第144号   愛命園だより「あゆみ」   平成21年7月



この鮎は、水内川(みのちがわ)の鮎です。
7月19日に開催された「第1回 ウイストあゆマスターカップ 中国大会」に参加された方々が釣られたものです。園長が贈呈式に出席し、愛命園に頂いて帰りました。
その日のうちに調理し、鮎釜飯として利用者の夕食の膳を賑わせました。
皆様、ありがとうございました。



各係より活動報告

まずは個人懇談 〜支援1係より
生活支援員 石川 晃

 以前、日中活動は軽作業と生活班に分かれていましたが、新体系移行後はこれが、支援1係・支援2係・支援3係に変更されました。
 支援2係は生活班活動、支援3係は創作活動(軽作業)と言うふうに今までの活動内容をそのまま引き継いだのですが、支援1係はこれとは別に「今まで以上に生活の質を高めて行くべき」という新たな発想から設けられたのだと理解しています。
 私は支援1係に配置されて2年目ですが、支援活動の目的をさしあたり「創作活動(軽作業)や生活班の活動では補いきれない個別な要求(顕在・潜在)に応えて行く為の活動」というふうに捉えています。活動内容は「あんなこともしたい」「こんなこともしたい」という具体的な希望をはじめ、「何か面白いことがないかなあ・・」という期待や興味・好奇心を掘り起こしていくものなど多岐にわたると思っています。
具体的内容は係員が利用者のニーズに基づいて一緒に企画していきますが、なかなか利用者自身からの発信は稀で、それを知るため個人懇談(時にはベンチに座って、時には一緒に散歩しながら)を重ねてきました。その結果「こんな希望があるがどう叶えていくか」「あんなこともしてあげたい」「こういう取り組みをしてみたい」など係で色々具体的な提案をし、それを検討しながら内容を決定してきました。
一部の紹介ではありますが、昨年度は自分で作った弁当を持って遠足に出かけました。またカクテルを作って味わったり、川で水遊びしたり、
 仕掛けを作って魚をとったり、糸電話の実験もしたりしました。静電気のビリビリも体験しました。もちろん生活を広げて行く為の応用動作(洗濯機の操作・衣類の整理整頓・趣味の編み物・そろばんなど色々)も必要に応じて取り組んできました。
 今年度は更に全員で歩行(散歩)に出かける計画をしております。運動は勿論ですが、みんなで行動する楽しさや、地域の様子を肌で感じて欲しいと思っています。出会った人と挨拶を交わす事で親しみを覚え、より広い世界をもっと意識して欲しいと思っています。まだ数度しか出かけていませんが、機会があれば歩行に限らず色んな形で地域に出かけて行きたいと思っています。
 また新たな要求として「手洗いをキチンとさせて欲しい」との意見もありますし、「バスカードの使い方を教えて欲しい」「(同窓会や地域の活動に)もっと自由に出かけて行きたい」という希望も出ています。安全面の確保や付き添う場合の人の確保など課題も容易ではありませんが、棚ざらしにすることなく実現に向けて努力して行こうと係員一同思っています。



1日の始めは元気な声出しから〜支援2係より
生活支援員 前 和枝

 現在2係の利用者は22名です。利用者の中には様々な病気をかかえておられる方が沢山いらっしゃいます。その中で2係の活動の目的として、体力・身体機能の維持増進と日々情緒の安定をはかるため毎日のプログラムを決めて活動を行っています。
 活動内容としてはまず発声練習から・・・1日の始めは元気良く声を出していきます。その後は曜日によって、リトミック体操(音楽にあわせて体を動かしていく)器楽合奏・壁面製作・PT(理学療法士)による機能訓練・ルームランナー・手引き歩行・花や野菜の植え付け収穫や、月1度のレクリエーション等があります。利用者にとって単調な内容ですが決められた事の繰り返しにより情緒が安定し、また活動に参加しやすくなっています。
 最近では、部屋に閉じこもっていた方が活動に参加されるようになったり、少しずつではありますが自傷行為が減ってきたり良い兆しも見られます。自分の居場所・するべきこと・役割を持つことで、生活の安定があるのだと思っています。残念ながら、まだ活動に参加できていない人・情緒不安になり途中から別メニューで活動される方もいらっしゃいます。そんな22名の利用者を受け入れて、1日でも笑顔の多い日が増えるといいなと思っています。
(生活班作成 七夕)



