第147号   愛命園だより「あゆみ」   平成22年5月

新年度を迎えて
支援課長 長峯 公明

 4月初め、レンガ通りを淡紅色に塗りつぶした桜並木もすっかり若葉に衣替え、日に日に緑を濃くしています。新年度がスタートしてひと月余り、連休を久し振りに家族と過ごした利用者も皆帰園しました。作業や生活班などの活動も再開され、いつもの賑やかな風景が戻っています。
 この4月、新任職員5名が加わり、業務委託の給食部門を別にしても職員総数が50名を超えました。生活支援員だけでも常勤19名に非常勤18名、合わせて37名になりました。利用者へのサービス向上、職員サイドで言えば過重労働の軽減につながる増員は願ってもないことです。ただ、人数が増えたことを手放しに喜ぶだけでは済まされない側面もあります。
 昔昔、「およげたいやきくん」や中島みゆきの「時代」がヒットしていた頃、開園して2年目の暮れに就職した私。当時、確か利用者は30名に満たず、職員も園長以下10数人だったと思います。現場の職員も大半は日勤、それに朝から宿直をはさんで翌日夕方までの宿直勤務のみ。朝礼にはほぼ全員が揃って、宿直の報告を聞き、その日の行事や活動の予定を確認しました。一時期、職員会議も畳の部屋で車座になって開いていたのを覚えています。そこにはお互いの顔が見える、声が聞こえる、仕事のあらましが理解できるという環境があったように思います。
 そして今。新体系施設への移行に伴う夜勤体制の導入、加齢や重度化に伴う要介護者・看護者の増加など、状況の変化に対応するため勤務形態は多様化の一途をたどっています。職員の実数は増えても交代勤務により、お互いの顔は遠のくばかり。例えば、余暇支援などを除いて基本的には日中活動がない週末も、支援員、看護師、夜勤専門員など一日当たり12名の職員が勤務についています。振替の休みが平日に分散されることからすれ違いも多くなり、小さな職場にいながら三日も四日も顔を合わせなかった、というのもあながち嘘ではありません。話したいことがあるのに会えない、回覧文書がとどこおる、迅速かつ確実な連絡手段はもっぱら職場内メール、というのが現実の姿です。
 意見や考え方の違いは話し合って解決しよう、それでも足りなければ酒でも飲んで、というのが、浅はかとはいえ昔の知恵でした。顔も見えなければ声も聞こえない、液晶ディスプレーに並んだ規格化された文字で連絡を取り合い、思いを伝え合う。アナログ世代の私には何とも違和感があり、隔世の感があります。
 仕事が増え、人が増えれば、役割の分担、専門分化、固定化は必然の流れなのかもしれません。ただし、職種や立場、雇用形態の相違はあったとしても協調・協働の精神は保たれているか。縄張り意識にとらわれ過ぎていないか。意見の違いはあっても互いに認め合っているか。やさしさを見失ってはいないか。人が増え、反比例して関係が希薄化していく空気を吸いながら、いつも自分に問いかけ、周りを見渡さなければいけないと感じています。



創作活動棟完成!
サービス管理責任者 宇田 辰彦

 平成22年3月10日、障害者自立支援基盤整備事業補助金によって、創作活動棟が完成しました。
新年度になり、新しい活動も開始されました。押し花や、タイルアート、手芸など様々な活動が始まりました。
 これまでプレハブで行っていた貝通しを、現在の作業棟に集中し、陶芸室、作業棟、創作活動棟での日中活動ができるようになりました。
今回の創作活動棟の増築では、これまであったプレハブと駐輪場部分を解体して増築を行いました。プレハブはグランドに移築して倉庫として活用、駐輪場は一部残し、残りを愛命園の納骨堂へのお参りのための休憩所にするため設置しました。
自立支援法施行以降、ケアプランなどソフト面での整備と併せ、ハード面での整備を進めることにより、利用者が安心できる生活を支援していけるよう努力をしなければと思います。
 また、今後は様々な活動を通して、地域の皆様とのつながりを作っていけるような幅広い展開をしていければと考えています。



花見
生活支援員 神村 恒彦

 愛命園の周囲の山々も新緑の季節を迎え輝いて見えます。皆様方にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
 さて、園では毎年恒例のお花見を4月6日に行いました。今年は雨が多く、また寒暖の差が大きく、報道では異常気象という言葉も耳にしますが、昨年同様好天に恵まれおおいに盛り上がりました。桜の開花も毎年少しずつ早くなっているような気がしますが、園の桜はお花見の日に合わせるかのように満開に咲いてくれます。桜の木の下で会食された利用者の方のなかには、お弁当やコップのなかに花びらが落ちたと嬉しそうに言われ、なごやかな雰囲気のうちにカラオケ大会が始まると、皆さん得意の歌を力一杯熱唱されたり踊りがでるやらで愉快に楽しく過ごされました。そしてお花見が終わる頃には、待っていたかのように風にのって散り始め、よく頑張ってくれてありがとうと感謝の気持ちがわいてきました。桜も、冬のきびしい寒さがあってこそ、綺麗な花をつけるそうです。
 私たちも辛いことをのりこえて、その先にある希望に満ちた明るい未来をめざして頑張ろうと、桜を見ながら思った今年のお花見でした。



