第137号   愛命園だより「あゆみ」   平成19年10月

定まらぬ障害者福祉の行方

園長 竹原 幹
 7月の参議院選挙で野党が第一党になり、年金問題や都市と地方との格差の問題、テロ特措法などの外交問題がどうなるのだろうかと気を揉んでいたところ、9月12日の代表質問を2時間後に控えての突然の総理大臣の辞任。本当にこれから先、日本はどうなるのだろうか。これからどのようなことが起きるのだろうかと心配させられるようなことが続いています。
 障害者福祉についても、昨年の4月に施行された障害者自立支援法ですが、施行後まもなくから障害判定項目があらゆる障害を適切に判定するものになっているのだろうか、またサービスに対する1割の定率負担を障害者に課するのは負担が大き過ぎるのではないかという疑問が投げかけられています。障害者団体や障害者福祉関係者からも早期の見直しが要望されており、それを受けて現在も国会で見直しが検討されています。
 障害者にとって適切な判定に基づいた福祉が受けられることさらにサービスに対する負担が軽減されることは障害者の一人として大変ありがたいことです。しかし将来とも安定した福祉を実現するための予算をどのように確保していくのかについても大いに関心があるところです。
 平成22年度には障害者福祉の一部が介護保険との統合やむなしといわれていましたが、それも難しくなってきています。
 平成15年にそれまで長く続いていた措置制度から支援費制度に移行しましたが、支援費制度は1年で財政的な破綻を来たし、3年後障害者自立支援法が施行されました。しかし、いまだにその先行きが不透明であり、障害者自身はもちろんのこと障害者福祉に関わる関係者は一応に不安を抱えながら仕事をしたり生活しているのが現状です。
 先頃施設に対する自己評価を実施しました。その中で「施設経営の中長期計画が示されていますか」という項目がありました。国の福祉政策が安定していない中で施設の中長期計画を立てることはきわめて難しいことです。
 障害者が地域で安心して生活できる社会の構築と将来的な見通しを持って施設経営ができるような福祉の方向性を国は一日も早く示していただくことを願うばかりです。



ススキ採取・配布

生活支援員 伊藤 章
天気予報では雨マーク、前日の夜もどしゃ降りと、どうなるものかと心配していたが、朝になり園に着くころには、空に晴れ間が出てきた。
午前9時、採取は昨年に続き天上山一本で決行。
猛暑の為か山頂に向かう山道には、既に穂が開いたススキが軒並に風に揺れている。
およそ30分車を走らせ、山頂に着く。
採取に快く参加希望してくれた利用者もバディーの職員とともに、背丈よりも高いススキの草むらにズンズン刈り進んで行く。
その中でも良質なもの(太く、穂が開ききっていないもの)を厳選し刈っていくが、1時間刈ってもトラックの荷台が例年に比べると寂しい。
それでも軽トラック3台分を園に持ち帰る。
心配していた本数も4000を超えまずまずの収穫となった。
お力添えを頂いたご家族の方を始め、鶏頭やヒャクニチソウ、ホオズキ、オミナエシなど沢山の綺麗な花々を提供してくださった地域の皆々様のご好意、ご協力をいただきましたこと、誠にありがとうございました。


〜木漏れ日〜

生活支援員助手 岩田浩子
 私は生活班に勤務して2年になります。新しい職員も沢山入り、とてもにぎやかになりました。そして9月からは、音楽療法が始まりました。先生はアコーディオンの演奏をされながら、昔なつかしい歌をうたわれたり、楽しいお話をして下さったりしています。まだ3回目が終わったところですが、利用者の方達も先生が来られる日を心待ちにしています。
 少しでも利用者の方が快適に生活できるよう、これからもお手伝いできればと思っています。



一泊旅行

(1班 大阪方面)
生活支援員 高橋 義彰
今年の一泊旅行もほぼ終りが近づいてまいりました。毎年、利用者のみなさんが楽しみにしている行事でもあり、実行委員として企画にも力が入るところです。おかげさまで、事故もなく無事に実施することができ、本当にうれしく思います。しかしながら近年、旅行の計画に関して利用者を取り巻く状況は厳しくなってきています。
その理由のひとつは、やはり利用者自身の高齢化・重度化が進んでいることです。以前であれば職員1名に対し利用者2名での旅行が可能でしたが、最近ではほぼ1対1のマンツーマンでなくては実施が困難となっています。それゆえ、同伴する職員数を確保しなくてはいけませんが、当然、愛命園に残る職員も必要なため、勤務状況も非常にシビアな状況になってまいりました。
利用者の多くは東京や北海道・沖縄など、とにかく「遠くに行きたい」という希望が圧倒的に多いのですが、長距離になればなるほど日程はハードになります。それゆえ移動の際にどうしても時間がかかってしまう利用者にとっては新幹線や飛行機など出発時刻が定まっている乗り物の利用が難しくなってしまいます。今年も新幹線を利用して大阪へ出向いたグループがありますが、新幹線の停車時間内にとにかく乗り込まなくてはいけないため、非常に大変であったとの話も聞かれました。また金銭的な事情も一部利用者にとっては深刻です。自立支援法の影響もあり、金銭的な理由で制限を受けざるを得ない場面が少なくないのも事実です。利用者自身も生活への不安があってか、一泊旅行には行かないと申し出る人も多くなりました。楽しいはずの旅行に苦痛をともなったり、金銭的な理由で辞退しなくてはならないなど、そうした状況を避けるため、利用者の思いに答えながら、なんとか経費削減で実施したいと強く思うところですが、必要なところは削ることもできず、これまでのような旅行の実施方法では難しくなってきています。今後はより利用者のニーズにあった旅行が実施できるよう、旅行の形や方法を工夫・模索していくしかないのかと思います。
(2班 徳島方面)
(3班 島根方面)



