第130号   愛命園だより「あゆみ」   平成18年1月

2006年の年頭に当たって

社会福祉法人 広島県視覚障害者団体連合会
会 長  前川 昭夫

新年あけましておめでとうございます。
 2006年は戌年です。「ここ掘れワンワン」と皆様の1年が平穏ですばらしい1年となるよう導いてくれる事を心から期待いたしております。
 昨年は、世情も自然も激動の1年だったと思います。とりわけ12月の大雪は、気象台が昭和21年に統計を取るようになって記録を塗り替えたとの事です。
 どちらかといえば雪に慣れている湯来町の皆さんも、昨年来の大雪にはいささか驚いているのではないかと思いますが、くれぐれも気をつけて春到来まで頑張ってください。
 愛命園にとっても昨年のトップニュースは、水内川の決壊による入所者の緊急避難と、ヘドロによる汚染であり、周辺道路も寸断され、通勤にも苦労があったと聞いております。また 入所者の皆さんもこの水害はとても不安で驚かれたことと思いますが、大きな事故やけがもなかった事に安堵し、あらためて関係者の皆様に心から敬意を表し、厚くお礼申し上げたいと存じます。
 昨年10月31日に障害者自立支援法が、小泉劇場の舞台に後押しされ成立いたしました。
 この法は、支援費の財政破綻と介護保険への統合を視野に入れている法律だともいわれていますが、中身は過去に例をみない大改革であり、その中身について論ずるには、政省令が出そろうことが必要ですが、十分勉強し判断をあやまらないように今後の方針を決定していく必要があると考えています。
 ここでは、障害者自立支援法について深くはふれませんが、愛命園にとっては大きくかかわる事となりますので、私見を述べ皆様のご意見をいただきたいと思っています。
 これまで愛命園は、入所者の重度化と高齢化が進むなかで、療護施設への転用を要望し、支援費の施行に伴い、身体障害者更生施設の基準でサービスの提供が行われています。
 障害者自立支援法では、障害者施策が3障害(身体、知的、精神)一元化され、施設形態も6種に再編される。また入所者は定率負担、食費や光熱水費などの負担が必要となります。また、在宅もそうですが、施設サービスを利用される方の障害認定基準も改められ、障害程度は6段階となり、ランクによって受けられるサービスも異なるのです。
 障害の認定にあたっては、106調査項目と医師の意見書などを基に市町村に設けられる審査機関が決定する事となっています。調査項目が視覚障害者に配慮されていないとの意見も多く聞かれますが、シュミレーションでは問題なしと報じられています。十分関心をもって見守っていく必要があります。
 施設事業体系の見直しについて、愛命園は、30年を上回る実績と、重度化と高齢化が更に進行しています。このような現状に鑑み、入所者の大半は常時介護が必要であり、障害程度区分でみても、要介護度で見ても重度のランクに位置づけられると思います。生活介護支援事業としてサービス提供ができれば、現状を維持することが可能ではないでしょうか?
 いずれにしても入所者の皆さんが安全で安心して生活できる施設が今後とも、継続できますよう関係者のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。
 昨年4月に湯来町が広島市に合併したことにより、社会福祉法人広島県視覚障害者福祉協会の所轄が広島市に移行しました。しかし、当法人は広島県内の各市町に多くの会員を持つ法人であり、2種事業も県立点字図書館の指定管理者として、また、福山市視覚障害者福祉協会を中心に生活訓練事業を自主的に幅広く実施しております。その事から行政のご理解を賜り、法人名を「社会福祉法人広島県視覚障害者団体連合会」と改め、県内各地の会員が団結して、視覚障害者福祉の進展を目ざして、新たな気持ちで新しい年を迎えました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 年明けの新聞やテレビによると福袋が飛ぶように売れ、企業は多くの人を採用するといわれています。連合は春闘で数年ぶりに賃上げを求める、景気も回復している、などなどが報じられていますが、庶民が実感として感じられるのはいつでしょうか? いずれにせよ、今年も皆様にとって最良の年でありますよう、心からお祈りいたしまして年頭の挨拶とさせていただきます。



