第134号   愛命園だより「あゆみ」   平成19年1月

新年のご挨拶

社会福祉法人広島県視覚障害者団体連合会
会 長 前 川 昭 夫

 皆様、新年あけましておめでとうございます。
今年は世界的に観測史上最も温暖な年になりそう? 英国気象庁は、太平洋の海水温が上昇するエルニーニョ現象や地球温暖化の影響などで、今年の地球全体の気温が過去最高だった98年を超えそうだ、との予測を発表しましたが、今年こそ「亥」の一番に皆様の平穏と飛躍を心からお祈り申し上げます。
 師走に入って、漢字にまつわるいくつかのニュースが目に留まりました。日本漢字能力検定協会による恒例の世相を表す漢字が、今年は「命」に決まったというものであります。
悠仁親王殿下のご誕生や、いじめ自殺多発など、明暗取り交ぜて命について考えることの多かった1年でした。愛命園も、「命」を愛と園で囲まれた名のもとに、まもなく35周年の節目の年を迎えようとしています。
  原則一割の「応益負担」を導入した自立支援法が昨年4月にスタートしました。愛命園の入所者は平均月に60,000円を上回る自己負担が生じています。利用料、食費、光熱水費なども含まれます。
 「これでは障害者の自立支援の趣旨に逆行する」という障害者や家族らの悲痛な声が全国で相次ぎました。2年間の限定付きの特別対策は、こうした批判が強まったことから、「改革」の実質的な修正を余儀なくされた形であります。
 背景には、それぞれの地域で生活できる環境がないこと、企業などで障害者雇用が進んでいないという現実があります。何とか働いて自立したいと作業所に通い、障害者が得る工賃はせいぜい月に1万円程度。
重度の障害があれば、食事介助などの福祉サービスを受けなければ日常生活はできません。サービスを受ける障害者に負担を課すこと自体に無理があります。地域での自立を促すには、所得保障と連動した抜本策が必要であると思います。
 私は、当法人の理事長として、一方では施設の安定経営を目指す立場であり、他方障害当事者として障害者運動にも大きくかかわっています。
 昨年10月31日に東京で自立支援法に抗議する当事者や関係者の1万人集会がおこなわれたこともあり、世論の盛り上がりにより、与野党で激変を重く受けとめ、緩和策に着手しているようです。法の運用や、18年度補正予算と新年度予算に大幅な上積みがおこなわれようとしています。 
 こうした状況を鑑みながら、愛命園の施設体系を自立支援法で示されている体系の中から、日中と夜間の生活が連動した施設として安定するよう、検討しているところです。いずれにせよ入所者や家族の皆さんの負担もできるだけ引き下げなければなりません、また、経営面からは安定し、入所者の皆さんが安心して安全に生活できることを考えて行く必要があります。
 愛命園は平成11年度と12年度の2ヵ年事業で、施設の老朽化に伴う全面改築を、関係者のご支援により実現しております。その際、入所者の高齢化対策として、ご家族の皆さんの意向もあり、老人施設の増築という将来的計画も浮上しているところです。
 改築からすでに5年が経過し、今年はぜひとも当初の計画を引き継ぎ、愛命園そして家族会とも連携協議して、法人理事会に提案いただきたいと考えております。
 私たち、障害者の積年の悲願であった障害者の権利条約が、昨年12月13日の国連総会で全会一致で正式に採択されました。今年の3月30日から各国の署名手続きが始まり、20カ国が批准した段階で発効となります。
 わが国においてもすでに千葉県が「障害者差別禁止条例」を議会で決議しており、全国の自治体で障害者差別の撤廃に向け条例化を促進していただきたいと思います。
 いざなぎ景気だといっても庶民はどうなのかな? 初詣客は気候のせいもあったとは思いますが、各地で史上最高だった?とか報じられていますが、今年1年が皆様にとりまして、健康で健やかな年でありますよう祈念申し上げまして年頭の挨拶とさせていただきます。