グループ外出
生活支援員 石田 まゆみ

 2月〜3月にかけて始まったグループ外出、寒い時期での外出で雪や病気等の心配がありましたが、無事実施することができました。外出先としては買い物コースのサンリブ五日市店と廿日市市のフジグラン。入浴コースの可部の湯とゆ〜ぽっぽ。バイキングコースでのプリンスホテル、中華コースと洋風コース。以上6回に分かれて実施しました。
 今回初めての外出先として、廿日市市のフジグランでは、「お店が大きくて、いろんな品物がいっぱいあってよかった」。大衆演劇ゆ〜ぽっぽでは「お風呂に入ってご飯を食べて演劇、歌謡ショーもあって楽しかったよ」の利用者の声が聞け、皆後半の外出を満喫されたようです。利用者に楽しんでもらえ笑顔があふれる企画を考えていかなければと思います。



利用者より
生活支援員 高橋 義彰

 利用者の皆さんより普段の生活について、お話を伺いました。自分の役割である当番のこと、楽しみにしているグループ外出のこと、職員への叱咤激励?など、みなさん表情明るくイキイキとした表情で語ってくださいました。今回、その一部をご紹介いたします。


「当番は僕がやる」
 中本 良二
僕は木曜日にやる。当番を僕がやる。いつもテレビ番組を聞いているけど、僕は当番の時はサボらずにやっているんです。まぁ、僕は恥ずかしくって言えないんだなぁ。がんばらんとね。

「聞きなさい!!」
住田 健次
愛命園は悪いことないんじゃがね。ちょっとご飯が少ない。ちいと病気もあるので我慢しとるんじゃがね。園長先生は話をよう聞いてくれるよ。職員さんは言うことを聞くように。勝手な行動をしないこと。ちゃんと守ってほしい。いいですか?


「野球へ」
徳永 繁明
 今度グループ外出で野球見にマツダスタジアムへ行くよ。ご馳走食べるで。風呂へ入って野球じゃ!! 楽しみだ。


「遠足」
岡棟 健作
 天気が良くて、長い時間歩きながら職員との交流ができた。利用者同士の仲間作りができてとても楽しい一日が過ぎた。足湯にもつかり足のだるさもすっ飛んでなくなりました。とてもいい一日だった。



〜木漏れ日〜リレー随想
非常勤生活支援員 伊藤 亜紀

 ようやく春らしくなりましたね。
4月6日にお花見をしましたが、愛命園のホールにもさくらが満開。生活班のみんなで作った壁面画です。
毎年どんな壁面を作ろうか「こうかな?」と意見を出しながらつくっています。
 3月、4月の壁面は「愛命園のさくら」レンガ通りの桜です。
 5月はこいのぼり。このこいのぼりの壁面はトイレットペーパーの芯を使って出来ています。赤色のこいのぼりに近づいてみてください。うろこの部分にみんなが書いた絵があるんですよ。
 さて次に向けての壁面製作。利用者、職員一同力をあわせて頑張っていきたいとおもいます。



【寄せられた善意】
[平成22年1月24日〜平成22年5月24日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
青原 清美      株式会社ビッグラン
愛命園家族会     愛命園育成会
森 洋子       村本 幸信
湯来町農村環境改善センター
村上 芳正      谷川 隆子
前川 昭夫      一村 信子
湯来ジュニア野球クラブ
YMCAコンフォレスト湯来
付添看護共済事業愛命園支部
浅野 一男      波多野 八千代
明法寺        明法寺讃美仏教婦人会


《現  物》
みかん       池田 はやみ
りんご、飲料    有限会社田室自動車
酒類、のり、コーヒー
          中野眼科医院
生牡蛎       宮本海産
りんご、そうめん  谷川 隆子


石像をいただきました

 京都府在住の彫刻作家松崎勝美様から、石像を寄贈していただきました。八丁堀の福屋デパート画廊で5月に個展が開かれるため、来広された折に園を訪ねられたものです。その際、中国新聞から取材に来られ、翌日記事になりました。
 材質は、竜山石という約一億年前の白亜紀の火山活動によって噴出した火山灰が凝固してできたもので、学名を「流紋岩質溶結凝灰岩」というそうです。
 兵庫県で採掘され、建築資材として使われています。主な所で、姫路城の石垣土台、帝国ホテル、国会議事堂、皇居吹上御所などがあるそうです。
 この石像は玄関で小さな手を合わせ、ほほえみをたたえて皆さんを迎えています。



《朗読奉仕》
どんぐり会      湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き

<就  職>
4月1日付
生活支援員
 河普@雄太      益成 純也

非常勤生活支援員
中曽 由香里     前 佳代子

 山普@千夏


<異  動>
4月1日付
森下 静江 生活支援員助手から生活支援員へ


<退  職>  
3月31日付
生活支援員 今西 朋美

生活支援員助手 山手 瑠璃子
<表  彰>
管理栄養士   青木 ましず
  5月22日、広島県健康福祉センターにおい て、広島県栄養士会より優良栄養士として表彰されました。



お知らせ

第19回
全国ボランティアフェスティバルひろしま

期 間  2010年9月25日(土)・26日(日)
テーマ  「つながる民力 いかしあう民力」
会 場  広島国際会議場ほか
主 催  第19回全国ボランティア
フェスティバルひろしま実行委員会
     (社福)全国社会福祉協議会
     「広がれボランティアの輪」連絡会議
     (社福)広島県社会福祉協議会
     (社福)広島市社会福祉協議会
参加人数 1,500人予定
(県内1,000人、県外500人)



【編集後記】
 最近になって、ようやく暖かくなってきました。周りの水田の稲もようやく伸び始め、愛命園の中庭ではアジサイが大きく葉を広げています。
 この時期は外で何かするにはもってこい。利用者の皆さんも、外出行事であっちこっちへ出かけられております。気持ちいいのは梅雨まで、今の内に楽しみましょう。 (HY)