新年(戌年)雑感

愛命園家族会会長 藤正 坂二

  年男 雑煮四つに 屠蘇機嫌
       四人家族で ゴロも幸せ(四合わせ)

 明けましておめでとうございます。今年も旧に倍してご指導・ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
 元日の朝、無線放送による町長の年頭の挨拶を聞いておりました。その中に、「戦後元年が戌年だった。あれから還暦を迎える今年云々」の話がありました(因みに私は、その上の戌)。975万人の戌年生まれは、その数十二支の最低。総人口の7.6パーセントだとか。犬の話題には事欠きませんが、その今年は景気も上向き、デフレから脱却、株価上昇で「ホクホク」と暗示か誘導か知りませんが、縁起のいい年明けのようですね。はたして、そうなるのでしょうか。
 翻って、私どもの愛命園に目を向けますと、皆さん、ちょっと注目してください。でないと、大変なことになるかもしれませんよ。例えば、「障害者自立支援法」のスタートに伴う波及、変革。介護給付費が日払いになる。支援費外サービスの自己負担。年金と預貯金。利用者の皆さんが一番、楽しみにしていると聞く一泊旅行はどうなる? ターミナルケア、などなど。
 懇談会に万止むを得ず来られなかった方も多数おられましたが、動いております。今年は懇談会や総会以外にも何度か家族会を持つことになるかも知れません。衣、食、住については、ひとまず安心。「忙しいから、まあ来月」ではなく、平均年齢54歳、一生懸命、利用者の皆さんの明日へ、一緒に力を合わせて歩もうではありませんか。よろしくご支援・ご協力のほど、お願い申し上げます。

  初雪が 根雪床雪 荒れた酉
         あの寒波 温い戌年への試練

 皆さん、元気に参りましょう。ご健康をお祈り申し上げます。



障害者自立試練法の開幕

園長 竹原 幹

新年明けましておめでとうございます。
 昨年は愛命園にとっても水害や年末の大雪と改めて自然の驚異を感じる1年でしたが、多くの方々のご支援とご協力をいただいて新しい年を迎えることができますことを感謝するとともに何よりの喜びでございます。
 さて、平成15年にスタートした支援費制度がわずか3年で崩壊して、いよいよ今年の4月から障害者自立支援法が段階的に施行されることになりました。
 自立支援法の柱は身体・知的・精神の障害福祉の一元化、応益負担の導入、障害者の就労を促進して施設から地域での生活への移行を進めると言うものです。
 この障害者自立支援法には多くの課題があるように思います。そのいくつかをあげてみたいと思います。
1. 先行した自己負担の増額
新しい法律を施行する場合は全体像を明らかにして納得の上で施行されるべきものであると思います。なぜ自己負担だけが先行実施されなければならないのでしょうか。
2. 障害者の生活権は保障されるのか
健常者であれば食事や排泄・入浴など基本的な生活をするのに何の負担もありません。しかし、障害者はこのような基本的な生活についても支援を受けるという精神的な負担があります。それに加えて定率負担という金銭的な負担をも強いられることになっています。これで障害者の生活権が保障されるといえるのでしょうか。
3. 障害者はどこへ行けば良いのか
支援費制度では施設に入所している障害者に対して月払いの支援費が支給されていますが、障害者自立支援法では日払いとなり、入院など外泊した場合は数日間だけ何らかの費用が支給されることになっています。外泊が数日を超えると一切費用が支給されないため施設での籍の確保ができなくなってしまいます。
障害者は障害があるがゆえに体調を崩すことも多く、入院を余儀なくされることも多いのが現状です。疾患は治癒しても帰るべき施設には既に籍がなくなっていれば、障害者はどこに行けば良いのでしょうか。
4. 地域の受け皿の欠除
障害者の就労を促進して施設から地域での生活に移行が図られようとしていますが、労働環境を見てもまた地域社会における障害者の受入状況を見ても、重度の障害者が地域で生活できる状況にはとてもありません。
 まだ細かくあげれば不安は数え切れません。このようなことを思う時、今年は障害者にとって自立支援の幕開けではなく、「自立試練」の幕開けの年になるように思えてなりません。



