第148号   愛命園だより「あゆみ」   平成22年8月

角度を変えて
事務長 林 弘子

 残暑お見舞い申し上げます。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
今年の夏のなんと暑かったことでしょう。
 猛暑だ、酷暑だと事務所で言っておりましたら、ある日新聞のコラムに激暑という言葉が使われていました。ならば猛烈の烈を使った烈暑というのもありかなと言っていたものです。
この暑いときに、堅い話はやめましょう。
 皆さん「少女パレアナ」という本をご存知でしょうか、アメリカの女流作家 エレナ・ポーターが、1913年に出した本です。当時アメリカ中で評判になり、読んだ人達は他の人の顔を見ると「パレアナをお読みになりましたか」と言ったそうです。
 パレアナはどうしてこんなに人々の間でもてはやされたのでしょうか?
それはパレアナが、どんなことがあっても胸に抱いている希望の灯(ひ)を消さず、いきいきと暮らしているのが私達の心を打つからなのです。特に変わった事件や、ハラハラドキドキするような冒険が書かれているわけではありません。
 ごくあたりまえの、私達の身近に見られる生活が展開していくのですが、読み終わると私達は、今まで見落としていた毎日の生活の中で隠れた幸せを見つけるようになります。
この本は確か20数年前「ポリアンナ物語」というタイトルでテレビアニメになり、主人公の少女ポリアンナは、毎日「良かった探し」をして遊び、その遊びをたくさんの人達に伝えて、悲しみや苦しみに沈んでいる心に望みと喜びを注ぎ込みました。
 私がこの本に出会ったのは31年前のことです。出産のために入院し21日目に退院する時、付添家政婦さんが、赤ん坊の娘にプレゼントして下さったのが、招福出世の「大判」と、この本だったのです。鏡が無い部屋でも「私のソバカスを見なくてすむからいいわ」と言い、1枚の絵も飾ってない部屋でも「いいわ、窓からこんなすてきな絵のような風景が見られるんですもの」と言うとらえ方、すべてこのようにとらえると、私達の気持ちはずいぶん変わります。同じ一生であれば、このようなとらえ方で生きた方が何倍も何十倍も幸せです。
 特に私達福祉関係者は、まず自分自身が精神的に幸せでなければ、利用者・対象者の幸せを考えながら仕事をすることはできないのではないでしょうか。
 9月いっぱい暑いという予報ですが、皆様のご健勝をお祈りいたします。



夏まつり
生活支援員 梅田大作

 平成22年8月7日(土)に恒例の夏祭りを、開催しました。遠路福山から、前川会長をはじめ多くの法人関係者にも来園していただきました。アトラクションで、地元湯来町の凛凛太鼓の方々に勇ましい和太鼓の演奏していただき、土日にカラオケを練習している利用者を中心に歌の披露もあり、とてもにぎやかな祭りとなりました。
 今年も屋台のメニューが豊富で、美味しい酒が飲めたと利用者のみなさんも大満足でした。
全面的に屋台に協力してくださった富士産業の皆様、利用者介助にあたってくださった広島福祉専門学校の皆様、暑い中お疲れ様でした。本当にありがとうございました。



ススキ配布
生活支援員 沖田 幸久

 9月2日に恒例のススキ配布を行いました。今年は猛暑でススキの状態が心配されましたが、何とか予定数を確保することができました。配布の様子は新聞やテレビでも取り上げられたのでご存知の方もいらっしゃると思います。当日、ススキとともに配布したチラシにはこう書きました。

 『私たちは広島市の湯来町にある、障害者支援施設「愛命園」からやってきました。愛命園は視覚障害と知的障害等を併せ有する盲重複障害者と呼ばれる方60名が生活しています。
われわれの暮らす湯来町は豊かな自然がいっぱいです。少し北に位置しているので秋は一足早くやってきて、秋の風物詩であるススキも周囲にたくさんあります。そんな自然を皆様に届け、日ごろお世話になっている市民の皆様に少しでも喜んでいただきたいと始めたススキ配布も今年で36回目になりました。
毎年ススキをお渡しする時の皆様の笑顔が楽しみで、今年もこの場にやってきました。
今年の中秋の名月は9月22日だそうです。旧暦との関係で毎年違うようです。その名月にはまだ早いのですが、秋の風情を楽しんでいただければ幸いです。
 ススキに私たちの笑顔と感謝の気持ちを添えて秋をお届けします。』