新体系移行の
年頭にあたって

園長 竹原 幹

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は愛命園に対しまして多くの皆様方より多大のご協力とご支援をいただきましたことに対しまして、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。本年も変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
 昨年は障害者自立支援法に明けて、障害者自立支援法に暮れた年でした。4月に一部施行されて入所者の自己負担が増額し、障害基礎年金のみの収入に頼る施設入所者は、自己負担と必要経費を支払えばまったくゆとりのない生活を強いられるようになりました。
 一方、施設経営においても支援費が日払いとなり、外泊時の支援費は激減して施設経営に大きな負担となってきました。
 10月から全面的に施行されるのに伴って、愛命園では今年の4月から新体系への移行を目指して準備を進めています。
 愛命園が行う新しい事業は、日中活動として生活介護、夜間の事業として施設入所支援、それに短期入所事業を実施する予定です。
 新体系になって制度は変わりますが、入所者の生活はほとんど変わりません。
 障害者自立支援法が施行されて愛命園の入所者にとってプラスになったことがあるだろうかと考えてみた時、本当に何もありません。ただ自己負担が増えて生活が厳しくなっただけです。施設にとっても膨大な事務量に悲鳴を上げているのが現実です。
 これからの障害者福祉の方向として、介護保険との統合、平成24年までの施設入所者の1割減と定員の7%減少、受け皿が示されない就労移行や地域生活への移行など、どれをとっても希望の持てるようなものが見当たりません。
 とは言え、新しい年を迎えるに当たり、今年も入所者が安全で、安心して生きがいのある生活ができること、4月から新体系にスムーズに移行できることを目標に職員一同なおいっそうの努力をしていきたいと決意を新たにしているところです。



年頭所感 明と暗

愛命園家族会会長 藤正坂二

鏡 開かれれば おおかた出揃えり

 明けましておめでとうございます。旧年中のご厚情に厚く感謝申し上げます。皆様は、どんな新年をお迎えでしょうか。
  岩戸、いざなぎをしのぐ好景気。
  初詣客、1億人の大台に!
  年末年始に海外に出かけた人70万5千人!
  団塊の世代へ15兆円!(初年度)
 「自立支援法」改善策に1200億円!
(「点字毎日」より)
 などなど、「こいつは春から縁起がいいわい」とくれば、一方では目も覆いたくなるような事件の数々。かてて加えて「美しい防衛大臣」の誕生(これは明と出るか暗と出るか)。
 思い起こせば、「防衛庁」誕生の昭和29年は、おくての私はまだ高校生活を送っておりましたが、「MSA協定」、「防衛秘密保護法案」、「ビキニ実験」などなど、私にとって忘れることのできない節目の年でもありました。
 いかなる理由があろうとも、戦争は悪です。なかんずく「平和なくして福祉なし」の先達の言葉は不滅の「名言」だと常に思っております。と顔を紅潮させながら、ここまで書いたとき、タイのバンコクからは、今年は「豚」の年、豚の年は特にめでたい、との放送が流れてきました。顔の血がスーッと引いて、肩の力が抜けてきました。
 翻って私ども愛命園家族会、「今年もいいことありますように」。いいえ、あらせなければいけません。その皮切りは、年初めの家族会です。今年も利用者に目を向けて家族会を多く持ち、皆様の創意工夫をいただきながら、原点に立ち返って進みたいと考えております。どうか一層のご支援、ご協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 新春に当たり、皆様方のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。



