第139号   愛命園だより「あゆみ」   平成20年4月


一 歩 前 に

サービス管理責任者 宇田 辰彦

 「京都に行きたい」「ボーリングに行きたい」「お墓参りに行きたい」「ベッドがほしい」など、利用者の個別の希望は多岐にわたります。そんなに叶えられないような希望ではないと思いませんか? そんな希望がなかなか叶えられない、叶えにくい、そんな経験が支援スタッフにはみんなあるのではないかと思います。
 昨年度、障害者自立支援法に基づく障害者支援施設(日中:生活介護、夜間:施設入所支援)に移行しました。これは単に法律が変わったので視覚障害者更生施設というものが障害者支援施設という名前に変わったというものではありません。更生する施設から支援する施設に、という変革は、それまで多くの職員が積上げ、実績を残してきた施設の存在意義を根底から見直すほどの変化でした。これまで当機関紙「あゆみ」にも多く書かれていますが、高齢化・重度化・滞留化により利用者の状況が施設開設当時とは大きく変化している中での自立支援法の施行でした。
自立支援法には、自己負担増や現在の障害程度区分が3以下の方の行き先など施行前からいろいろな問題がありましたが、支援費制度下の身体障害者更生施設という括りの中の施設であった愛命園は、人員基準も知的障害者更生施設などよりも少ない(人を増やそうにも財源の確保が難しく、人員を配置できない)ため、利用者の高齢化や重度化への対応が難しい面がありました。障害者自立支援法に基づく新体系に移行し、生活介護・施設入所になり、日中の職員数の増加、夜勤3名体制など充実した支援を行えるようにもなりました。
 個人の希望を叶えるための個別支援計画の作成は、ケース担当が利用者の状況調査(アセスメント)から課題を整理し、ケアプランの作成を行い、サービス管理責任者とケース担当、看護師・管理栄養士とでカンファレンスを行い、プランを決定し実施します。その後、報告を含めカンファレンスを行い、継続・新規プランの作成を行います。
 平成19年度は、お墓参り、還暦・古稀のお祝い、ボーリングなどの外出や、個人用ベッドの購入、食事用椅子のオーダーメイド、特別食の提供など、さまざまな対応を行いました。個別の外出では、ご家族と一緒にご馳走を食べたり、ご家族の方と一緒が難しい場合、スタッフと一緒に町に出たりといった本人が望む行事を行いますが、外出などを目標に、それまでに何をがんばるのか、ケース担当と利用者が一緒に楽しめるようなプラン作りを目指しています。
 今年度、新たなプランがケース担当から続々と出されています。「浜村淳に会いたい」「居室でお人形を作りたい」「ベッドがほしい」「クアハウス(プール)に行きたい」など、利用者一人ひとりが、希望したことは実現できるという気持を持ち、日々の生活を豊かに、気持ちが一歩前に進めるような支援を行っていきたいと思います。



お花見

生活支援員 伊藤真紀子

 毎年、愛命園では、4月になるとレンガ通りの桜を見ながらのお花見を行っています。今年は法人の前川会長にもご参加頂きました。
 前日は雨が降り当日の朝もその日に限って肌寒く、今にも雨が降り出しそうな雲行きでした。案の定、雨が降り出し残念なことに園内でのお花見となりました。生活班で作成した大きな桜を飾り、雨バージョンの会場設定となりました。新職員の方に自己紹介をしてもらい恒例のカラオケ大会へと…和やかなムードの中での時間を過ごす事ができました。
 しかし終わってみるともっと派手に飾り付けをすればよかったとか、いろいろと反省すべき点があり悔やまれます。でも利用者の方が「楽しかったよ」「お弁当が美味しかったよ」と言う声を聞くと、私自身、嬉しいやらホッとした気持ちになりました。何分にも、宴会術というかその辺のところが足りない為、より楽しいお花見、他の行事の盛り上げ方を研究しなくてはと思ったしだいです。
 最後に、来年のお花見は外で! お天道様お願いします!



利用者詩集

生活支援員 高橋 義彰

 愛命園では活動の一部で、学習会という活動を行っています。そろばんや朗読、時事ニュースなど関心ごとを、利用者のみなさんに、よりわかり易く理解して頂けるよう、噛み砕いて説明しています。そうした学習会活動のひとつとして、今回「春」をテーマに詩集・作文を考えていただきました。とても味のある文章だと思います。その一部を掲載させて頂きます。



「春から夏へ」   宮木 秀憲

 桜の咲いた 桜の木
 たのしい花見

 雪がとけて 草が生えます
すみれの花が咲きます
 菜の花が咲き チューリップも咲きます
 
 梅雨になったら雨が降ります
 田んぼで田植えをし 忙しいです

 夏にはセミの鳴き声がします
 夕立も来るようです

 畑仕事で野菜をつくり 川でめだかが泳いでる



「おべんとう」   古浦 節子

 おむすびのお弁当が食べたいです。
 ちいさなおむすびの入ったのが食べたいです。
 おむすびの小さいお弁当の中に
 たくあん二個とウィンナー
ソーセージが入ったのが
食べたいです。



「  春  」   長谷 泰江

春 花が咲く
さくらが 咲いたり
チューリップが 咲いたり
アサガオが 咲いたりします



冬場の感染症対策について
(ノロウィルス・インフルエンザ・風邪等)

