第141号   愛命園だより「あゆみ」   平成20年10月


愛命園での4年間を振り返って

前園長 竹原 幹

平成16年3月31日、盲学校を定年退職したその日に愛命園に単身赴任しました。福祉のことも愛命園のことも何一つわからないままに4月1日に着任しました。愛命園に勤務させていただいて私にしかできないことが何かないだろうかと考えた時、二つあるように思いました。
その一つは私と利用者が互いに障害者であるだけでなく、同じ視覚に障害があることから、職員と利用者という立場を超えて理解しあえるのではないかということでした。このことは利用者の皆さんとの話の内容や雰囲気からひしひしと感じることができて、私にとって何より嬉しいことでした。
もう一つは点字による情報を提供できるのではないかということでした。利用者の皆さんが興味を持って読んでくださるものは何があるだろうかと考えて、愛命園の生活に関わるものとして、毎日の食事の献立と毎月の行事計画、大きな行事の内容を点字にすることにしました。実は点字を読める利用者はそんなに多くありません。そのため、カセットテープにも録音しました。利用者から点字の資料や録音テープがいつできるのかと催促されることが私の大きな励みでした。
愛命園でお世話になった4年あまりを振り返って見ると楽しかったこと、残念だったことなど、本当に沢山のことが思い出されます。今年の7月体調を崩して病気療養となり、年度途中の9月30日に退職することになり、多くの方々にご迷惑をおかけしましたことを本当に申し訳なく思っています。私が何とか4年余り勤めることができましたのも利用者を始め職員の方々、利用者のご家族・関係者のご協力ご支援のたまものと感謝しております。本当に有り難うございました。
これからも、愛命園が利用者の皆さんや職員の方々にとって安心して生活できる施設であり続けられることを心からお祈りしています。



想いを継承

園長 藤原 幹男

 9月30日付で退職された竹原前園長におかれましては健康上の理由ということで、ご自身大変悔しい思いをされたこととお察しいたします。
 利用者の皆さんはもとより我々職員一同、もてる力を惜しみなく発揮し、先生の想いでもあった“希望の愛の園”“幸せあふれる愛の園”そんな素敵な“我らの愛命園”づくりに向けて邁進していきたいと思っております。
 短い期間ではありましたが大変お世話になりました。そして、本当にありがとうございました。



夏まつり

生活支援員 石川 晃

8月9日に夏祭りがありました。
恒例の行事なので何事もないようなものですが、実行委員としては昨年よりもいいものにしたい。インパクトあるものにしたい、など、あれこれ考えるもので色々なアイデアが提案されました。縁日や祭りの雰囲気を醸し出すために射的や輪投げはもちろん、盆踊りも入れて夏らしい催しにしようと発想も大胆に… 可能かどうかの検討を繰り返しました。

今年のメインは何と言ってもエレキギターの生演奏でした。アマチュアバンドと聞いていたのですが世の中は広いものですね。7名の奏者のプロ並みの技術に驚かされました。40〜60歳代の多い当園の利用者(職員も)にとっては懐かしい青春時代真っ只中のベンチャーズの曲目です。賑やかな演奏の途中から堪りかねて踊りだす人もいました。


今回の行事には当法人の会長・副会長をはじめ当園の職員他、広島福祉専門学校生や富士産業・八洲管理・廿日市ベンチャーズさんなどボランティアのご協力もいただき利用者・ご家族・地域の方を含めた総勢百十数名に及ぶ行事になり、大いに盛り上がった1日でした。



第34回 ススキ採取・配布行事

生活支援員  梅田 大作

愛命園では、毎年9月の初め、町内で採取したススキを広島市内のデパート前で無料配布、いつもお世話になっている関係団体に配布するという行事を続けています。都会ではなかなか見ることができないススキをお届けし、秋の気配を感じていただこうというものです。
私は今回、この伝統ある行事を担当させていただきました。初めての事なので、戸惑い、準備不足等の不手際がありましたが、愛命園の利用者、ご家族の方々、全職員、ご近所の方々の協力を得ることができ、今年度も無事に行うことができました。

9月1日の採取時には午前中の採取のみで約5,500本採取することができました。
9月2日の配布時も、当初は雨の予報もでており心配していましたが、好天になり、利用者とご家族、福屋の店員さんのご協力もあり、約1時間半ですべて配ることができました。
 後日、ススキを受け取られた方々より心のこもった礼状をいただき、私どもも元気をもらっています。

ここ最近は利用者の重度化・高齢化が一段と進行し、利用者や職員だけでの実施には、限界を感じています。皆様方からのご援助・ご協力を仰ぎながら、今後ともこの行事を大切にしていきたいと願っています。



