第143号   愛命園だより「あゆみ」   平成21年4月

平成21年度のスタートにあたり
園長 藤原 幹男

障害者自立支援法が施行され3年が経過しました。ご承知のとおりこの間、色々な場面で物議を醸し出してきたところです。愛命園は若干の不安要素もありましたが早めの移行にふみきり、今年度は新法移行3年目のスタートということになります。
 先月、厚労省から障害者自立支援法施行3年後の抜本的見直しが示されました。これを受け、それぞれが様々な思いを持たれたことと推測されます。狭義な解釈ではありますが『愛命園』という一施設からの受けとめ方とすれば、従前から国に対し重複障害者福祉の充実を訴え続けてきた我々関係者にとっては、一筋の光明を見いだせたと素直に評価しているところです。しかしながら、本来の障害者自立支援法の理念である「障害が有る無しに関わらず全ての人が生まれ育った地域の中で安心して暮らせる社会の構築」の実現に向けクリアすべくハードルは、まだまだ高いものがあると感じざるをえないところであります。
 このような中、愛命園の利用者お一人おひとりにとって、たった一度きりの大切なライフステージをいかにセットしていけるのか、当然個々によりステージの内容は違って当り前です。このセッティングにはおのずと黒子役の力量≠ェ問われてきます。難題ではありますが一生懸命取り組んでいかざるを得ません。「悲壮感を表に出すタイプの黒子役」・「創造の楽しさ・愉快さを持ち味とするタイプの黒子役」等々、タイプも一様ではありません。又、得手不得手もあります。しかし、それぞれが得意分野を大いに発揮し、利用者の皆さんにとって素敵なステージをセッティングしたいものです。
 新年度のスタートにあたり、我々スタッフ一同感性豊かな黒子≠ニして成長するよう意を新たにしているところです。今後ともご指導、ご鞭撻よろしくお願い致します。



療養食華々しくスタート

管理栄養士 青木 ましず
桜のつぼみがふっくらとピンク色になった4月1日より、利用者さんの病状等に応じて疾患治療の直接手段として療養食の提供をスタートしました。
 それまでにも低蛋白食、糖尿食、減塩食は実施していましたが、利用者さんの高齢化とともに病態栄養管理が改めて必要となり、腎機能低下による腎臓食、高血糖による糖尿食、脂質代謝異常による高脂血症食を、主治医の指示のもとに開始しました。
 “ご飯の量がちょっと違うからね!”“ゼリーはいちごに替えたよ!” しっかり声かけしながら『不満食』とならないように試行錯誤。
 そしてこの煩雑な療養食の展開に、昨年6月より給食の全業務を委託しております「富士産業株式会社」様には全ての面について適切な食事提供をサポートしていただいています。
 1日3食、1年で1,095食、みなさんの楽しみの大きな部分を占めるのが食事です。健康と笑顔でおいしい愛命園のご飯を食べていただけるように今日も奮闘です。



花見

生活支援員 煖エ 義彰
今年の愛命園のお花見は4月7日に満開の桜の下で催されました。当日は、法人の前川会長・後藤事務局長にもご参加頂き、終始楽しい雰囲気で実施することができたことを嬉しく思います。以下、職員・利用者の感想です。


岡本 英二
酒、ちょろっと飲んだんで・・・。
弁当もおいしかったで。たのしかった。


井上 裕司
 カラオケの機械が中であったらよかった。弁当もとても美味しかったので、よかった。開園記念日にもとっておきの美味しいのがよいです。夏にはスイカもつけてほしいです。


実習生 植田 晃弘
穏やかな春の日、桜の花が舞い散る宴の席で、ゆっくりと思いおもいにくつろぐ利用者の方々と一緒に、私も楽しませていただきました。利用者の方々の笑顔と、職員の皆様と利用者の方々が互いに尊重しあって日々を送られている雰囲気がとても印象的でした。



花見実行委員(生活支援員) 伊藤真紀子

 昨年は雨が朝方まで降り、肌寒く園舎の中でのお花見となりましたが、今年は絶好の花見日和となり実行委員としては、嬉しく、思わず当日の準備にも一段と力が入りました。今年は桜にちょうちんを飾り、ブルーシートにござを敷きテーブルを並べ、車椅子の方にも是非、桜の下で花見弁当やお酒を楽しんでいただく為に会議用テーブルを出しました。
乾杯後には外の席に移動が始まり、中盤に入ると当初思っていたよりも多くの方が桜の下で楽しんでおられました。お弁当の中に桜の花びらがひらひらと舞い落ち、これぞ園恒例の桜の木の下のお花見という感じでした。みんなが楽しみにしていたカラオケも職員の方でプロ級の腕前を持つ方が司会をして盛り上げてくださり、皆さん満喫しておられました。利用者の方々の笑顔を見ていたら今年のお花見はお天道様のおかげで大成功だったと思いました。(私だけでしょうか? 笑”)