共存できる環境作り 〜支援3係より
生活支援員 新田 嘉弘

 「できました」と完成を告げる利用者の大きな声が創作棟に響きます。自分達が針金に通した帆立貝を誇らしげに見せてくれます。一本一本の完成品が結集し、やがて瀬戸内の海に沈められ、年月を経て、冬の味覚美味しい牡蠣に成長します。我々3係のメインはこの貝通しの作業です。利用者にとって分かりやすく、しかも達成感のあるこの作業は養殖業者から委託され、年間25,000本余りの生産が可能となりました。数と同時に品質管理は不可欠であり、スタッフの厳しい目が製品に注がれます。信頼こそが財産であり、守って行かなければなりません。
 利用者にとって創作活動は生きがい対策として、長い歴史をもっています。作業種目は数々の変遷を経て今の形が存在します。日々自分達の活動が世の中のために役立っていると思える瞬間を少しでも多く感じて欲しいのです。皆さんも冬の食卓で鍋を囲み、皿に盛られたカキフライを口にされる時、利用者の頑張りを思い出し、ちょっぴりハッピーな気持ちになって下さい。それが何よりの喜びなのです。
 主役の話ばかりだと脇役が不満を漏らします。3係の活動メニューは他に手芸、陶芸、園芸が準備されています。全て芸という文字がつくだけに、身を助けるだけの技があるかと申しますといささか疑問が残ります。しかし、利用者個々が持てる力を発揮する場があり、関わりの中で生まれた作品を一つでも手にとっていただけたなら幸いです。
 最近暗いニュースが多い世の中にあって、利己主義が横行し、人々の繋がりが希薄になっている印象は拭えませんが、当園の利用者は純粋な気持ちで日々生活しております。人間としての暖かさを忘れずに、共存できる環境作りが我々スタッフの使命でもあります。そんな利用者が今日も元気に3係の扉を叩きます。



近況報告 〜医務係より
看護師 森本 文江

 医務の近況は、相変らず病気やケガとの闘いです。昼夜、休日を問いません。
 みんなが平穏でいるとホッとするのですがなかなかそうもいかず、「熱が出た」「おなかが痛い」「ケガをした」「縫合が必要だ」等々お医者様のお世話になることも度々です。さらには、入院や手術を必要とされる方も増えています。胃ろう造設、白内障の手術、胆のう炎の手術、脳梗塞をくり返し入院となる方… 既に膀胱ろうであったり、人工肛門であったりの人もおられます。
 日々の処置と定期通院は欠かせません。これに、突発的な緊急通院が入ります。お薬や治療食を必要とされる方も増えています。2,3ヶ所の病院への通院介助を4名の看護師で付添うことも、利用者の状態によっては少なくありません。
 こんな状況の中、医務のスタッフが増員されました。この4月から非常勤の看護助手が1名、6月からは常勤の看護師が1名、計2名が増えました。やさしくて頼りがいのある心強い味方です。
 新型インフルエンザも身近な地域まで迫っており、気の休まらない日々が続きます。毎月の保健委員会で出された意見をもとに、いろいろ対策を実行に移しています。感染症対策のため、玄関に新しく手洗い場も設置されました。白い洗面化粧台に大きな鏡がついて、玄関が明るく一段と清潔になりました。この明るさにあやかって、私たちも毎日を明るく乗り切っていくつもりです。
 利用者の皆様に、健康面でも安心な生活を送っていただけるよう日夜尽力しておりますので、これからもよろしくお願いします。



湯来の味 鮎釜飯 〜給食より
管理栄養士 青木ましず

 今年もギンギラの夏がやって来ました!!
暑くって食がすすまない利用者さんも、3月に導入した温冷配膳車(愛ちゃん号&命ちゃん号)のおかげで、ヒヤヒヤのそうめんをツルツルと、手作りゼリーもひんやりでぺろりです。スタート直後は「汁の蓋が取れんでぇー」「湯のみがひっくり返ったでー」とトラブルはありましたが、今では慣れていただき楽しい食事タイムです。
 華々しくスタートした療養食提供も不満食にならないように努力している日々です。
7月19日には地元湯来町の水内川で鮎釣り大会が開催され、大会の方からピチピチの鮎をたくさんいただきました。ちなみに水内川の鮎は他の川とは一味違うおいしさで有名です、釣り人の中には他県の方々もおられたそうです。骨があると難しいので愛命園特製鮎釜飯を炊き、食べていただきました。夏の味!旬の味!水内川の味!うまい^^   広島の奥座敷 湯来の味を伝えて行きたいと思っています。



グループ外出
グループ外出行事担当 徳島友明・高橋義彰

 今年も5月末から6月中旬にかけてグループ外出を実施しました。毎年3月と6月に皆さんからの希望に添って、いくつかのグループに分かれて出かけるのですが、定番はお風呂コースと買物コースです。お風呂コースは安佐北区可部にある「可部の湯」。ゆっくりお風呂につかってお昼の食事を豪華に堪能するコースです。買物コースは佐伯区五日市にある「サンリブ」で、ゆっくり欲しいものを吟味して買物を楽しむコース。この2コースは外せない人気コースです。以下、利用者のみなさんの感想を含めて各コースをご紹介します。


ビアガーデン
 お酒が大好きな利用者さんが少し早い清涼を楽しみにしてビアガーデンへと出かけました。あいにく雨のビアガーデンとなり、「雨が降ったのが残念だった」という声がありましたが、お酒の種類・つまみのメニューが沢山で色々な味わいができたと喜んでいました。

