第135号   愛命園だより「あゆみ」   平成19年5月

障害者支援施設愛命園の幕開け

愛命園園長 竹原 幹

 昨年の4月に障害者自立支援法が一部施行されて以来、愛命園は今年の4月から障害者自立支援法に基づく新体系の事業を実施することを目標として取り組んで参りました。10月から支援法が全面的に施行されたとはいえ、それぞれの市や町における障害程度区分の判定の基準や考え方の相違によって、日常生活の実態と異なる障害程度区分の判定がなされたり、国や市・町から施設の運営に関わる細かい基準が間際になるまで明らかにならないものがあるなど、いらいらすることも多くありました。その度ごとに行政と密接に連携をとりながらようやく4月1日に新しい事業をスタートすることができました。
 今年の4月から新体系の事業を開始する入所施設は少なく、法人本部を始め愛命園の家族会、広島市の障害福祉課のご協力があって実現できたことを感謝申し上げます。
 愛命園が実施する事業は日中の事業が生活介護夜間の事業が施設入所支援と短期入所事業です。
 新しい事業が始まったとはいえ利用者の方々の生活はほとんどこれまでと変わりません。
 4月を迎えて目標を達成することができたことへの満足感がある反面、財政的な裏付けや大幅に増大する事務量への対応、夜勤の導入による日中勤務者の減少、経過措置の方に対する支援のあり方など、山積する大きな課題を抱えてのスタートとなりましたが、とにもかくにも一歩を踏み出し
たところです。
 愛命園が新しい事業体型に移行しても、これまでと同様、利用者が安全に安心して生きがいのある生活が保証できる施設であり続けられるよう法人はもとより家族会や行政当局のご協力をいただきながら、職員も一丸となって頑張っていきたいと意欲を新たにしているところです。



『障害者自立支援法下・新体系移行、障害者支援施設としての出航』

副園長 藤原幹男

 障害者自立支援法なるものが施行されたのが平成18年4月1日。先ずは障害者福祉における国の財務事情によるサービス利用者の自己負担増から着手され、併せて障害者福祉施設体系の見直しが法施行半年後の10月1日から(5年間の経過措置あり)実施。この事は皆さん既にご承知の通りです。この間、当園も数々の説明会や勉強会なるものに出席し、また、行政関係を筆頭に各方面からの情報収集など自前で出来うる調査にと、法人関係者共々全力を注いできたところです。
 その結果、色々な面で不安はあるものの19年4月1日から移行との結論に至りました。その最大の要因は施設運営における財務面の見通しが試行の結果から、充分ではないもののある程度のメドがついたことです。この事は、今回の施設体系の見直しにより、報酬体系の内従来の施設種別による格差が廃止され、利用者の障害程度区分を柱とする考え方に、遅まきながら厚労省が答えてくれた結果と認識しているところです。これまでは同じ盲重複障害者の利用施設であっても知的障害者福祉法と身体障害者福祉法での運営による格差が生じていました。身体障害者福祉法で運営していた当園もこの矛盾の中、今日迄何とかしのいできたところです。幸い今回の見直しで、より利用者の実態に即した報酬体系により、財務的なメドによる職員増の可能性、また、そのことによる利用者に対する支援サービス向上に直結する可能性がおぼろげながら見えてきたかな? というのが率直な気持ちです。自立支援法に関しては今後も国民ひとりひとりにとってより良い法律に向けて充分な議論を重ね、軌道修正がなされることと考えられますが、障害者との共生に直面している我々施設関係者は利用者個々人にとって真の幸せ≠ニはいったい何なんだろう? との自問自答を怠ってはいけないとの意を強く抱いております。
 移行スタートからまだ一ヵ月足らず、これまでの宿直体制から夜勤体制への変更。この事による夜間の支援サービスの向上等々、具体的な動向はあるものの、新体系移行による利用者個々人の生活の変化あるいは職員サイドの問題点等々報告するには今号では早々すぎると感じております。この点については次号にてより詳細な報告をさせていただければと思っております。



グループ外出

支援員 伊藤 章

 「外出どこ行くん??」 「サンリブ?? アルカディア??」 「江波山はもう行ったで!」 「“ざうお”は良かったのぉ。」 「僕ね、サンリク(サンリブ)でカツカレー食べるんよ!!」
 1月中旬、グループ外出を今回初めて企画担当する私のもとへ連日のように代わる代わる利用者が押し寄せていました。隔週で行く買い物とは違い、普段買うことができない商品を買うことが出来、気分によって好きな食事が摂れるなど利用者にとって、とても楽しみな行事の一つです。
 『う〜ん…(´〜`)何処にしようかねぇ…』 利用者はもとより職員が熟知している恒例の場所は残すとして、どこか新しい場所はないかと頭を抱えていました。
 これまでの傾向として、買い物コースか温泉施設コースという2つの主流がありましたが、どちらかで選択しなければならないというデメリットがありました。
 そこで今回、両方を兼ね備えた場所をと探したところ、国道191号線と54号線が交わる可部の中心に位置する“可べの湯”を発掘しました。
 建物はまだ2年未満と新設で可べの湯を中心に飲食店が並び、スーパーマーケット等が隣接しているなど、買い物、食事、入浴等、利用者の大よそのニーズに応えるこができる、願ってもない環境でした。
 早速利用者に情報提供したところ、半数以上の方から行ってみたいという希望を受けました。それでも近場で行き慣れた場所の方がいいと、恒例のサンリブを希望される方も少なくなく、可べの湯、サンリブ、コムズと3箇所、6班に分かれての実施となりました。
 可べの湯は何と言ってもメインとなる浴室がとても重厚な造りで、なおかつ開放的な造りになっていて普段あまり長湯をされない利用者もゆっくりと体を温めていました。
 帰ってきた利用者から「よかったよ〜!!」と多くの賛同を頂くなど、次回外出の選択肢の一つに有力候補として加わりそうな場所でした。