一泊旅行・日帰り旅行

生活支援員  伊藤 章

9月に入りススキの配布行事が終わると、利用者の皆さんは旅行に向けて胸を躍らせます。
○○に行きたい!○○に乗りたい!毎年利用者の皆さんから出てくる要望は本当にさまざまです。時代の移り変わりとともに、愛命園の旅行の形態も大きく変化してきました。
30数年前、調理員、庶務、医務を含むすべての職員と利用者の皆さん全員で、川原や海に二泊三日でキャンプに行っていたのが外泊行事のスタートでした。しかし年々利用者(職員共)の皆さんも重度化、高齢化が進み「どこかの温泉で、一泊のんびりしたいなぁー」との声が発端で、現在の一泊旅行が始まりました。そこから徐々に、さらなる遠方へ足を伸ばしてみたい!等々のニーズに応えようとした結果、観光バス、電車、船、新幹線での旅となっていったわけです。
しかし現在の旅行は、体力的なことや日帰り、もしくは一泊二日という限られた時間での実施の上、そこに旅費なども考慮すると、遠方に向かうにはどうしても上限があります。県内はもとより、近県は行きつくした感のする利用者の皆さんですので、実行委員は毎年のように頭を抱えています。

 さて、この度の旅行は9月11,12日、長崎のハウステンボスから始まりました。急ぎ足で新幹線と電車を乗り継ぎ、異国の雰囲気が漂う町並みを満喫した後は、嬉野温泉・和楽園で旅の疲れをゆっくりと癒しました。特に“お茶風呂”は利用者のみなさんに大変好評で、ティーパックで汗を流すという斬新なシステムに、チェックイン後、宴会後、一晩休んで朝食前と、お茶三昧の利用者の方も少なくなかったようです。

続く9月25,26日と、10月2,3日は二班に分けて山口県の下松健康パークに行ってきました。食、遊、憩、観、泊と一ヶ所で全てを満たすことができる、願ってもない宿泊施設です。
大衆演劇を堪能した後は種類豊富なお風呂を満喫し、二日目は星野哲郎記念館や、お菓子工場・果子乃木を見学するなど、ゆったりとした旅行になったようです。

10月6日には日帰り旅行でプリンスホテルに行きました。洋食と中華のバイキングをそれぞれに分かれて堪能し、帰路には大型スーパーサンリブで買い物を満喫しました。
10月9日、同じく日帰り旅行「清水劇場コース」では買い物後、大衆演劇という生のお芝居を満喫したようでした。

当初9月18,19日で予定していた岡山コースは台風接近の恐れがあった為、約1ヶ月先に延ばし10月16,17日に実施となりました。
池田動物園、くぼ観光農園でぶどう狩り、そして湯郷温泉・美春閣を最後にこの度の旅行行事を無事終えることができました。
ただ、行き先が限られている分、利用者のニーズに応えきれていないという実態・課題もあります。
今後も利用者の皆さん一人ひとりのニーズに少しでも応えることができるよう努めていきたいと思います。



身内のつもりになって

富士産業株式会社
岡本 留美子


 富士産業が愛命園の給食を受託して4ヶ月が過ぎようとしています。
私は病院給食での経験しかなく、初めての施設の食事に不安やとまどいを感じながらの着任でしたが、利用者の皆さまが食事をとても楽しみにしておられる姿をカウンター越しに見ることができたり、『おいしかったよ。』『今日の食事は何?』など声をかけていただいたりと、今までに経験したことのない人とのふれあい・あたたかさを知りました。
 又、スタッフ皆さまの利用者の方への対応を見ていると、自分の家族にしてあげるように接しておられ、ここは『一つの大きな家族』なのだと改めて感じました。
 食事に対しても、個人の食事形態やアレルギー対応、食器や禁止食品などさまざまな対応が求められます。私も早く覚えていかなくてはとあせるばかりでしたが、厨房スタッフの協力やカバーをしてもらい、なんとかやってまいりました。
 管理栄養士の青木さんにもいろいろとご協力していただき本当に感謝しております。
 今年の夏はとても暑く、厨房スタッフもバテていたところ、園長のはからいで、すぐにクーラーを設置していただきました。おかげさまで、室温も下がり作業が楽になりました。スタッフ一同感謝でいっぱいです。ゼリーや酢飯の冷却などでも大活躍し、皆さまへのさらに安全な食事提供ができるようになりました。
 まだまだ至らない私ですが、早く皆さまの家族の一員となり、『おいしい食事』を提供していけるようがんばります。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 富士産業の会社方針は、『喫食者の身内のつもりになったサービス』です。