利用者 苗岡 政子さん
 「ビアガーデン楽しかったですよぉ。チューハイ飲んだんです。ラーメンやウィンナー、お寿司なんかもあって自分でとって食べるんですが、あれが好きなんです。デザートなんかもあったりして、すごく楽しかったですよ。」


可部の湯
 温泉は広々とした風呂でゆったりと浸かれ、気持ちがよかったと喜んでいました。好きな買物も沢山買うことができてよかったと利用者さんは満足そうでした。

利用者 中本 良二さん
 「外出いったよ。CDも買いました。焼きうどんも買ったんよ。えかったよ。コーヒーはブラックですから。」


野球観戦(ナイター)
 初めて新球場のマツダスタジアムへ広島VSソフトバンク戦のナイター観戦に行きました。あいにくの雨でコールドゲームになりましたが、試合は成立で広島が見事勝利しました。「カープが勝ってよかった」と利用者が楽しそうでした。

利用者 岡野 克則さん
 「野球へ行ったんよ。新しい市民球場ができたけぇね。感動したよ。広さにびっくりした。通路も整備されていて、とてもいい球場だと思いました。」


サンリブ
 馴染みのサンリブの買物は2つに分かれての外出でした。月2回の買物では買うことができないものなど購入したり、サンリブ内で食事をしたりして、楽しい外出ができたと喜んでいました。

利用者 井上 裕司さん
 「サンリブ行った。えかった。いつもと同じ。かわりなかった。サンリブでええ。えかったよ。」



〜木漏れ日〜リレー随想
生活支援員 荒木 美恵子

 生活班では、最近よく耳にする緑のカーテンに挑戦しています。正面玄関にゴーヤの苗植え、中庭にはゴーヤの種まきをし、2通りの育て方を試みました。詳しい知識もなく、朝夕の気温の低さ、水のやり過ぎなど心配することもありましたが、7月に入り正面玄関の格子ネットにゴーヤのつるが巻きつき緑のカーテンになりつつあります。
 さっそく実ったゴーヤを収穫し、厨房で献立の1品として調理してもらいその苦味を味わいました。
 利用者さんが種まきした中庭のゴーヤも苗植えしたゴーヤに負けないぞ、と言わんばかりにつるが良く伸び、黄色の花を咲かせています。立派な緑のカーテンに成長をするのがとても楽しみです。来園された際には是非、緑のカーテンで涼しさを感じてみてください。
 さてさて、野菜荒らしにやって来るおサルさん、カラスさんたちにはゴーヤの味はいかがなものでしょうか。



【寄せられた善意】
[平成21年4月24日〜平成21年7月23日]
(順不同・敬称略)
《現  金》
株式会社西部防災   湯来ジュニアバレー
付添看護共済事業愛命園支部
丸田 義行      森 洋子
青原 清美      林 弘子
四方木の会      西本 友則
藤正 坂二      福島 利通
佐々木 浩二     村上 芳正
中村 絹子      川端歯科
藤原 幹男      浅野 一男
湯来ふるさとプロジェクト
湯来ジュニア野球クラブ
YMCAコンフォレスト湯来

《現  物》
ちりめん       大嶋 宏史
太鼓    広島市視覚障害者福祉協会
雑巾等        後口 市夫
乾麺等        谷川 隆子
玉ねぎ        角前商店
カサブランカ     新庄 竹子
二重焼きの粉     森野 栄

《朗読奉仕》
どんぐり会      湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


※ 平成20年度決算報告につきましては、
愛命園ホームページに掲載しておりますので
ご覧下さい
 URL http://www.aimeien.jp

《招  待》
 株式会社ファミリーマート様より、広島県知的障害者福祉協会を通じて「サッカーJリーグ、サンフレッチェ広島ホームゲームに招待していただきました。

 有限会社三友プロジェクト様より、広島県身体障害者施設協議会を通じて「スーパーサーカス『西遊記』広島、呉公演」に招待していただきました。


人の動き
<就  職>
6月1日付
看護師 湯浅 節
 平成21年6月1日から、愛命園に勤務させて頂くことになりました、湯浅節です。就職させて頂いた日が、偶然にも愛命園の開園記念日でした。私にとって、思い出深い初出勤になりました。通勤や通院介助のために山道を運転し、マイナスイオン一杯の豊かな自然に、心癒される日々を送っています。先日、道路を5頭の猿が堂々と、ゆっくり横切ったのには少々驚かされました。指導を仰ぎながら、医務の業務に1日も早く慣れていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
 今度は是非とも、リスに会ってみたいと思っている医務の湯浅です。



【編集後記】
 今年の広島県は、春先の雨不足から一転、長い梅雨になっています。強い雨が1日中降ることもあり、そんな日は川の増水が心配です。幸いなことに愛命園では被害と呼べるようなものは出ていませんが、天気予報を見るかぎりもう少し不安定な天気が続きそうです。そんな長雨の影響か、7月に入ってからも、あまり本格的な夏という感じがしません。気温は高く暑いのですが、日差しが少ないせいでしょうか。
 5、6月の頃からすると、とても考えられないような7月になりました。 (HY)