グループ外出

生活支援員 神村 恒彦
 約2週間遅れて始まったグループ外出。週2回の実施の週も何回かあり、慌しい外出でしたが、利用者の方は、混乱もなく楽しまれたかと思います。
時節柄どうしても外出先は屋内に限られてくるのですが、今回ボーリングを企画してみました。内容は、買物+ボーリング+食事(バイキング)です。ボーリングは全く初めての方や、何十年ぶりの方もおられ、レーンにはバンジーといってガーターにならないように両脇にヒモ状の物を付けてもらいハイスコアを期待。投げ方は各自投げやすいフォームで投球開始。思ったより(失礼)威力のあるボールでストライクが出たり、投げた瞬間、隣のレーンにごろり、また途中でボールが止まったりして、係員の方を呼ぶこともしばしばありましたが、結構職員の方が力が入り、熱いゲーム展開で終始しました。食事になると得点の事も忘れ、好物をお腹一杯食べ笑顔が見られると嬉しくなります。グループ外出が終わると年度替わりもすぐです。本当に1.2.3月はあっという間ですね。



適温給食はお任せください

管理栄養士 青木ましず
温かいご飯と汁物は温かいまま、冷たいデザートなどはひんやりとしながら食事してもらえる適温給食提供のため、年度末となる3月1日より温冷配膳車を導入しました。食品庫を大改造、トレーや食器も新しくなりました。
“みそ汁がぬくいで〜”“おでんがうまいのう”みなさん大満足。
1台36膳タイプホシザキ温冷配膳車2台にはそれぞれ施設名から『愛ちゃん号』『命ちゃん号』と名付け、毎日大活躍中です!



〜木漏れ日〜
リレー随想

生活支援員 森本 沙千子
 平成20年は、世界中に嵐が吹き荒れていました。
 我が家にも、夫に続き実父の他界と予想もしない嵐が吹き抜けていきました。
 そんな師走の中旬のこと、ある男性利用者がスタッフルームに、「さっちゃんに用事があるんじゃが…。」と、尋ねて来られました。「何の用事だろう?」と、思いながらスタッフルームを出ると、「ご主人が亡くなられたときに、お悔やみを言わにゃぁいけんかったけど、さっちゃんの気持ちを考えたらどうしても言えんかった。お父さんも亡くなって寂しいじゃろうが、頑張ってね。」とのことです。
 ほんの1分足らずのことでしたが、彼が私を訪ねてくれるまでの心のうちを考えると、どんなにか辛かっただろうなと、申し訳ない気持ちになりました。そして、人の心を思いやる優しさに心打たれ、介護にあたるうえで忘れてはいけない基本を再認識させられました。
 皆様からのお言葉に励まされ、今年は明るい年になるよう笑顔を忘れないよう心がけていきたいと思います。



【寄せられた善意】
[平成21年1月24日〜平成21年4月23日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
波多野 八千代    青原 清美
愛命園育成会     愛命園家族会
勝矢 のり子     石本 一憲
森 洋子       伊藤 亜紀
湯来農村環境改善センター
一村 信子      前川 昭夫
小迫 雅敏      谷川 隆子



《現  物》
いちご        末田 弘明
飲料等        中野眼科
乾麺・りんご・飲料  谷川 隆子
ポンかん       田室自動車
タオル等       後口 市夫



《朗読奉仕》
どんぐり会      湯来朗読サークル


※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。



人の動き

<就  職>
4月1日付

生活支援員  河口 香菜子

愛命園のみなさん、ご家族の皆様こんにちは。この4月から愛命園に就職しました河口 香菜子です。広島福祉専門学校を3月に卒業し、平成20年の3月と5月の実習で大変お世話になりました。実習で過ごしたみなさんとの毎日は楽しく、充実した日々でした。今また愛命園の職員として働けることをとても嬉しく思います。まだまだ微力な私ですが、みなさんの力になれるよう頑張ります。よろしくお願いします。