園まつり

支援員 伊藤章

11月20日、今年もテント張り等、園まつりの準備が始まりました。例年通りの配置で建てたテントも天気予報では当日は雨マーク、降水確率も高いということで急遽雨天バージョンに設置し直すという作業に職員は追われていました。
もしもの雨を防ぐ為、作業棟や事務室の屋根に上り、テントとテントの間で隙間ができている箇所を探しブルーシートで覆い、風で煽られないようにブルーシートの端を柱にしっかりと結んでいきました。「ここまでやったんだから降ってくれんと困るなぁ」と冗談も出てくる中、着々と準備が進んでいきました。
11月23日園まつり当日、心配されていた雨もなんとか午前中は持ちこたえ、テント周りも大いに賑わいをみせていました。
「焼きそば、いかがですかー!」「焼き鳥いかがですかー!」模擬店の手伝いに入っていた入所者は終始大きな声で模擬店を活気づけてくれました。
 その他にも陶芸作品販売、飲み物販売、フランクフルト販売で売り上げUPに大きく貢献してくれました。
 アトラクションではコーロブーケYUKIさんと愛命園コーラスクラブとの美しいジョイントコンサート、振動が肌まで伝わってくる力強い湯来南高校の和太鼓、元気いっぱい華のある佐伯ジャズダンスクラブのジャズダンス、息がピッタリの原ソーラン元気組のよさこい、心安らぐ音色のささゆり会の大正琴等多くのグループの方に参加して頂き、入所者と職員はもとより来園された地域の方々を大いに楽しませて下さいました。中でも湯来南高校の和太鼓は特に好評で、ホールと玄関前の2回上演をお願いし大いにまつりを盛り上げて下さいました。
 愛命園の一大行事とも言える園まつりを無事終えることができましたのも、ご家族の方地域の方のご支援、ご協力をいただいたお陰だと心から感謝しております。また、バザー用品のご提供、アトラクションの出演、ボランティアなどご多用中にもかかわらず、多くの方にご協力を頂きましたこと関係者一同心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。



クリスマス忘年会

今西朋美・高橋義彰

愛命園では12月25日に恒例のクリスマス忘年会を行いました。例年ご参加頂いている朗読奉仕グループ「どんぐり会」の皆さんによる朗読劇をはじめ琴クラブ・コーラスクラブの発表、職員による出しものなど和気あいあいとした雰囲気でした。特に今年は職員の出しものが盛り上がり、時間が押してしまうほどに職員も張り切りました。いつもは冷静沈着なあの人が?と思う人が「サルの着ぐるみ姿」や「悪代官」など、普段は見られないまさかの姿に驚きと感動を覚えたほどです。進行役としては時間が大幅に押してしまったので、ひやひやしましたが・・・
また今年は愛命園で活動しているクラブなどの晴れ舞台として、琴クラブ・コーラスクラブの他にもいくつかの活動を紹介・披露をしました。たとえば園芸班で野菜を作り、でぃっしゅクラブで大根や白菜の漬け物を漬ける、などいくつかのクラブや班同士で協力し合い、皆さんに食べて頂くことができました。その漬け物も好評で、活動を通じてそうした評価を得たことは今後のはげみになるのだと思います。なにはともあれ、ご馳走や大勢の熱気に包まれて、仕事も忘れて楽しいひと時を過ごすことができました。



【寄せられた善意】
[平成18年10月26日〜平成19年1月25日]
(順不同・敬称略)

《現 金》
安村 知子     松本建具店
青原 清美     愛命園神楽クラブ            
愛命園家族会    建友会
向井 重美     上原 利枝
藤正 坂二     村本 幸信
愛命園家族会    芸南カントリークラブ

(園祭り)
西部環境(有)    (株)クリンプロ
浅野 一男     西本 友則
広島佐伯ライオンズクラブ
田中 初枝     伊藤 守夫
前川 昭夫     藤井  貢
田尾 秀春     佐々木浩二
中本 政登     (株)西部防災
白兼ツタ子     一村 信子
林  豊子     清水 光信
森本 辰登     巨炊 満子
水内地区民協御一同
森本 光英     美野靖三・洋子
永尾 博雄     広島県立盲学校
伊藤イチエ     西広 健治
林  燻m     清水カツミ
吉見  斉      吉見 昭夫
湯来中学校     湯来東小学校
林出ミヨ子     村上 芳正
新川 陽子     仁井山 真次
青木シズコ     新庄チドリ
白井儷准子     沖本スズ子
荒木コユキ     梶川石油商店
益田クリーニング商会   田中ウメミ
伊東  悟     中島 正子
国沢紀代子     沖野ヨリ子
福島サヨ子     新庄 竹子
白井 禮子     矢口タマ子
森井旅館      和田 幸利
吉松 江子     宮本  進
宮木 文子     平岡衣料品店
竹原万里子     湯来中学校ボランテイア
越智節子・良夫   丸田 義行
愛命園家族会