 「うた」(^o^)
   「うた」《^_^》

音楽療法士 金 秀光

 水曜日、今日は愛命園での音楽療法の日である。 到着。
園に入るなり「まってたよー」と声がかかる。「きたよー」と応える。アコーディオンを置き一人一人に挨拶をし声をかける。「今日、歌やるけんね」−「うん、うん」「うた、うた」と笑顔で答える。園の皆さんと過ごせる喜びと共に、気の引き締まる一瞬である。
 昨年の9月から、月2回の音楽療法が始まった。お話をいただき、目的や内容、色々なプランを立てたが、いざ始めてみると、障がい、症状は人それぞれで利用者やスタッフの皆さんから学び、感じながらの開始である。
 音楽療法とは「音楽のもつ生理的、社会的働きを心身の障がいの回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて意図的、計画的に活用して行われる治療法」である。
 したがって、ただ音楽や歌の時間だけではない。園においては、コミュニケーションを中心に自己尊厳の回復、情緒の安定等を目的とし、共に歌い、語り、そして笑い、楽しく快適な場を心がけている。
 歌われる方の声は明るく元気である。横になったり、編み物をしたり、雰囲気を楽しんだり、人それぞれであるが時間を共に過す事を大切にしている。
 先日、いつものように移動しながら歌いかけていると、今までまったく歌われなかったA君がきき耳をたてていた。そのうち楽器を触り、私を触り、そして小さな声で歌いだした。歌う姿も声を聞くのも初めてで、とてもうれしかった。
 セッションは、歌と、今の社会を共に生きる者としてニュース、季節をはじめ、身近な話題を会話しながら進めている。私の言葉が全部理解できているとは思わないが、会話が一方的にならないよう、できるだけ話をしてもらえるよう心がけている。その為には、お互いの信頼関係を深める必要がある。最近は声や足音で先に声をかけてもらえるようになった。
 園での音楽療法は、利用者の移動や歌の促し、話しかけ、手拍子… 等、スタッフと一緒に行っている。また私の質問はもとより、利用者の細かいアドバイスをいただけ、より対応できるようになった。
 利用者やスタッフの皆さんに教えられながら、これからも目的にそったより内容のある音楽療法を心がけていきたい。



指定相談支援事業所愛命園 オープン

相談支援専門員 宇田 辰彦

 平成20年10月1日付で、広島市より指定を受け、指定相談支援事業所愛命園がオープンしました。愛命園は、これまでにもいろいろな方から相談やお問い合わせをいただいておりました。障害者支援施設として、お応えできることにはできる限りお応えをしてきましたが、地域に密着した情報の提供、機動性など、十分に対応しきれていない現状がありました。

 指定相談支援事業は、障害者自立支援法第5条17項で以下のとおり規定されています。
障害福祉サービスの支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者(以下「支給決定障害者等」という。)が障害福祉サービスを適切に利用することができるよう、当該支給決定障害者等の依頼を受けて、当該支給決定に係る障害者等の心身の状況、その置かれている環境、障害福祉サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案し、利用する障害福祉サービスの種類及び内容、これとともに、当該サービス利用計画に基づく障害福祉サービスの提供が確保されるよう、指定障害福祉サービス事業者等その他の者との連絡調整その他の便宜を供与すること。

具体的にまとめると、以下の4点となります。

(1)利用者についてのアセスメント(=利用者の有する能力や環境などの評価をし、利用者の希望する生活ができるよう支援するための課題の把握)に基づく「サービス利用計画の作成」
(2)モニタリング(=利用計画の実施状況の把握及び利用者についての継続的な評価)の実施
(3)利用者負担額の上限管理(上限管理対象者のみ)
(4)(1)〜(3)に伴う、サービス提供事業者や関係機関との連絡調整

 今回、愛命園が指定相談支援事業者として事業を展開し、これまで培ってきた、視覚障害者への支援の他、知的障害者や精神障害者への支援も行っていきたいと思います。
 在宅で生活をされている方、いろいろな悩みをお持ちの方、ちょっと困ったことなど、いろいろなことに対応していければ、と考えています。
お困りのことがあれば愛命園にまずはお電話を…!



お知らせ

今年も恒例の『園まつり』を開催いたします。
ご多忙のこととは存じますが、多数ご来園下さいますようご案内申し上げます。
日時 平成20年11月22日(土)
   (今年は、22日の開催です)
   10時〜14時半(雨天決行)
催し物 ・バザー   ・利用者作品展示
・模擬店(うどん・おでん等)
・アトラクション
   (和太鼓・ジャズダンス等)



人の動き
《退  職》
  9月30日付
    園長    竹原 幹

 《異  動》
  10月1日付
    藤原 幹男  副園長から園長へ

寄せられた善意
平成20年7月24日〜
平成20年10月23日
(順不同・敬称略)
《現  金》
西本 友則     丸田 義行
湯来ジュニアバレークラブ
湯来ジュニア野球クラブ
安村 知子     青原 清美
前川 昭夫     藤井 貢
宮本 進      永尾 博雄
吉見 斉      森井旅館
和田 幸利     原田 秀夫
YMCAコンフォレスト湯来
田中 初枝     宮木 文子
れんげ・さくら・そよ風子供会
谷川 隆子     竹原 幹

《現  物》
ビール        村本 幸信
きゅうり       寺尾 静夫
素麺・コーヒー他    中野眼科医院
かぼちゃ        山本 倉蔵
もち米・油・乾麺   谷川 隆子
新米         坂口クリーニング店
 じゃがいも     YMCAコンフォレスト湯来

《朗読奉仕》
どんぐり会     湯来朗読サークル

※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

本誌の掲載写真については、同意を得ております。

(編集後記)
 いつまで暑い日が続くのかと思っていたら、いつの間にか寒いくらいになりました。皆さんお体にはお気をつけ下さい。 (HY)