園まつり

毎年恒例、平成17年度園祭りが11月23日(勤労感謝の日)に開催されました。
 今年の園祭りではアトラクション会場に愛命園オリジナルの立派なステージを設け、尺八(竹灯:関口さん)、太鼓(湯来南高校)、よさこい(原ソーラン元気組)を上演していただきました。また愛命園コーラスクラブ、神楽クラブも出演しました。ステージ効果もあったようで、より一層盛り上がりをみせたアトラクションだったと思います。お越し頂いたゲストの方々だけでなく、我が園のクラブに所属している皆さん一人ひとりが日頃の練習成果を十分に発揮できた最高のステージでした。また、今回の模擬店においては、毎日の食事提供を委託している日清医療食品からも事前準備、当日の仕込み、販売を含め、数々のお力添えを頂きました。バザー物品・野菜提供者、ボランティア、地域の方々の御協力のもと、各会場共に盛り上がりをみせ、来園された方々、園の皆さん、それぞれ時間を忘れ、楽しいひと時を過ごすことが出来たと思います。皆様の善意、本当にありがとうございました。



クリスマス忘年会

12月23日に恒例のクリスマス忘年会を行いました。積雪の影響で何人かの方が来られないハプニングがありましたが、琴クラブとコーラスクラブの発表や町内在住のフルート奏者梶川さんの演奏、また朗読奉仕グループ「どんぐり会」の皆さんによる朗読劇など、楽しく盛り沢山の内容でした。ご馳走や大勢の熱気に包まれ、外の寒さを忘れて楽しいひと時を過ごすことができました。年末で何かとお忙しい中、ご来園いただいた皆様、どうもありがとうございました。



【寄せられた善意】
[平成17年10月26日〜平成18年1月25日]
(順不同敬称略)

【現 金】
安村 知子   湯来東小学校
中曽 修     青原 清美
ゆき葬祭     吉松 江子
上原 利枝   伊達 光子
橘焉@則行   森本 文江
向井 重美   村本 幸信
藤正 坂二   芸南カントリークラブ

【園まつり祝儀】
西部環境(株)     愛命園家族会
(株)クリンプロ     湯来中学校・宇根 正一
西本 友則      越智 良夫・節子
佐々木 浩二    上野 俊雄
湯来東小学校    田尾 秀春
伊藤 守夫      前川 昭夫
藤谷 チセコ     白井 勝行
中本建設(株)    (株)西部防災
白兼 ツタ子     丸田 義行
広島県盲学校    北本 望
橘高 則行      美野 靖三
伊藤 イチエ     矢口 タマ子
清水 一幸      伊東 みこと
吉見 昭夫      林 高士
梶川 典之      森本 辰登
水内地区民生委員児童委員
林 豊子       一村 信子
巨炊 満子      清水 カツミ
田村 ハヤミ     青木 シズ子
沖本 スズ子    荒木 コユキ
新庄 チドリ     益田クリーニング商会
国沢 紀代子    広瀬 茂登子
森本 光央      佐々木 博巳
田中 正樹      沖野 ヨリ子
佐々木 弘子    伊東 悟
福島 サヨ子     白井 禮子
和田 幸利
広島佐伯ライオンズクラブ
湯来中ボランティアクラブ
※なお諸般の事情で掲載を控えさせていただいた方もあります。

【現 物】
竹原 幹       ステージ一式
谷口 亜紀      シクラメン
越智 節子      官製はがき
佐々木 浩二    チョコ菓子
末田 弘明      ジャガイモ、柿、バナナ
中曽 修       白菜
広島YMCA・広島ワイズメンズクラブ
             クリスマスリース
坂口クリーニング  切り餅