サンリブ班は前回よりも滞在時間を長く取り、買い物と食事を満喫した様子でした。

コムズ班は利用者2名ながら園と違った雰囲気の中で摂る食事に、自然と出る笑顔がとても印象的でした。



花見

支援員 森本 沙千子・高橋 義彰

 今年は暖かい日が続いたため、花見の予定日には、すべて桜が散ってしまうのではないかと心配しましたが、今年も4月6日に満開の桜の下で、花見を行うことができました。愛命園レンガ通りの桜の下にゴザを敷き、和気藹々とお弁当を食べたり、歌をうたったり・・・。当日は少し肌寒い感じはありましたが、それでもたくさんの人が、外に出てくださり、花見気分を満喫しながら、のんびりと楽しい時間を過ごすことができました。   
 少し気になったのは、最近はアルコールを飲まれる利用者が少なくなったように思います。以前は「もうやめておこうね」と抑えてもらうのに、それはもう一苦労という方も多くおられましたが、今は個人個人で「もうこれぐらいでええよ」と自制しておられるようになっています。年齢的なこともあるのかもしれませんが、皆さんのほどほどの量で、穏やかに花見を楽しむ姿にほっとしながら、私たちも一緒に楽しむことができました。



職員新コーナー(名前は考え中…)

支援員 藤井さつき

 新コーナーでは全職員に呼びかけ、たくさんの方からお声を頂き、記載したいと思っています。トップバッターとして記載させて頂きます。では、今の心境を・・・。
 新体制開始から、新任職員を迎え入れ、退任職員を送り出し、桜の花咲く下での花見を終え、あっという間に1ヵ月が過ぎました。新体制になり、居室担当、業務内容に変更があり、正直、覚えることばかりで頭の中は常にパンク状態。眼が回りそうです。回ってるかな? 職員だけでなく、利用者の方も同じ状況にあると思います。落ち着くのはいつになることやら・・・。
 新体制で歩み出したばかりですが、今後も利用者の笑顔を励みに、より良い支援・サービスを提供していけるようにしたいと思っています。宜しくお願いいたします。



人の動き
<退職>
谷川 和江  小野 睦
いままで大変、お世話になりました。

<退所> 4月22日付け
田中 明美さん

<就職>
生活支援員
伊藤 真紀子,沖田 美穂,神村 恒彦

生活支援員助手
梶川 美砂子,小山 みどり,谷口 亜紀

専門員
岡田 麻里子,山手 瑠璃子,森井 弥生



【寄せられた善意】
[平成19年1月26日〜平成19年5月25日]
(順不同・敬称略)

《現 金》
木村 博    向井 重美
波多野八千代  青原 清美
西本 友則   石本 憲正
愛命園育成会  ワンツーサロン
久日市女性会  新庄よし子
愛命園家族会  谷川 和江
村本 実盛   丸田 義行
森本 辰登   
YMCAコンフォレスト湯来
湯来ふるさとプロジェクト
付添看護共済愛命園支部
湯来西ジュニアバレー
湯来農村環境改善センター

《現 物》
かんきつ類  村上 芳正
かんきつ類  田島 定
お菓子    新庄・高山・国沢
かんきつ類  大嶋 宏史
お菓子    佐々木浩二
飲み物他   中野眼科
りんご    向井 重美
野 菜    藤本かつ子
お菓子    安井 弘民

《朗読奉仕》
どんぐり会   湯来朗読サークル
※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。



【編集後記】
 障害者自立支援法の全面施行により、事務量がものすごいことになりました。10月からなんとか自分でエクセルと請求ツールで請求事務をこなしてきましたが、もう無理(-_-、) 4月からの請求事務はハンパじゃありません。
 しかも早速4月から生活介護、29日は日曜なのに生活介護は請求するの? しないの? ってな問題から始まり、初期加算は何日分? 重度加算の対象になるの? 受給者証の記載が間違ってる!! 帰省したら、外泊単位のほうが施設入所単位より大きいですけど… 等など、この制度の摩訶不思議な状況が見え隠れ…。この後記を読まれてニヤリとされた方、ご苦労様です(笑) (U)