーヤ牧場に移動し、動物達とのふれあいです。犬を撫でたり、ヤギの乳搾りに挑戦したり、モルモットを膝の上でだっこしたり・・・ 初めて食べたヤギのミルク入りソフトは少々くせがあって・・・ やっぱり、牛のミルク入りソフトがおいしいとか。初めて触れた犬やヤギ・モルモットの感触に、かわいかったとか、手が汚れそうで嫌だったとか…
 みんなそれぞれここでも思い出が出てきたようです。
 安来節演芸館では、踊りの体験。豆しぼり・鼻あて・腰かご・ざるの小道具を身につけ、どじょうすくいの所作を習いました。恥ずかしいやらおかしいやら。最後にもらった「ちょこっと名人修了証」も好評でした。
 玉造温泉では、イベントとして「光のショー」がありましたが、これが見られたことがよかったと話してくれた人もいます。風呂が1番よかったとか、私とペアだった三井さんは、1日目の疲れを爆睡でとり、元気に2日目の朝をむかえられました。
 朝食はバイキング形式で焼きたてパンや大山牛乳、シジミのみそ汁などおいしい朝食をとり、ホテルを出発、水木しげるロードへ…
 本日 快晴! 夏日和! 暑い!! 水木しげるロードではとにかく暑かったことが思い出。「丸い目玉が水に浮いてクルクル回っていたのが印象的だったなあ」「思っていたより楽しかった。お金を使って行っておもしろくなかったらさえんが、よかったよ。また行ってもええよ」と、話してくれた人もおられました。
 今回の旅行も皆さんいろんなかたちで思い出ができていました。いつまでも記憶に残り、話題にしたり、コミュニケーションをとる手段となったり、お互いの絆を深め合うこともできる一泊旅行は、また行きたいなと私も思いました。
そして第2班の一泊旅行記は、利用者の井上君です。どんな旅行だったのでしょうか?



第2班 世羅方面
初めて行ったよ日帰り旅行
利用者 井上 裕司

 僕は今回の旅行を楽しみにしていました。
 早く起きて仕度をしました。グラウンドに出て、待っていると観光バスとハイエースの2台の車が来ました。その頃には皆もつぎつぎ出てきました。僕は観光バスに乗りました。僕のペアはU君と職員のIさんと3人一緒に前から6番目の席に座りました。いつもは出発式があるのですが、今回はそのままバスに乗車しました。
 ガイドさん役は栄養士のA職員でした。初めは聞こえにくかったのですが、クイズが始まってからは聞こえるようになりました。サイコロを振ったのですが目当ての数字がでませんでした。
 やがて目的地(ぶどう狩り)の大和農園に着きました。ぶどう狩りと言えば20年前の下関を思い出します。その時は一泊旅行で日帰りではありませんでした。一泊旅行の時はその場で一粒一粒もいで食べました。しかし今回の日帰り旅行はぶどうをハサミで切ってレジまで持っていきました。その場では食べられませんでした。もいだだけ買い取るようだったのです。だから余り採りませんでした。お金を払った後にぶどうを食べました。いっぱい食べてもまだあまったので持って帰りました。
 昼ご飯は定食物でした。僕は2回もトイレに行きました。土産売り場でワサビのふりかけを買って記念写真を3回撮って、サービスエリアでは甘栗が好きなので買って帰りました。
 栄養士のバスガイドさんはじめドライバーのお二人にはなにかとお世話になりました。
これから厳しい寒さが増してきますので風邪等ひかれませんように、体に十分ご自愛くださいませ。来年もまた元気で逢われるのを楽しみにまっています。さようなら。  (原文カナタイプ)