 配布に行った広島県庁では大歓迎で迎えていただき、ススキを受取られた方からは何通ものお礼や励ましの手紙を頂き、感激しています。協力してくださった方々、本当にありがとうございます。



愛命園 訪問音楽会
生活支援員 高橋 義彰

 去る7月19日、愛命園ホールにてフルートとピアノの音楽会が催されました。演奏は「広島市まちづくり市民交流プラザ」に登録されている音楽ボランティアのお二人で、ピアノ奏者の千田さんとフルート奏者の金井さんです。
 音楽会といっても肩肘張った演奏ではなく「夕焼け小焼け」「みかんの花咲く丘」「赤とんぼ」等、利用者の好みに合わせて聴き慣れた曲目を中心にしっとりとした音楽を聴かせていただきました。
普段、生の演奏を聞く機会があまりないのですが、一つ一つの音に深みがあり、ホールに響くやさしい音色がとても印象的でした。
 正直なところ「もし途中で居眠りでもあったらどうしよう?」と心配をしていたのですが、約1時間の音楽会はあっという間に過ぎ、終了後には各所でその日流れたメロディーが鼻歌となって聞こえてきました。
その鼻歌が何より楽しい一時であったのだと語っていたように思います。
実は、そこには事前に「どういった曲目が良いのか」「曲順はどうだろうか」「一緒に歌ってもらうには歌い出しは何処からが良いか」等、細やかなご配慮をいただいたことが背景にあります。やさしいお心遣いに感謝いたします。
 楽しい時間をありがとうございました。



夏季に牡蠣を食ったぞ〜
生活支援員 新田 嘉弘

 カキと言えば冬の味覚として、広島を代表する全国でも有名な海の幸である。
 当園では養殖業者から委託され、創作活動の一環として工程の初期段階を利用者が担っている。この度その養殖業者に見学にでかけた際、沢山の冷凍されたカキを土産に頂いたのである。それは剥き身になった大粒のカキがスチームガキの状態でぎっしりと袋詰めされ保存されていた。
 一般的にその時期に食べると美味しく、栄養価の面でも優れているといわれるのが旬である。最近では年中出回って何時が旬か分からないものもある。カキに関してはやはり冬と相場は決まっている。しかし、最近の技術はその常識をかき消さんと、見た目にもかなり強烈に我々の食欲を刺激する。
 さてこのカキをどのように利用者に振舞うか、栄養士を中心に知恵を絞った。そこで行き着いた結論は焼きたてパンにクリームシチューの組み合わせとなった。丁度地域貢献の一環として、地元の集会所を借りることを条件に周辺の除草を行った。
 7月の下旬、その儀式は集会所を舞台に賑やかに始まった。およそカキを食べるには眩しすぎる太陽の下、鍋の中に多量のカキが投入され、そのエキスが溶け出したシチューのなんと味わい深いことか、汗をかきながら味わった一夏の経験は貴重なものとなった。
 夏季は夏輝となって我々を牡蠣のとりこにしてしまった。それから一月が経過し、例年だと涼しくなるはずのこの時期、太平洋高気圧が秋の到来を邪魔していた。その影響か、秋の味覚秋刀魚が大変な不漁と聞いている。旬が味わえないのは不幸なことである。秋には秋の、冬には冬の味わいがある。しかし、季節外れの中にあって、意外な発見もあることを今回のカキは教えてくれた。やがて季節は巡り冬本番、鍋の中でカキは書き入れ時を迎える。