はじめてのみかん狩りの旅

利用者 井上 裕司
僕たちは今まで何度も愛命園のグループ外出等で(みかん狩りに)行ったのですが、一泊旅行でみかん狩りに行くのは今回が初めてです。大崎上島というところに出向いていきました。一日目は朝礼後、園長先生の出発式をやり終えて、園のマイクロバスで出かけました。最初はアヲハタジャム工場で見学をしました。ジャム工場ではお兄さん、お姉さんたちがジャムの作り方を教えてくださいました。また夜もいつものように宴会があり、ました。泊まったホテルは清風館という宿に泊まりました。二日目は、なかはらみかん農園で、青いみかんを食べました。お土産にたくさんみかんを買って帰りました。感想として、僕は(青いみかんが好きなので)9月頃に行ったら、もっと青いみかんが食べられると思いました。寒いですから風邪などひかれませんようにお体を十分にご自愛くださいませ。
(6班 大崎上島)



夏祭りを終えて

生活支援員 荒木 美恵子・今西 朋美
以前は夏まつりといえば、愛命園グランドでの実施が定番でしたが、最近では「室内での実施が良い」との声が利用者から多く聞かれるようになり、今年もホールと食堂を利用しての夏まつりとなりました。今年は、初の試みとして金魚すくいや射的など夜店を実施しました。夜店などでの体験が少ない利用者にとっては、射的やくじびきなど、とても新鮮な刺激だったようです。普段はお腹がいっぱいになると帰室する利用者も、「夜店に行ってみようか」と終了時間まで残り、祭りを満喫してくれた様子でうれしく思います。これからも楽しい夏まつりになるよういろいろと趣向をこらした行事を企画していきたいと思います。


よろしくお願いします

事務員  林 洋輔
 8月1日の着任からまもなく3ヶ月になります。業務の内容、利用者さんの顔と名前等々、覚えなければならないことばかりの中で、3ヵ月が経ちました。その間、ススキの配布や、一泊旅行などの行事へも参加させてもらい、利用者さんひとりひとりのこと、そして愛命園の活動の内容などを、実際に体験しながら知ることができ、とても良いきっかけになったと感じています。
 まだまだ、覚えること、理解すること共に数多くありますが、一歩一歩前進し、力になれるよう頑張ってゆきますので、どうぞよろしくお願い致します。

お知らせ

今年も恒例の『園まつり』を開催いたします。ご多忙のこととは存じますが、多数ご来園下さいますようご案内申し上げます。
日時 平成19年11月23日(金) 
勤労感謝の日
10時〜14時半(雨天決行)
催し物 
・バザー  ・利用者作品展示 
・模擬店(うどん・おでん等)
・アトラクション
(和太鼓、ジャズダンス、ソーラン踊り等)

人の動き
<就 職>
事務員(8月1日付)
 林 洋輔
生活支援員助手(9月1日付)
 坂元 弘道
<退 所> 
尾崎 千代子(10月26日付け)



【寄せられた善意】
[平成19年7月26日〜平成19年10月25日]
(順不同・敬称略)

《現 金》
YMCAコンフォレスト湯来
安村 知子   向井 重美
広島佐伯地区ハッピーキッズ
青原 清美   宮本 進
中本建設(株)   中本 政登
前川 昭夫   藤井 貢
橘高 則行   永尾 博雄
吉見 斉    清水 光信
白井 禮子   森井旅館
妙安寺     丸田 義行
浅野 一男   土井 一女
妙安寺百円コンサート実行委員会
大森神楽団   クリンプロ
ワンツーサロン 西部環境
湯来ジュニア野球クラブ(少年野球)

《現  物》
りんご、そうめん他  向井 重美
そうめん2箱      浅野 一男
はがき        越智 節子
冬瓜20kg       藤本 かつ子
ごまだし        味愉喜食堂(大分
ジュースその他    中野眼科
新米         坂口クリーニング店
じゃがいも      YMCAコンフォレスト湯来

《ススキ配布》
花  中川 完治   山手 瑠璃子
   岡田 麻里子  林 敦子
   土井 一女   宮田 恵美子
   佐々木 弘子  野上 好子
   佐村 由子

《朗読奉仕》
どんぐり会
湯来朗読サークル

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。
諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

尾崎千代子さん千の風に・・・
  愛命園で約30年生活してこられた尾崎千代子さんが去る10月26日の未明に千の風になって大空に羽ばたいて行かれました。
 尾崎さんは昭和52年の12月に入所されて以来、作業活動をしたり一泊旅行など行事に参加して充実した生活をしておられましたが、持病が悪化して8年くらい前から体調を崩されて病気と闘ってこられました。何度か訪れた危機もドクターでさえも驚くほどの強靭な生命力で乗り越えてこられましたが、徐々に体力が低下して力尽きられたのでしょう。
 晩年は愛命園の看護棟で、利用者や職員の声を聞きながらの闘病生活でしたが、幸せだったのではないかと思います。
どうぞ大空から愛命園のみんなを見守っていてください。



【編集後記】
 私事ながら先日娘の運動会に行ってきました。他
のお父さんたちに負けじとカメラを構えてベスト
ショットを狙ったり、はりきって綱引きなど・・・。娘よりはしゃいだりして、親ばかだなぁ(>.<) (高橋)