看護師 椋田 千春

平成19年12月6日の保健委員会より
「感染症の流行の時期です。手洗い、うがいをしっかり行い、自己管理をしていきましょう。利用者への声かけ、実施をお願いします。
汚物処理や汚染場所の塩素を使用しての、掃除の徹底ではスタッフルームや作業棟、生活班に塩素や塩素用バケツを設置しました。利用者のマスクは医務に常備し咳の出る人には早めに着用してもらいます。
感染症と疑わしき症状(下痢、嘔吐)など異変に気づかれた際には、早めに医務室に連絡してください。受診等、早急に対応していきます。帰省を控えていますが、帰省中に外部からの感染も考えられます。家族より連絡が入った場合や帰園された時など、いつもと異なることがあった場合、看護師に連絡してください。症状に応じて対応します。利用者の衣類調整(薄着・厚着・ソックス)暖房器具(こたつなど)のスイッチON・OFFにも気をつけてあげてください。
食堂のシャボネットが切れていたら医務室に知らせてください。
職員も自主的にマスクを着用するなど自己防衛を行ってください。」
平成20年3月6日保健委員会より
“一度の下痢・嘔吐をみたらノロと思え”の考え方で即対応していく事が感染を拡大させないことへつながる。(下剤を服用している場合でも)
嘔吐・下痢を発見したら@まず口頭で各部門に連絡A適切な汚物処理Bノロウィルス感染(疑い)時の確認事項用紙に記入し医務へ提出 医務→栄養士→委託業者(食器の消毒実施)
確認事項用紙は、各部所に配置してあるので、発生時には、発見者が即、記入してください。
平成19年度はこの様な体制でノロウィルス・インフルエンザの発生はありませんでした。下痢・嘔吐に関しての報告書は12名分の提出がありました。そのうち個室対応した人4名、個別食事摂取対応した人6人、食後の食器塩素消毒対応12名分、下痢に関しては8名、そのうち下剤服用者5名、嘔吐に関しては4名でした。その日の体調不良者を職員室白板に明記し、作業・活動を休み居宅静養をすることで、体調を整えたり、人が集まる場所には出て行かないことで、感染防止対策につなげました。次年度も引き続き保健委員会を毎月行い、利用者さんの健康に注意を払っていきますのでお気づきの点がありましたら、医務室のほうへ連絡を下さい。



〜リレー随想
医務室より愛を込めて

看護師  松永 千和

 中庭からの日差しが暖かい医務室には、毎日
ひっきりなしに患者さんが来られます。
「ちょっとこの辺が痛いんじゃがみてや」「かゆいけぇ薬塗って」など、賑やか賑やか。
 現在、病気を抱えておられる利用者も多く、日々の健康管理や通院などの必要性が高くなってきています。病気が悪化すればさらに多くの医療が必要になり、私たち看護師は、医務室を飛び出し走り回らなければなりません。そして、努力も虚しく悲しい思いをすることもあります。
 だから、こんな賑やかな日常は幸せなんだな〜と思わずにはいられません。この先も、どんな試練が待ち受けているのか…(>_<)
 あぁ皆さん!どうぞこれからも、お元気で医務室にいらして下さい!!
(ちょっと表現おかしいですか(笑))



生活支援員 伊藤 章
八塚さん、いや「八っちゃん」と呼ばせて下さい。
八っちゃん その後 お変わりございませんか。
あなたのことだからもう新しい友達もできて、楽しくやっておられるのではないでしょうか。

八塚さんは生前、その愛くるしいお人柄ゆえに、「八っちゃん」と、三原養護学校時代そのままの愛称で親しまれていましたね。
愛命園での5年4ヶ月の生活はいかがだったでしょうか。

土日の日向ぼっこや、中庭で草抜きをしたことを覚えておられますか。
日差しが強いからと帽子を用意すると、頭に乗せる度にサッと地面に投げて笑わせてくれましたね。
根の強い草を抜き取ると、思わず「キャハッ」と声を出して満面の笑みで喜ぶあなたに、つられて笑ったのを昨日のことのように思い出します。
椅子に座ったまま、よくコックリ、コックリしていましたね。 
食後、いつも必ずカウンターまで下膳してくれましたね。
生活班でのボール回しでは自分の体より大きいボールを持ち上げ、みんなを驚かせてくれましたね。
ルームランナーに乗ると強引に止めようとしたり、時に上手にズルをしてみたり、
爪切りはいつも全力で抵抗したあなたでした。
炭酸ジュースを飲んだ後、「ぷっはぁっ」と必ずいい表情をするあなたは、実は酒豪でしたね。



人の動き
<退 職>
非常勤生活支援員(3月31日付)
岩田 浩子    佐村 由子
いままで本当に、ありがとうございました。
<就 職>
生活支援員助手(4月1日付)
新庄 良文      坂元 紀子
森井 康子      二川千佐子
<復 職>
副園長   藤原 幹男
病気療養中のところ4月14日より復職

【寄せられた善意】
[平成20年1月24日〜平成20年4月23日]
(順不同・敬称略)
《現  金》
原田 秀夫   波多野 八千代
YMCAコンフォレスト湯来
青原 清美   谷川 隆子
向井 重美   八塚 育子
愛命園育成会  農村環境改善センター
和田二女性会  久日市どんぐりサロン
前川 昭夫   湯来ふるさとプロジェクト
《現  物》
コーヒー等     中野眼科医院
いよかん      末田 弘明
乾麺        向井 重美
仏具セット     山本 八重
《朗読奉仕》
どんぐり会     湯来朗読サークル
※いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。



【編集後記】
 軒先のすずめの巣から、ヒナの鳴き声が聞こえてきました。春の風景ですね。 (HY)