【園まつりバザー物品用】
御堂 輝明      向井 重美
藤谷 チセコ     福島 サヨ子
泉 義隆        上垣 邦子
上原 利枝      沖野 ヨリ子
伊東 三喜枝     岡田 麻里子
藤本 カツコ      岡本 廣子
白井 儷准子     新田 悦子
森本 辰登      砂田 尊務
中野眼科       湯来東小学校
越智 マキ子     政岡薬局
伊東 照子      伊東やよえ
湯ノ山・にんじん   みのち学荘
トヨタL&F・小原 義徳・沖村 和美
       三宅 里恵・清水 美帆
井家上 洋子     向井 八月
水内郵便局      村田 ミヤ子
木村神経科内科クリニック
榎 瑞恵        和久野 静江
河合 昌子       岡本 孝子
西 耕三        湯来中学校
沖本 スズ子     ブルーネ
洲本 美夏       林 幸子
清水 カツミ      杉並台幼稚園
角前 正明       広島福祉専門学校 
中井 泰江       湯来南公民館・寺尾  
大野 いずみ     村上 あつ子
松井 洋美      上土井 悦子
石井 邦子      広銀加計支店
白井 一良      坂下 えいこ
大旗連合建築設計(株)・日垣 秀彦
清水 光信      国本 久子
大久保清司      新庄 竹子
下前 政幸      竹田 孝幸
木山 孝子      古本 悟
中本  亘       田村 泰子
大場 竹子      木下百合枝
洲本 美夏      小川 幸子
小川 節子      (株)ムラカミ
杉田  弘      清水 義清
山本 倉蔵      和田 幸利
坂口 豊子      矢口 昌子
中国電気保安協会 リスロン(株)
イワキ(株) 上野与三郎
森本沙千子     清水建設・営業部
八洲菅理(株)     清水建設・建設部
益田クリーニング  ミヤモト緑化産業
蔵田ファイリング  宮木 文子
宮田恵美子     新川 日出男
坂口クリーニング  (株)西部防災
ネスレベンデイグ(株)西日本支社広島営業所
平岡衣料品店   清政 幸子
(株)オムエル     向井理容室
梅田美恵子     湯来モータース
桑原 芳人     畠山 安江
岡野かもこ     藤正 坂二
山口 孝雄     則末 信夫
徳永  保      永田 正友
太島 幸子     大嶋 宏史
山下富美子     高橋 正子
田中フミコ      佐伯 森人
河内 春夫     宮本  進
岡本 悦子     佐々木 浩二
松永 千和     山本 八重
椋田 千春     林  弘子
清水都美子     宮本 妙子
森本 文江     野上 好子
谷川 和江     長峯 公明
沖田 幸久     新田 嘉弘
荒木 美恵子    愛命園神楽クラブ
今西 朋美     前  和枝
藤井さつき     佐村 由子
広島県北部ヤクルト販売(株)

※いつも温かいご支援ありがとうございました。



【編集後記】
それにしても昨年末の大雪には驚きました。1週間に2度、立て続けに40センチを越える降雪は、湯来に居を定めて30年になる私も記憶にありません。北極振動とか偏西風の影響とか、この大雪にも気象学的な根拠があるそうですが、テレビなどでしきりに喧伝されていたのは地球温暖化との関連です。温暖化というと、「平均気温が上昇して南極の氷が溶ける」「海面が上昇して沿岸部が水没する」とかいうイメージが先行します。南太平洋の小さな島国などは既にその現実に直面しているそうですが、私を含めて大半の日本人は、ほとんど危機感がないというのが正直なところではないかと思います。しかし、ここ最近の異常気象が地球温暖化に関係しているとすれば、話は別です。環境省の資料によるとこうです。
「短い周期や局地的に起こる気候変動は、地球レベルのマクロの気候変動の動きとは基本的に別のものであるが、地球レベルの気候変動のスピードが速くなると、気候変動の振幅が大きくなると言われている。具体的には極端な暑さと寒さのサイクルが生じ、局地的な豪雨や暴風雨、熱波、寒波などの異常気象といわれる極端な気象現象の起きる頻度が高くなる。その結果、生態系や人間活動に大きな被害が及ぶと考えられる」
温暖化は私たちにとって遠い先の話ではなく、既にその渦中にあって大雪や大雨に苦しめられているのかも知れません。いま私たち一人ひとりにできることは何か、年の初めに新潟豪雪のニュースを見ながら、柄にもなく考え込んでしまいました。 (N)