〜木漏れ日〜リレー随想
非常勤生活支援員 二川 千佐子

 手芸の利用者さんは、女性9名 男性1名と数も以前と比べて増え、にぎやかになりました。今年の4月に新しい創作棟が完成し、そこで手芸班が活動できることになり、今では集中して作ることができています。
 私は手芸の担当になって、早いもので2年が過ぎました。初めは戸惑いもありましたが、みんなで試行錯誤しながらしているといろいろな作品が出来るようになりました。1つの作品が出来上がるまでに時間がかかってしまうので、出来上がった時の利用者さんの喜びが大きいのです。
 1年を通して利用者さんの作品は、「園祭りで販売」・「ふれあいランドに作品を出展」・「愛命園のかかりつけの病院に作品を置かせてもらう」ということを目的に活動をしています。
 最近のことですが、かかりつけの病院から作品が売れたのでまたお願いしますという連絡があり、作業棟の職員も含め利用者さん全体で喜んでいます。今、その作品も含めがんばっています。
 9月11日〜12日にかけてふれあいランドが東広島のフジグランで開催されました。今回、作業棟では手芸と陶芸の作品を展示しました。手芸と陶芸で見学に行き、自分の作った作品をみて「これは私が作った」や「これは、僕が作った」などと楽しそうに話していました。
 最後に、これからも利用者・職員で力を合せながら、アイディアを出しながら、がんばっていきたいと思います。



【寄せられた善意】
[平成22年5月25日〜平成22年9月7日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
前川 昭夫     佐々木 浩二
森井旅館      藤正 坂二
佐伯区民生委員児童委員協議会
青原 清美     迫川 シズ子
宮島工業高校野球部保護者
ワンツーサロン   川端歯科 川端 康司
森 洋子      中野 富貴子
YMCAコンフォレスト湯来
湯来ふるさとプロジェクト
谷川 隆子     田中 初枝
藤井 貢      大原 佳子
渡辺 清恵     宮本 進
富士産業株式会社  和田 信昭
浅野 一男     湯来凛凛太鼓


《現  物》
JOBA(ジョーバ)沖 和彦
乾麺、ゼリー、洗剤 谷川 隆子
箸         芝 奈々江
バナナ       中村 絹子
ビール       村本 晃一
ちりめんじゃこ   大束 幸枝
チョコレート    佐々木 浩二
カラオケセット   宮本 進
梨         則末 信夫
三ツ矢サイダー   末田 弘明
ススキに添える花の提供
宮田 恵美子
          野田 江美子
          宮木 真理子
          永尾 高芳
          林 敦子


《朗読奉仕》
どんぐり会     湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


<表  彰>


青木管理栄養士が応募した『ソフト食もろきゅう』が、ニュートリー株式会社主催の『嚥下食レシピ大賞』において、「感動をありがとう賞」を受賞しました。

 愛命園では、原型・一口大カット・きざみ・超きざみ・ミキサーの形態で食事を提供しています。食材・献立によっては食べにくいものもあり、旬のきゅうりのうまみを提供したいと考え、ソフト食にしてみました。



お知らせ
 11月23日(火)に、恒例の『園まつり』を開催いたします。昨年は新型インフルエンザの流行を受けて、やむなく中止という決定をいたしましたが、今年は例年通り開催できるよう準備していきます。
 つきましては、バザー用物品の提供についてお願いいたします。あつかましいお願いで恐縮ですが、お宅や会社などに眠っている物品、農作物等がございましたら、ご提供いただけると幸いです。
お電話等でご一報いただければ、受け取りに参ります。
 誠に勝手ではございますが、中古衣類や賞味期限の切れた食品はお避けいただきますようお願いいたします。
 バザーによる収益は、愛命園の施設設備の充実に活用させていただきます。皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

電話番号  (0829)83-1111
住所 佐伯区湯来町和田1113-2



【編集後記】
 まだまだ暑い日が続いておりますがカレンダーを見ればもう9月です。ススキの採取・配布も順調に終わり、周りを見渡してみると、田んぼの稲刈りも始まっています。なかなか秋の気配を感じることはできませんが、季節は移りつつあるのでしょう。涼しくなったとたんもう冬に、という感じになるような気もしないではないですが… (HY)