第3班 山口方面
事務員 林 洋輔

 今年の一泊旅行、シメの第3班は、山口のくだまつ健康パークでゆったりのんびりコースでした。
 お昼前には現地に到着し、まずは昼食。ひと息ついてから、このコースのメインイベントともいえる大衆演劇の見物です。笑いあふれるお芝居と華やかな舞踊ショーを、みなさん楽しまれていたようです。特に住田さんは楽しみ方をよく知っておられ、音楽に合わせて手拍子し、合間に合いの手を入れるなど、とても盛り上がっておられました。閉幕後には役者さんの見送りがあり、一緒に写真を撮ってもらったそうです。私個人としては、大衆演劇というものが全く初めての体験で、このような機会でもないと触れることはなかったのではないかと思います。とても楽しい体験をさせていただきました。
 その後、夕食までの自由時間でお風呂を堪能しました。露天風呂に泡風呂、サウナや炭酸風呂というものもあり、岩盤浴の設備もありました。
 夜はお待ちかねの宴会です。炊きこみご飯、茶碗蒸し、てんぷら、焼肉など豪華な食事を食べ、お酒を飲み、カラオケで歌い、これぞ宴会という感じでしょうか。楽しそうに歌っておられるのを見て、みなさん歌が好きなのだと改めて感じました。翌朝バスの中の感想では、「山口には4回来たが、今回が最高だった」という言葉もいただきました。
 2日目の昼食はホテルで食べました。この旅行2度目の炊きこみご飯と茶碗蒸しでした。その後和菓子工場を見学。ご家族へのお土産や自分のおやつとして、そこのお菓子を買いました。その場で食べることもでき、さっそくおやつタイムに入る人も。
 あまり遠くないところへ出かけ、ゆっくりと過ごし、おいしいご飯を食べ、宴会をする今回のような旅行は、今後も需要がある内容だと思います。
 今回の反省点を来年以降につなげ、よりよい旅行を目指してゆきたいと思います。



第1支援活動報告
生活支援員 明石 郁子

 利用者の生活にもっと楽しみを、利用者の細かなニーズに応えられるようにと第1支援の係が出来て、はや3年目となりました。
 利用者と一緒に、季節に合わせた行事として、そうめん流しをしたり、誕生日を喫茶店に行って祝ったり、地域の方と交流行事を行ったりと様々な活動を1年通して行っています。
 しかし、実際のところ、どのような活動を行っているのか、伝える場が無く、利用者の普段見られないような笑顔も、職員だけの楽しみとなっていました。そこで、どうにかその様子を伝える手段が無いかと考え、定期的に発行されている「あゆみ」にその活動の一部を掲載させて頂く事になりました。
 早速、この夏から秋にかけての活動を紹介させて頂きたいと思います。
 8月の23日に、愛命園近くの川に、利用者をつれて水遊びに出かけました。
酷暑厳しい中、冷たい川の水が心地よかったようで、みなさん存分に楽しまれたようでした。

 毎週定期的に行っている創作活動では、現在写真立てを製作中です。
まずは、土台となるダンボールを好きな形に切っていきます。  
その後、ダンボールに紙粘土やビーズ等を使い、飾り付けをします。
それぞれ個性豊かな作品の出来上がりです!!

 どの写真にも利用者の豊かな表情が伺えると思います。
このように1係では毎日利用者と共に、楽しみながら活動を行っています。
 今後も、その様子を伝えていけたらと思います。



砂谷中学校体験学習
生活支援員 河普@雄太

 10月5日の砂谷中体験学習では、1年生6名が愛命園に来られ、愛命園でどんな仕事をするのかという体験を行いました。ほとんどが利用者の活動体験でしたが、とても楽しそうにしておられました。
まずは、愛命園の施設を案内し、各場所の活動を説明し、実際に体験していただきました。活動は、第3支援の貝通し、陶芸、創作棟での手芸などです。中学生は、最初緊張していた様子でしたが、作業しているうちに、だんだんと楽しそうになっていました。
次に、アイマスクを付け、園外歩行を行ないました。二人一組になり、一人は付き添い介助を、もう一人はアイマスクをつけ、視覚障害があると想定して、園外を歩行しました。
 アイマスクでの歩行は、子どもたちは、「難しい。怖い」など言っていましたが、周りの状況、足元の障害物などを相手にしっかり伝えながら、歩行していました。
 中学生から届いた、今回の体験学習を通しての感想文を一つ紹介します。
「一番心に残っていることは、アイマスク体験です。今回は全然知らない道を歩いたので、少しの段差や車の走る音など普段なんでもないことが怖くなりました。そして、横に溝がありそうとか、何かとぶつかりそうなど、勝手な想像してしまって、すごく歩きにくかったです」
 少しの時間でしたが、子どもたちにとって、感じることの多い体験学習になったのではと思います。