《現 物》
もち        湯来東小学校
りんご       越智 節子
みかん       石井   巌
乾麺        向井 重美
クリスマスリース  広島YMCA・広島ワイズメンズクラブ
(園まつりバザー用物品)
川崎 鉄実     松浦 晃子
越智マキ子     佐伯 京子
新矢  瞳     白井 禮子
山根 圭蔵     中川 勝子
和久野静江     林  幸子
岡本 孝子     小川 幸子
橋本 貴左     田村 泰子
麦谷郵便局・矢立  大場 竹子
榎  瑞江     古家 睦子
林  幸子     宮崎 恭子
新川 正治     中本  亘
岡田 英明     泉 サトコ
中田 美代     横山 美子
木村神経科内科クリニック 杉並台幼稚園
山手瑠璃子     益田クリーニング商会
藤本カツ子     大島 直子
湯来東小学校    上垣 邦子
萬所 良子     中本 茂子
清水 利則     坂下 栄子
宮本 妙子     大野 政道
中神  誠     角前 正明
小田タケ子     湯来東小PTA
野坂 安一     広島福祉専門学校
長尾 美香     平木 幸恵
御堂 輝明     井家上洋子
清水 義清     今津 光春
清政 幸子     ブルーネ
広島市視覚障害者福祉協会
上原 利枝     大畠 正清
白井 勝子     矢口 昌子
宮田恵美子     沖本スズ子
小田  淳     下前美佐江
谷本 芳子     伊籐智恵子
福島サヨ子     白井 一良
湯来西小学校    芝 奈々江
白井儷准子     山根 幸美
坂口 月子     沖本 春三
吉崎 哲真     竹原万里子
平岡衣料品店    畠山 安江
イワキ(株)      梶川石油商店
八洲管理(株)     ムカイ理容院
リスロン(株)広島支店
大旗連合建築設計(株)
花王販売(株)中四国支社
坂口クリーニング店
広島県北部ヤクルト販売(株)
広島市農協水内支店
清水建設(株)広島支店・営業部
清水建設(株)広島支店・建築部
中国電気保安協会  蔵田ファイリング
ネスレベンデング(株)西日本支社広島営業所
ミヤモト緑化産業  中野眼科医院
ネピアテンダー(株)  日本基準寝具
前川 昭夫     永尾 博雄
塩田 令子     山口 孝雄
末田 弘明      岡本 悦子
永田 正友     大島 幸子
村本 幸信     古瀬 和枝
住田 健治     亀井 里之
越智 英一     藤正 坂二
則末 伸夫     山下 冨美子
徳永 保      桑原 芳人
白兼ツタ子     平田 邦子
中下サチコ     池田はやみ
浅野 一男     宮本  進
大嶋 宏史     宮木 文子
野上 好子     伊藤真紀子
椋田 千春     前  和枝
森本沙千子     佐村 由子
新庄よし子     今西 朋美
石田まゆみ     岩田 浩子
谷川 和江     長峯 公明
荒木美恵子     佐々木浩二
山本 八重     沖田 幸久
松永 千和     清水都美子
竹原  幹     青木ましず
林  弘子     森本 文江
山下 和義     伊藤  章

《朗読奉仕》
どんぐり会   湯来朗読サークル

※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。

《門松作成:生活支援員 新田嘉弘》
 毎年、立派な門松をありがとうございます。



【編集後記】
今年は基本的に暖かく、まだ大量に積った雪を目にしていません。去年は魚切りダムの第一トンネルを抜けた辺りから“ガラリ”と風景が変わり運転する速度も60キロから10キロに減速し、後ろの車にドンドン抜かれ、このまま、ちゃんと愛命園に辿り着くのだろうかと半分泣きながら、通勤していたことを思い出します。(´д`)
今年も遅かれ早かれ雪道通勤確実なので、後ろから何台車に抜かれようが安全運転で通勤したいと思います。 (O&F)