生活支援員  徳島 友明

利用者のみなさん、そのご家族のみなさん初めまして。この4月から愛命園で職員として働くことになりました徳島友明です。私はこの3月に広島福祉専門学校を卒業しました。また、去年の10月にこちらの施設へ実習に来させていただきました。そこで、職員の人たちの対応などが他の実習とは違いとても印象深かったのでこちらに就職しようと考えました。入ったばかりですが利用者の希望に添えるようがんばります。これからよろしくお願いします。


生活支援員助手  内藤 はるか

 今月の1日から勤めさせて頂くことになりました。何もかもが初めての経験で不安もたくさんありますが、利用者の方々の一生懸命な姿、明るい表情を見ると私の方が、元気をもらい日々学ばせてもらっている気がします。
私生活の方では、5歳と今年4歳になる2人の子供がいます。2人共、男の子です。まだまだ子育て真っ盛りで、慌しい毎日を送っていますが、何事にも一生懸命頑張っていきます。みなさん、よろしくお願いします。


生活支援員助手  森下 静江

私は、毎日の暮らしの中で一つでもいいからうれしかった事、良かった事をノートに書いています。今日一日を無事に過すことが出来るように念じています。
 愛命園の利用者の皆様、職員の皆様、これからの御縁をよろしくお願い致します。


生活支援員助手  西田 つや子

こんにちは、西田つや子と申します。
一生懸命頑張って早く皆さんと楽しく過ごせるようにしたいと思います。
好きなことば『思いやり』・好きなスポーツは『バレーボール』です。
よろしくお願いいたします



<退  職>
3月31日付
生活支援員助手   梶川 美砂子
林 と志子

4月30日付
生活支援員  村上 さつき


5年間を振り返って
生活支援員 村上さつき

愛命園に就職して5年が経ち、この春退職することとなりました。
5年前の春、専門学校を卒業し、社会人1年生としてスタートをきりました。
まず利用者・職員の皆さんの名前を覚えることから始まり、仕事の流れを掴むことで精一杯でした。そんな中、利用者の皆さんに元気をもらい、心が和まされていました。皆さんは思いやりがあり、自分の仕事・役割を精一杯頑張っておられ、勇気を分けて頂きました。何事もやってみなければわからないことだらけ、どのような結果が出るかはわかりません。チャレンジする皆さんの姿を見ていて、励まされました。今の私にとって結婚生活を外国で送るのに一番必要な、大事な気持ちです。
愛命園での思い出は、毎日の生活の中での出来事全てです。日々の活動の取り組み、一緒に旅行へ行ったり、各行事を共にし、研修に参加させて頂いたり、色んな体験・勉強をさせて頂き、この5年間、色んなことがあり、泣いたり、笑ったり、葛藤する日々、その中で精神面を鍛え上げられてきたと思っています!
愛命園で過ごす時間は本当に楽しくて、皆さんの笑顔に癒されていました。私にとって愛命園で過ごした日々は充実した、実り多き多き人生の糧となり、今後の生活に活かすべきことばかりが詰まっています。
自分でも思いがけない早さで愛命園の皆さんとお別れすることになり、寂しい限りです。まだまだ一緒に過ごしていたかったのですが、お別れとなります。異国の地で寂しくなった時、愛命園のことを思い出し、頑張ろうと思っています。
愛命園で働けたことは私の人生にとって大きな自信となり、“誇り”だと思っています。日本から離れてしまいますが、皆さんにエールを送り続けます。
5年間ありがとうございました。



【編集後記】
 4月は出会いと別れの季節だとよく言われます。ご多分にもれず愛命園にも出会いと別れがやってきました。
 愛命園の相談支援事業にも新しい出会いがあります。相談を受ける度、その個別のニーズに対応していく事の難しさ、満足していただけるような支援計画の作成の難しさを日々感じています。地域で生活されている方々の支援を計画していく中で、地域の居宅支援サービス事業者の方々、相談支援事業者、病院のソーシャルワーカー、PT、町内会長、警察、消防などなど…、相談者を囲むどんな輪が出来上がっていくのか、言葉は悪いかもしれませんが楽しんで輪を作っていかなければいけないのだろうと思っています。
 一件の相談を終えると、新しい「つながり」が出来上がります。その「つながり」を次の「つながり」につなげていく事が相談支援なのだと思います。
 愛命園の利用者も新しいスタッフも、4月からの新しい出会いの中で、新しい「つながり」をつなげていってもらいたいと思います。もちろん、「あゆみ」への感想など、新しい「つながり」もお待ちしています。 (U)

愛命園HP  http://www.aimeien.jp/


本誌の掲載写真については、同意を得ております。