チャリティーコンサート鑑賞
生活支援員 沖田 幸久

 9月26日(日)に湯来福祉会館(サンピアゆき)にて湯来町&広島市合併5周年記念メモリアル・チャリティ・コンサートが催されました。湯来町出身で現在も町内に在住のソプラノ歌手、隅川幸江さんが「我がふるさとへの賛歌」と題して歌われ、第一部はオペラのアリア等外国語の歌曲を中心に、第二部は日本語の歌曲を中心とした約2時間のコンサートでした。
 会場はコンサート場ではないので、音の反響が少なくこの種のコンサートには適さない場所なのですが、特に高音の豊かな響きと表現力はさすがで満員の観衆は引きつけられていました。利用者も数名が聞きに行き、耳に馴染みの曲では体を揺らす等楽しんでおられる様子でした。最後は全員で童謡「ふるさと」と合唱しコンサートが終了しました。5年前の合併の際に尽力された方々が来賓として招待されており、合併記念のメモリアルコンサートにふさわしい内容でした。
 チャリティなので入場料は無料での開催でしたが、各団体より協賛金が集まったとのことで収益金の一部を当園に寄付をしていただきました。ありがとうございました。



〜木漏れ日〜リレー随想
非常勤生活支援員 砂本 道江

 3月17日より、新しい創作活動棟で活動する利用者さんが、7〜8名と決まりました。
 4月は足を「捻挫」し、自宅で安静と言われ、愛命園に勤めるようになって初めての長い休みをとることになってしまいました。桜の蕾・満開・若葉も見られず…、長い1ヶ月と1週間でした。
ゴールデンウィーク後には、帰省から戻られた利用者さんと共に活動再開。生活班・作業棟・手芸・陶芸と揃い、賑やかな日々に戻りました。
 5月26日には、貝通しで作ったものを納品している宮本海産へ社会見学に行きました。到着後すぐに牡蠣打ち場を見学。その後、社長さんに「ここは愛命園さんの貝が置いてある場所ですよ」と案内され、利用者さんが貝通ししたものを実際に見せていただきました。様々な説明を受け、お話を聞きました。事務所前に集合し写真撮影。手厚く歓迎していただき、帰る際には、沢山のお土産までいただいてしまいました。本当にありがとうございました。
 7月下旬、その時いただいたお土産の牡蠣を利用者さんに振舞うことになりました。管理栄養士の青木さんが中心となり、地元の集会所にて実施。牡蠣はクリームシチューになり、これに5種類の焼きたてパンが付きました。料理ができるまでは、集会所のまわりの草とりです。強い日差しの中、水分補給に気を付けながらの活動でした。そうこうしているうちにテーブルには次々と料理が並び、いよいよ食事、みなさんとてもおいしそうに味わっておられました。ひと夏の思い出としてみなさんの心に残ったのではないかと思います。
 怪我の間は、利用者さんからの「足大丈夫?」「気を付けてね」などの言葉が心強く、力になりました。大変嬉しかったです。これからも、利用者さんが怪我なく、明るく、楽しんで活動できるよう、そして快く創作棟へ来てくださるように、頑張って行きたいと思います。



園まつりのご案内

日時 平成22年11月23日(火)
勤労感謝の日
     10:00〜14:30 (雨天決行)
 場所 愛命園

ご来園をお待ちしています。
【寄せられた善意】
[平成22年9月8日〜平成22年10月26日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
青原 清美     原田 秀夫
中下 サチコ    佐伯消防団水内分団
波多野 八千代   ワンツーサロン
沖田 美穂     森 洋子
谷川 隆子     株式会社 西部防災
広島市湯来町合併五周年記念
メモリアルコンサート 実行委員会


《現  物》
鮎(注・7月)   チームウイスト中国支部
乾めん他     谷川 隆子
新米       坂口クリーニング店
野菜       田中 フミコ
新米       前田 秀昭
じゃがいも    YMCAコンフォレスト湯来


《朗読奉仕》
どんぐり会      湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。



【編集後記】
 旅行が終わり、いよいよ園まつりが近づいてまいりました。昨年は、新型インフルエンザの猛威にさらされ、中止を決断せざるを得ませんでした。
 今年はそのようなことのないように、徹底した衛生管理を行っております。無事に11月23日を迎えたいものです。 (HY)